月記帳


 何だか長くなってしまった月



2004/3/27
 TVアニメ『ぴちぴちピッチ』も続投する様子。
 で、一応のラスト前に、マーメイドプリンセスが7人揃った訳だが、ここに大発見!
 全員ロングヘアなんですな。
 人魚の通貨は髪の毛であるのは、童話的常識ではあるけれど、髪型と服装ぐらいでしか差別化の図れないアニメにあっては、かなり珍しい状況と言わねばなるまい。そういうこだわりが、第二シリーズに繋がる高視聴率をもたらした――のかも知れない。
 『ミルモでポン!』も、続投決定。名作の予感はあったが、ここまでとは思わなかった。割と最近気付いたけれど、ヒロインの声が『おねがいツインズ』と一緒なのね。へー。

 PS2版『オペレーターズ・サイド』は、どうにか終了。
 ラストバトルが理不尽に難しい&一度負けると長い長いムービーをまた見なければならないので、結局攻略サイトを見た。ああ、バリアはさっさと壊せ、と。
 で、エンディング到達。
 クリア後のおまけの類はさっぱりないらしいので、これはお終い。
 声を出すゲームというのがやはり面白いし、感情移入し易い。ムービーがスキップ出来ないのは、一回目ならOK(ムービー中かと思ったら、返答を求められる事もあるし)。二回目以降はどうにかして欲しかった。特に、ムービー後戦闘、という流れの時は、やられても戦闘直前からコンティニュー、ぐらいの配慮は欲しい。
 PS2版『三国志7』も二回目シナリオ二をオリジナル武将で在野から始めて統一。攻略情報を参考に、エンディングを一応前よりマシな覇王の道にした。上級モードでやっても良いんだけど、そろそろ新しいゲームも、と思ってこっちも終了。
 んで、PS2版『ファントム・ブレイブ』を買った。
 今、第五話。ヒロインのお人好しというか優柔不断というか、そういう部分はパッとしないが、やりこみ要素の塊のようなゲームシステムが○。このシリーズの伝統らしいけど。
 アッシュがやっぱり早くて強いので、爆弾を持たせてドッカンドッカンやっている。単純な戦力キャラとしては、ザコ兵士と、戦士と、スライムぐらいか。ああ、爺さんと婆さんも作ったや。
 金を出せばキャラメイクで幾らでも作成可能なので、どうせ大人数になると踏んで、キャラの名前はほとんど練らずに直観で決めた。戦士は「ガッツ」、スライムは「やまと」(大和芋)、爺さんは「ハザマ」、婆さんは「あおしま」、ウィッチが「モモ」、合成師が「メテオ」、改造師が「かつかいぞう」、ダンジョン師が「ジョンまんじろう」。
 ――で、称号師が「じろう」なんだが、一体これはどういう思考回路で付けたのか自分でも不明。眠い時間にやってたせいか、すっかり忘れてしまった。

 納豆を喰う話。
 納豆を旨く喰う方法は、百人居れば二百通りあるぐらいのもので、統一性のないものである。
 従って、批判を受け付ける気も更々ないと宣言した上で語るならば。
 納豆は大根おろしに限る。
 まずは納豆を練る。練れば練るほど良いとか、少しづつ醤油や付属のタレを加える等の作法は、各人の好みで良い。
 充分に練り上がったら、おもむろに大根を切る。切ると言っても、そんなに大量に切る必要はない――否、多すぎてはむしろいけない。五十グラムのパックで、大根の尻尾から二センチ程度。胴の太い部分であれば、一センチでも多い。
 これを洗って髭をむしり、下ろし金で下ろし、そのまま納豆に入れる。汁も全部入れる。皮を剥くような小賢しい真似をする必要はない。
 そして、再び混ぜる。きちんと納豆の粘りと大根下ろしが白い泡になってねっとり馴染むまで混ぜる。ここで、大根下ろしの汁の中に納豆が泳ぎ、粘りの腰が抜けてトロトロになってしまったら、大根が多すぎである。納豆を足す事をお薦めする。辛子は抜いた事はないが、或いは入れなくても良いかも知れない。ネギは、その香りの傾向が大根と異なるので、入れる利点はない。
 それを、時間が経たぬうちに熱い飯にかけ、食べる。
 こうすると、大根の辛味が驚くほど引き立つ。そして、逆に納豆の旨味も大いに引き出される。
 ともすれば鼻に抜けそうに辛いヤツを頬張る。辛味、旨味、飯の甘み、納豆で程良く冷まされた飯の温度が、口と鼻とを内側から刺激し、旨さにほぅとため息が出、次の一口、また次の一口と続く。正に至福。
 これに優る喰い方を、私は寡聞にして知らない。
 尚、飯は熱い(猫舌なら温かいぐらいでもよいが、納豆で冷える分を考慮する事)ものに限る。冷や飯に冷たい納豆をかけても、飯が固くて納豆が馴染まず、温度が低い故に味が半減する。電子レンジにかけてでも、熱い飯を用意する事。飯が冷たいから納豆を温める、といったひねくれた事をしても、私は突っ込まない。
 

2004/3/20
 集英社『コバルト』ベスト・ショートショートで、拙作『フィギュア王』入選。
 よっしゃよっしゃ。
 これで累積六ポイント。事と次第によっちゃ、ランキングで名前が出る点数だわい。
 載るという部分は一緒だけど、やはり入選は嬉しさがひとしお。特に、選評で褒められてると(本当だってば)なおさら。
 この勢いで、長編も書きたいとこだが……。

 PS2版『オペレーターズ・サイド』は、何だかんだであまり進んでいない(アクション下手)。
 それにしたって遅すぎなわけだが、これには聞くも涙な物語――は、ないけれど。
 まあつまり、声を出すので、深夜に出来ないからだろうなぁ。それから、寝転がりながらも出来ない。
 私の場合、もっぱらゲームは夜の十二時とか一時とか、そんな時間に布団に入りながらやる事が多いので、実に向かない。
 そういう意味で、条件の厳しいゲームである事は確かだ。面白いけども。
 ああ、チップを集めると出来るミニゲームは、どう考えてもパーティーゲーム向きだぁね。



2004/3/13
 春なので、情緒が今ひとつ安定しない上に、色々あったりして落ち着かない。
 仕事柄メンタルなコンディションが大事であるからして(こじつけか)。
 で、駅前のゲーセンにふと入って、メダルゲームなんぞをやってみた。
 コイン落としが妙に当たって、3、4倍にはなったのだが、機械にエラーが連発。
 で、あっちこっちの台をウロウロ、湯水の如くコインを浪費しているうちに、ジワジワ減って結局ゼロになった訳だが、気が付いたら四時間ぐらい経過していた。指真っ黒。
 千円でこれだけ遊べりゃ立派。たまにはこんなのも良し。



2004/3/9
 あるひー、パパとーふたりでー、なぐりーああったさー(殴るのかよ!)
 あれは結局どういう歌なんでしょう。
 余命幾ばくもないパパが、「オレが死んでも強く生きろよ」といって、その季節が夏か何かだった、って事なんでしょーかねぇ?
 はい、今回の『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが』は、グリーン車です。

 二月から三月にかけて、そぞろの神に取り憑かれてていた私は、どっかに出かけよう出かけようと思いつつ、特に行き先も思い浮かばず、ぼんやりしていた。
(この妙なフラストレーションは、多分ジブリ美術館に行き損じた事と、福岡に行って帰るだけという何の生産性もない旅行によるものと考えられる)
「金はまあまああるんだし、ちょっと足伸ばしても良いんだよなー」
 などと思いつつ、手元の時刻表を開く。
 ふと目に留まったのは、甲府。
 山梨には、幼稚園と小学校二年頃まで住んでいた事があったのである。
「――って、それじゃ、初めてな事ないし。ああ、でも、別に普通にそういうの関係なしで行っても良いよなぁ」
 と考えつつ、線路の先を眺めると、長野へ向かっている。
「長野――そうか、軽井沢ってセンもあんだなぁ」
 軽井沢は行った事がない。よし、軽井沢だ!
 駅すぱーとでチェック。
 料金と、時間。

 当日、九時前に家を出てから、駅に到着。八王子までの切符を買って、相模線にゴトゴト揺られるごんぱちであった。
 行き先? 甲府に決まってるじゃないですか、HAHAHAHA! そこから少し足を伸ばして、昔住んでた町を見物に行くんですYO!
 手で開閉するドアに辟易しながら、橋本で乗り換え、八王子へ。
 何で相模線は、未だに手動ドアなんだろうねぇ、ったく。そもそも本数がヤケに少なくて、二〇分ぐらい待たされたし。
 八王子に到着、十時過ぎ。これで相模線の待ち時間がなけりゃ、もっと早かったんだけどねぇ。
 ここから中央本線へ乗り換え。甲府へは真っ直ぐ一本なので、楽っちゃあ楽。
 特急は、あの有名な「あずさ」(二号はないが)もしくは、こっちも有名な「かいじ」(博打はしないが)。
 でも、特急料金が勿体ないので、鈍行で。
 鈍行故か、甲府直通とは行かず、大月で乗り換え。
 は、いいんだけど、既にして山だわい。
 こんなんだったっけねー、記憶なんてさっぱりないや。いや、そもそも、自動車で移動したんだっけ昔は。その方が大変だったろうけどなぁ。
 景色を見つつ、家の本棚で腐っていた高村光太郎詩集なんぞを読みつつ進む。
 そして、ようやく大月へ到着。十一半前。
 さあて、甲府行きの列車は――十一時四十五分?
 あの、さぁ。停車時間さんざ長かった上に、接続まで悪いんかい!
 特急は半過ぎに来るが、ここまで来て使うのもアホらしい。ああいうのは、長い距離をがーーーっと使うのが良いので。
 イライラしても仕方がないので、駅をウロウロする。
 何となくスカスカした感じの駅。土地が多いんだろう。
 脇にもう一つの線への乗り換え口があった。
「どこへ行くんかいな?」
 と、思う間もなく「富士急ハイランド」の文字がベッタリ。
 他に駅にあったのは、蕎麦屋とカレー屋。昼飯を済ませようかとも思ったが、何となく入りにくい店な上に、万一志村婆ちゃんみたいな店員で、死ぬほど遅れると、列車に乗りそびれる可能性があるので控えておく。
 特急を一つやり過ごして、ようやく列車がやって来た。
 当然席はガラガラなので、対面席のボックス一つを占有する。
 走るうちに山が終わった。
 おお、甲府盆地。久し振りの盆地だ。ざ・ぼんち!

 なんつーか、隙間、多いね。
 ほら、大阪とか東京だと、地面一面が建物だけど、甲府は畑色が混じる。
 急に面白くなくなった景色から目を離し、本を読もうとするけれどさほど面白くもなかったりなんたりして、ようやく甲府駅へ到着。
 ――うわー。
 こんなに小さかったっけ。
 いや甲府駅の記憶はないけども。
 やはり設計に余裕のある作り。
 ホームがホームとして必要とされている部分以外もある、って言えば良いかなぁ。
 時間は十二時三十五分。
 これから、身延線で芦川駅(上九一色村下流)まで行かなきゃならないんだけど、甲府で一息ついたものやら。
 案内表示に従って、身延線へ歩く――というよりも、ホームの端っこにもう一つ継ぎ足すみたいな形で、身延線のホームがあった。
 ここまで来て、ふと過去を思い出す。
 身延線、それは有り体に言って、田舎のローカル線。
 本数は、一時間に二本。
 乗れると思った時に乗らんと、三十分無駄になる。
 で、出発時刻を見ると、十二時五十五分。
 ――どこまでも半端な時間じゃのぉ。
 すぐに出発する特急もあったが、何となく別料金が取られそうな気配だったので、パス。
 特急とか快速とか快特とか急行とか、表記の安定していない鉄道業界は、一体どういうつもりだろう。
 特急料金が必要かどうかぐらいは、車掌の鼻先にでもぶら下げておきゃぁ良いじゃないか、ったく。
 ともかく、身延線に乗るべぇ。
 車両を見て、ふと立ち止まる。
 ……あの「ワンマン」って書いてあんですけど。
 恐る恐る中に入ってみる。
 ええと、そこに付いてるのは運賃表示機?
 バス形式でした。
 無人駅では、先頭車両の一番前しかドアが開かないという。
 はあなるほど。昔は、車掌が廻って切符を売ってただけだったから、無人駅間なんかだとキセルし放題な状態だったからなぁ、と、んな事を言ってる場合ではなくって。
 八王子からの運賃千四百五十円、一旦改札出て精算しとかんとダメだわ。どう考えても。同じJRだけども。
 そして、一旦改札を出る。
 真正面には、緑の窓口が。そして、でっかい電光掲示板に特急の空席情報。
 ああ、これ見易いな。
 そうだなぁ、帰りは特急にしようか。八王子まで直通、一時間位で行ける筈だし。鈍行とはえらい差だし。そうだ、どうせならグリーン車に乗っちまおう。確かグリーン車に乗った事はなかったや。うん、初めて初めて。
 と、安直な決断をした後、芦川まで三百二十円の切符を買い、身延線へ乗車。
 一番後ろの車両で、景色などを見ながら。
「かねんてー」とか「かいすみよしー」とか、平仮名でしか記憶していない地名と目の前の駅名を整合させていく。
 ああ、そうか、ここにいたことがあるんだなぁ、と、懐かしい気分が。特に良い思い出のある場所ではなかったけども。
 列車の車両は新しく綺麗。どことなく、金の使い場所はそれで良いのか、と思わないでもない。
 ドア一つ一つの前に電光掲示板があり、「次の駅ではここは開きません」みたいな表示も出ていた。料金回収のバスの運転席の前みたいなものも、運転手席の後ろに付いている。
 本当、つぶしの利かない車両だな、これ。
 乗車してから下車するまでに、下手したら列車の端から端まで移動する羽目になるわけよ。万一満員列車状態になったら、それだけで破綻だ。
 それとも、ローカル線だとこういうのが普通なんかなぁ。
 無人駅ばかりが続き、時折(本当に時折)有人駅でドアが全部開く。
 そろそろ芦川に近くなって来たところで、前の車両に移動。
 脇のドアの前に立っていた。
 と、下車する乗客がドアのそばに来る。
 そして停車――ん? ドア開かな……いや、開閉ボタンを押すのか。
 どうやら、冬場は手動らしい。
 そーして、変な疲れを残したまま、ようやく芦川駅に到着したのだった。

 ああ、そうそう、こんな感じだった。二十年ぶりかぁ、面影はあるなぁ。
 土屋商店? そうだそうだ、そんな名前の商店だった。
 食い物屋はないと踏んでいるので、土屋商店(休業中。土曜なのに)の前の自販機で甘い缶コーヒーで糖分だけ補給しておく。
 それから、田圃の方へ降りる道を歩く。
 そうそう、よくクラスの友達と遊びに行くんで歩いたっけっか。
 田圃の脇を流れる川は、沢蟹取ったっけ。ああ、あんまり気にしてなかったけど、この側溝ってドブじゃなくて、生活用水だ。ちゃんと洗濯場が作ってある。水の流れも澄んでて綺麗だしなぁ。
 戻って、と。ここの家は、確か引っ越したか何かでいなくなったんだったな。そうそう、こんな名前だった……って、表札変えてねえし、未だに空き家かよ! ええとこっちへ歩いて、こう曲がって。そうだった、この道が自分がいる間に繋がっただっけ。
 そんで、ここに友達の家が……って、普通に残ってるよ。
 あの時は自販機置いてあったけど、流石にないか。
 表札は……ないや。でも人が住んでるな。しっかし、いわゆる借家だったんだなぁ。子供の頃は、普通の家に見えたんだけど。
 それから坂を上って、と。確かここの壁に、落ちてる炭で落書きして学校に言い付けられたんだったっけなぁ。
 あれぇ? こんなに墓あったっけなぁ。そもそも寺なんてあったっけか? ええと、下に廻って――ああ、そうだ、ここに建物あって、クラスメイトが習字習ってたっけ。そうそう、寺あったあった。池はなくなってるな。ザリガニ釣ろうとして出来なかったけど。

 という風に、記憶のジグソーパズルでもやるかのように歩くうちに、ふと。
 遠くに城が。
 もの凄くダメな匂いがする。
 地元の名士が、自宅を改造したダメ城に違いない!
 近くへ寄って見ると――ふるさと創生基金で作った、町の公演、歌舞伎資料館その他でした。
 うーん、ナイスな箱物行政。
 何か不自然にでかい保険センターとか、やけに小綺麗な保育所とか、そういうモノが随所に見え隠れしていたが、町政の実状を暴く気もないので、再び回想モードに突入。

 へえ、ここに中学校あったっけ?
 うーんと、何か見た覚えあるんだけど、と。えっ? あの政治家のポスター、何か見覚えがあるぞ? まさか、なぁ?
 ええとこっちへ廻って、ん、んん? この石垣見覚えあるなぁ。
 こっちへ抜けて、あっ、プールだプール。そうか、小学校と中学校の中間点にあったんだな。夏休みは、水着で家から行けなんて、妙なルールがあったんだよな。あれ、料金が五十円と百円って、温水じゃないとはいえ安すぎるだろ! もう潰れたって事か? 寂れてるのが、冬だからかどうか判断に迷うとこだなぁ。
 神社の裏に公園かぁ。うん、あった気が……あっ、やっぱり、ここに抜け道あったんだよなぁ。しかし神社、やけに寂れてる。一応電気は付いてるけど、誰か世話してんのか?
 小学校の前を通って、あー、見覚えあるなぁ。でも、そう考えると、この辺あんまり変わってないな。新陳代謝が鈍いとこなんかなぁ。過疎?
 ええと、住んでた家は……前に消防団っぽいガレージが出来てるけど、無事だ。その隣にタクシー屋、床屋、地蔵に味噌が塗ってあるのは味噌嘗め地蔵だったな。ああ、ガソリンスタンド、杉本商店、戸田食堂あったあった!

 ブラブラと歩き、隣町に行った頃には、足はすっかり棒になっていましたとさ。さて、そろそろ甲府へ戻ろう、と思い立つ。
「ここはちょっと大きい町だから、駅員もいるかなぁ」
 と思って、市川大門駅へ行くも無人駅。
 待ち時間三十分。
「うーむ、歩いても平気だな」
 市川本町へ到着。
 待ち時間二十分。
 ――芦川へ戻りました。
 ホームへ入ると(無人駅なので)、ワンマン列車用の乗り場所がプレートで指示してあった(つまりそこ以外のドアは開かない、と)。
 時刻表によると次はワンマンではないらしいが、念には念を入れてそこらで待つ。
 ようやく列車が到着。
 到着。
 到着。
 ドアが開かない。
 と、車両の後ろの方を見ると、人が降りて車掌に金を払っている。
 はっ、よもや、車掌が受付係!?
 よく見れば、乗り込もうとした別のお客さんが、手招きしている。
 走ってそこから乗り込む。
 ん? 車掌は乗る人に何をするでもないのか。
 そして件のお客さん。
「ボタン押さないとドアが開かないのよー」
 ……そういう事か。
 手動ドアなんて嫌いだ。

 ようよう甲府へ到着。
 四時半近くになっていたが、昼飯らしい昼飯を食べていなかったので、吉野家で並豚丼とビールを食べる。吉野家に利点があるとすれば、ビールがモルツの中瓶であるところだと思う。強く思う。
 腹もふくれたので、町を見物がてら甲府城に行く。本当は県立美術館に行きたかったのだが、五キロもあるらしいし、着く頃には閉館時間だろうから今回は涙を呑んでパス(大袈裟)。
 甲府城は、石垣に自然石っぽいものや小さい石も使っている、逆マチュピチュ方式。ナイフの刃どころか腕も入るが、それでしっかり建っているのが逆に不思議な石垣。
 天守閣はないが、塀は復元されており、矢や鉄砲を撃つ穴もある。
「お城は、迷路状になっていて、外敵が突入し難くなっているんだよ!」
 というのを、地で行く構造。
 本丸か見張り櫓か分からないが、てっぺんのうちの二つに登る。
 城の塀の様子や、町や、甲府盆地を囲む山が一望出来る。
 絶景絶景。
 日も暮れかけたので、駅前のデパートの地下で、土産物と、帰りの列車で呑むワイン(赤)と酒(上善)を買う。それから、つまみは――どうにも高くてかさばりそうなモノが多かったので、少々不本意ながらレジ横の、百円おつまみのソースカツを買う。

 すっかり準備を整え、緑の窓口へ。
 空席案内によると、スーパーあずさ12号が、グリーン車も空いている。
 よっしゃよっしゃ。
 人のいる窓口は、そこはかとなく混んでいたので、自動券売機へ。
 ええと、出発駅と到着駅と、グリーン車かどうかと……簡単だ。
 三千円以上もするのか。でも、今月は余裕あるし、ね。
 じっと切符を見る。全部一緒だからだけど、一枚ってちょっと不安だな。
 運賃千四百五十円、特急券九百円、グリーン料金千円。
 安くはないけど、この程度で偉そう気分が味わえるなら、良いんでないかねぇ?
 まあ、短い区間だからだろうけど。
 午後六時四分発の〜、スーパーあずさ12号で〜、私は私は甲府から旅立ち〜まーすー、と。
 グリーン車だ!
 緑だ! ミドレンジャーだ!
 嘘だ!
 んー、テーブルに、読書灯に、足置く変なヤツに、前のポケットにカタログ、椅子の頭の部分が耳みたいに出っ張ってる。おお、高級。
 何より空いてるのが良いね!
 ガラガラ。
 視界に他の乗客が入らないって素敵。
 さあて、ワインを開けて――。
 改札が来て中断。
 仕切直し。
 ワンカップより小さいサイズのワインを開けて、グビリ。
 それから、ソースカツをひと噛じり。
 ソースカツ味濃いなぁ。こりゃ、ちょっと高くてもチーズ買った方が良かったかなぁ。
 と、思いはしたものの、ご機嫌に呑んで喰う。
 ソースカツがなくなった後に、上善を開ける。
 うん、判断当たってたな。食い物がない時は、上善の癖のなさは良い。
 ちょっと急ぎめに、でも慌てずに呑む。
 何しろ、行きには二時間も掛かったくせに、帰りは一時間なのだ。
 スーパーあずさ12号は、スーパーなので、八王子まで一回しか止まらないのだ。
 外の景色が真っ暗で見えないのが何だが、そんな事を考える間もなく八王子に到着。
 到着時刻、午後七時二分〜。
 それにしても……全然時間違うな。
 グリーン車で、充分な酒肴があれば、三時間ぐらい乗ってても良いかもねぇ。
 新幹線と違って、派手な遠心力も掛からないし。

 そーして、結局帰り着いたのは八時過ぎだった。
 遅いぞ相模線。
 後は、松屋でデミ玉ハンバーグ定食を食べて帰った。
 まあなんつーか、思い出とかに浸った日であった。
 多分、高村光太郎のせいでもあろう。あれも教科書に出没する、小学校やら中学校やらの記憶とかぶる代物だし。



2004/3/6
○朝まではやらない一人討論:第一回「キシリアは何故死んだのか」
「ザビ家だからさ」
 じゃなくって。そういう意味ではなくて。
「どーして、グワジンに乗ってたくせに、歩兵用ロケットランチャーなんかで殺されるんだよ」
 というお話。
 周知の通り、戦艦は鈍い。
 鈍いから、装甲を厚くする。
 現実の戦艦でも、基本的にその艦が積んでいる主砲の口径の砲弾に耐えるぐらいに作られた様子。
 つまり大和や武蔵なら46サンチ砲に耐える装甲を持ってたってな事である。
 無論、宇宙戦艦であるグワジンにその法則が通用するとは限らず、実際問題メガ粒子砲の隆盛で火力のインフレが生じているきらいもある(だからエネルギーを大幅消費するIフィールドなんてものが発明された訳だ)。
 しかしながら、モノは歩兵用火器である。
 んなもんで落とされるのはあんまりと言えばあんまりにも貧弱過ぎやしまいか?
 さて。
 そう泣いても喚いても、現実問題としてシャアが艦橋の正面ガラス(?)をロケットランチャーでぶち抜いたのは事実。
 それが出来る状況とは、一体どんな状況なのか検証してみよう。

・要素1:シャアの拾ったロケットランチャーが、もうもの凄い威力の百万のバズーカーの筒を打ち出す位の威力のある金ぴかランチャーだった
 メガのバズーカをランチするかどうかはともかく、あの歩兵用火器は何のためにあって、どれぐらいの威力を有していたのか考えてみる。
 そもそも歩兵用ロケットランチャーというヤツは、当てるのが難しい航空機を狙う為の誘導能力か、戦車等の分厚い装甲を破る貫通力が期待されている。
 誘導能力については、ミノフスキー粒子があるので意味を持たない。とすれば、シャアの拾ったロケットランチャーは貫通力特化型と考えられる。
 その貫通力は何を破る為か?
 当然、モビルスーツである。
 つまり、最大でヤワなモビルスーツの「装甲を破る」威力、と考えるのが妥当である。
 ――ちなみに、ヤワなモビルスーツを「一撃必殺出来る」威力まで想定するのは誤り。最も装甲のヤワなザクを貫通する威力ですら「戦艦(多分サラミスだろうが)の主砲並」なのだから。

・要素2:グワジンとはいえ、ガラスは弱かった
 この世界の強化ガラス技術はいかほどなのだろうか?
 ミノフスキー粒子下での戦闘は目視が基本なので、艦橋が必然ガラス張りになる。
 ならば、そこが弱点になるであろう事は、容易に理解出来る。だとすれば、強力無比な防弾ガラスをはめるのは設計者の義務のようなもの。
 ホワイトベースなどの大気圏突入型の場合、シャッターが出て来るようだが、グワジンは宇宙専用、そういう二次的防衛システムはなく、裸一貫ガラス上等の筈なのである。
 だとすると、防弾ガラス技術が、ランチャーの威力に追い付かなかったのか?
 この件には大きな疑問が生じる。
 ガラス――というか、この世界で戦闘用に使われる透明な物体については、概ね共通した素材が使われていると見て良い。
 連邦、ジオン両陣営の中で片方が独占している物質は、せいぜいガンダリウム合金ぐらいで、それは透明ではない。
 とすると、ガンダムのメインカメラに使われているものも、グワジンの艦橋に使われているものも、基本的に同じ素材と考えられる。
 ここまで来ればお分かりであろう。
 ガンダムは、顔面でシャアのザクマシンガンを受けている。
 直撃ではなかったかも知れないが、ヒビ一つ入っていない(ラリアット一つでぶっ潰れるイングラムとえらい差である)。
 そうなると――。

・要素3:ザクマシンガンは歩兵用ロケットランチャーよりも貫通力がないのか?
 ザクは元々、対戦艦用戦闘機、コロニー、地上制圧用の歩兵、作業用パワードスーツといった用途で開発されたと考えられ、モビルスーツ同士の格闘戦の為に作られた訳ではない、というのが通説である。
 ザク2になって、ようやく格闘戦用のシールドやスパイクが装備され、更に対モビルスーツ用を追究する為にはグフを待たねばならなかった。
 元々対モビルスーツ戦を想定して作られたガンダムやジムに、ザクがメタメタにやられているところからも、初期のザク(少なくともJ型、F型、S型頃まで。ドズル専用例外)にとってモビルスーツは仮想敵ではなかった。
 じゃあ、あのザクマシンガンには何が詰まっているのか?
 対戦艦用の徹甲弾か爆裂弾か?
 否。対戦艦用には、ザクバズーカがある。同じ用途に二種類の武器を用意する理由があるとは思えない。
 つまり、ザクマシンガンは戦艦以外の標的、セイバーフィッシュだの何だの、いわゆる戦闘機用の武器だったと言える。
 この場合、弾丸は何が適当であるか?
 榴弾、散弾、徹甲弾、通常弾、と考えてみると、あの口径で戦闘機に徹甲弾を使う理由もない。順当に考えれば、遅延炸裂する散弾か爆風と破片をまき散らす榴弾辺りが妥当であろう。
 実際にガンダムが顔面を撃たれたシーンでは、爆発して無傷、という形になっている為、通常弾とは考え難い(通常弾ならはじき返される。徹甲弾も同じ)。
 恐らく、シャアのザクがガンダムを撃った時点で、ザクマシンガン用徹甲弾は開発されていなかったのではなかろうか。
 とすると、ガンダムの目は、爆風か破片か、さもなければ散弾の鹿玉に曝されたけれど無事、という辺りであろう。
 つまり、徹甲弾ではないのだから比較不能、となる。

・要素4:ザクバズーカの存在意義
 ――比較不能ではあるが、だ。
 ザクマシンガンの口径は、歩兵用ロケットランチャーなんかよりはるかにでかい。これは事実。
 だとしたら、ザクマシンガン用徹甲弾があれば、その貫通力は歩兵用ロケットランチャーをしのぐ。
 つまり、ザクマシンガンで、敵艦の艦橋は破る事が出来る。戦艦は落とせる。
 何も、弾数の少ないバズーカを持ち歩かないでも、マシンガンを持っていれば良い。
 凡百のパイロットならば狙いも甘かろうが、艦橋に充分肉薄できる機動力を持ったシャアやランバ・ラル級のエースなら、ザクマシンガンで戦艦を落として廻ってもおかしくない。
 けれど、ルウム戦役の映像で、シャア(ひょっとしたらジョニー・ライデン)は、わざわざザクバズーカで連邦の戦艦(マゼラン級?)の艦橋を吹き飛ばしている。
 マシンガンが開発されていなかったのか、それとも目立ちたがり屋だったのかは不明だが、対艦兵器を持っているのに艦橋に肉薄するなんて危ない真似を、わざわざするものだろうか。
「いや、バズーカの一発二発じゃ、戦艦にダメージは与えられるけど、落ちないんだよ」じゃあ、むしろ先に艦橋狙いの武器が作られるのではないか? 弱点をピンポイントで狙うための機動兵器ではないのか?
 実は、ザクマシンガンとザクバズーカのパワーバランスを、「ザクマシンガン:艦橋を破れる程度」「ザクバズーカ:外壁を破壊する程度」と想定する事に、根本的な誤りがあったのである。

・要素5:連邦とジオン
 結論から言おう。
 連邦の戦艦の艦橋は固いのだ。
 だからこそ、戦闘機相手のザクマシンガンや、モビルスーツ相手の歩兵用火器ではぶち抜く事が出来ず、ザクバズーカ、ドムバズーカ、ヒートホーク、メガ粒子砲等が必要となった。
 そして、ジオンの戦艦は見かけとは裏腹に、柔らかいのだ。
 歩兵用火器でも破れてしまう、ヤワな薄っぺらいガラスのはまった艦橋しかない。その強度は、せいぜいジムの装甲並、ズゴックが爪で引っ掻くと簡単に傷が付く程度なのだ。
 それもその筈、モビルスーツを兵器の主に置いたジオンにとって、戦艦は戦艦ではなく空母に過ぎない。モビルスーツを吐き出した後は、遠くから援護射撃をするだけで、砲火に曝される事自体考えちゃあいない。張り子の虎どころかねぶただ。
 対して連邦の初期の戦艦は、直接的な戦力。撃ち合いもすりゃあ、ぶつかり合いもする。誘導装置のあった時代のもの、弾は撃たれりゃみんな当たる。それを耐えるように作ってあるんだから、そりゃあ固い。
 周知の事実だが、ジオンには技術はあったが、物資が少なかった。
 その違いは、双方の形状の差異からも読み取られる。
 連邦の戦艦やモビルスーツは平面が多いのに比べ、ジオンのそれは曲面が多い。
 物資の関係で装甲厚を稼げないジオンが、跳弾性能と耐久性の期待できる曲面に固執したのは必然と言える。反対に連邦は「設計が面倒だから材料を増やせば良いのだ」という、オンリーパワー・ノー・ブレイン設計だったのだ。やりくり奥さんと、浪費家亭主みたいな対比である。
 多分、お寺の釣鐘やジオン・ダイクンの立像なんかを溶かして兵器にしていたに違いない。そんな中、旗艦とは言っても、直接砲火に曝されない空母に、そんな大事な物資を集中出来ない。それよりは一機でも多くザクを! ドズル兄さん、おかず一品減らすからドップを!
 ああ、涙ぐましい国家総動員態勢。
 物資さえあれば、ギレンだって銃を突き付けられた時に「ポチッとな」で、キシリアの足の下に穴が空いてストン、後はピコハンでポカポカやるタイプのお仕置きだべえ機構も作れたに違いないのだ。
 ――そんな訳で、ケチにケチを重ねたグワジンのガラスはシャアの一発を防ぐ事も出来ず、キシリアはあえない最後を遂げたのである。
 キシリアを殺したもの、その名は貧乏なり。



2004/3/5
 EXCEL豆知識ー。
 関数vlookupを使うと、データを拾えるけど、フィルタ機能みたいに「条件に合うものだけを拾え」って事は出来ない。
 しかーし、その条件をif文で判定、合致するなら1、しないなら0という風に「0」「1」で振り分け、合計を取っていくと――通し番号になるのだ!
 後は、その通し番号をvlookupの検索キーにしてやれば、自動的に条件に合うデータのみを抽出可能だぞ!
 ――分からない人は置いてけぼりだし、分かる人には言わずもがなの事を書かない事。

 最近ふと思うが、モヤシの手軽で最良の調理法は「単体で炒める」に尽きるのではなかろうか。
 肉と一緒に、ピーマンと一緒に、卵とからめて――それはそれで良いが、別素材が混じるとどうしてもモヤシに火が通り過ぎる。
 仮に絶妙な火の通り加減であったとしても(この時点で既に「手軽」を外れるが)、他の食材の食感が、モヤシの軽やかな食感を阻害する。
 従ってモヤシは一袋(混ぜにくく水が出やすいので、それより多いのは困難)を、中華鍋で炒めるのが良い。
 熱した中華鍋に油をひとたらし広げ、水を充分に切った(もしくはわざわざ洗っていない)モヤシをザッと放り込む。
 じゅざあああっと賑やかなところを、鍋を煽りつつ箸なりフライ返しなりで混ぜ、混ぜる時にモヤシが引っかかってパキパキ折れる感触がなくなった辺りで、塩を一つまみ。お好みで胡椒をひとふり。酒や醤油などの水分は入れない。
 これで、モヤシの味わいとサクサクした歯ごたえを楽しめる、質素ながらも素敵な一皿になる。

 鳥インフルエンザ隠蔽騒動。
 衣食足りて礼節を知る、という言葉があって、それはある種真実だとは思う。
 でも、衣食が足りてる筈の社長がこういう事をしたりする訳で。
 それを分かつ分岐点って、一体何なんだろうなぁ。
 教育かね?
 とすると、教育を受ける財力や社会情勢があり、その上で良き親や教師に巡り会わなければならない。
 かなりの少確率であろう。

 子供の虐待死の話。
 言葉の通じる、自分と同じ姿をした人をなぶり殺すというのは、どういう心情だろう。
 言葉の通じる筈の人が、自分を殺す以外の何の考えも持っていないというのは、どんな心境だろう。
 どんな状況であれ、人を見たら、それを自分と同じ人だと認識出来る感受性は保っていたいものだ。
 他の強盗殺人の話でも言える事ではある。

 音楽というのは、思い出と結びつくとよく言うが。
 ゲームも結構そんなだ。
 これは多分、二十代後半から三十代前半辺りのいわゆる「ファミコン世代」に強い傾向かも知らんなぁ。
 ――まあ、もっともその頃のゲームはもっぱら人の家でやるか、ゲーセンでやるばかりで、自前で「ゲーム機」を所有したのはずっと後、大学に入ってからだけども。



2004/3/2
 PS2版『三国志7』サイボウで統一完了。
 アイテムで鬼謀が付いて以降、神速やら仙術やらをバリバリ使えたので、比較的容易に進められた。
 エンディングは釈然としないが、何か状況次第で変わるのか?
 今は2番目のシナリオで、新武将で在野から開始。
 平凡タイプ、武力だけ70、後はぼちぼち。道士のおっさんの息子という血縁。技能に鬼謀と行動を付けてみた。
 まあ、人材はいないものの、結構強い。鬼謀はやはり。
 目下、孫家を滅ぼしたところ。



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