月記帳


 落とし物をすると、何より惨めな気分がやるせない。


2004/9/24
 今月末は忙しげなので、色々前倒しで終わらせた。
 で、小説も更新。

 何日か前に、PS2版『BUSIN0』クリア。
 結局最後まで死に神憑きで、ソウルクラッシュだった。ラスボスも四ターンで沈んだ。楽々。
 エクストラダンジョンも出て来たが、こういうのをやる心の余裕は取り立ててないので、ちょこっと覗いただけでおしまい。
 まあ、銀スライムと、マイルフィックは殺せたので、気は晴れた、ってとこで。
 マイルフィックは、どうやりゃあ勝てるのかと思っていたら、ワープジャンプ二発で沈んだ。普段は使わないアレイドが決め手になると、何か騙されたような気になる。
 しかし、エクストラダンジョンをやる気にならない気分、というのは何だろう?
 やっぱり他のゲームに目移りするって事なんかなぁ。でも、マルチシナリオだったら、一通りやり尽くそうと思う訳だから。つまり、何か本編より面白くなさそうな感じが強くなってるんだよなー。
 今までシナリオでベラベラ語られていた物語が、エクストラダンジョン入った途端にぱたりと止まって、ただ作業的にガチガチ戦闘とアイテム収拾だけになる感じが寂しいのかも知れないなぁ。
 本編との温度差がありすぎる、という辺り。



2004/9/20
 集英社『コバルト』ベスト・ショートショートにて、拙作『名奉行・裸の王様』佳作。
 良かったらどうぞ。
 んー、現時点でポイント4位。結果が出るまで後二回の筈だから、逆転は流石に難しいか。

 MAOさんからチケットを貰ったので、浅草演芸ホールへ行って来た。
 財布の残りも僅かなので、基本的に食事の必要ない時間帯――つまり、昼の部を狙って出発。
 途中、ダイエーで、糖分補給用にセービングのコーラ(四〇円)を一本買っておいた。
 浅草というと、独りで行った事はない場所。
 表参道乗り換え、まで調べて行ってみると――銀座線の一番端っこか。へー。
 地図を確認しながら、浅草寺の大提灯の前を通って、国際通りで曲がって、ホテルが見えた辺りで曲がって――。
 何か、全然迷わなかった。
 すごいすごい。
 浅草演芸ホールは、確か浅草演芸場を建て直したとかそういうものだった筈なので、末広亭と比べるとずっと新しくて綺麗。
 それを良いと見るかどうかは、その人次第だけど。
 出発が遅かったせいで、十二時半頃になってしまったが、途中入場をガタガタ言わないのが寄席の常識なので、気にせず入場。
 ……人、いっぱい。
 そうか、日曜だもんなー、人もいるわなー。
 まあ辛うじて通路側でない席に滑り込んで聞く。
 演目は様々で、気楽に笑った。客いじり系が、綾小路っぽく見えたのは、昔からそうだったのか、最近の風潮か。
 と、そんな折、小学生と思しき子を連れた親子連れ&祖母が。
 それなりに噺も分かるらしく、笑っていたが「ねえ、お母さん、うちにはどうして弟がいないの?」「お前が早く寝ないからだよ」とかいうネタで「どういう意味?」なんて尋ねていて、他人事ながらハラハラした。
 寄席だと、そういうの結構あんだよねー。
 有名どころで言うと、鶴光が出ていた。噺は今ひとつだった。まあ、そんな事もあらぁね。
 東京ボーイズも出てたなぁ。これは面白かった。
 後は漫才の東京太、ゆめ子(で、良かったかな、一応パンフにはそうあるけど)で、マジボケからのフォローという寄席ならではのハプニング等もあり、大ウケだった。
 件の親子連れは、中入り後に帰っていた。ネタが分かりづらかったので、仕方あるまいが、大トリを聞かないのは勿体無いと思うけどなぁ。
 ――もっとも大トリは、昔昔亭桃太郎の春風亭柳昇物語だったので、親子連れとしては判断が正しかったとも言えるか。
 それに、かなり男尊女卑なネタ(噺家に手を出された三味線弾きが歳を取っても情を残している様を『遊びを本気にして、女というのは愚かで怖い。しかも不細工』と、笑い飛ばすネタ)だったので、大人が聞いても気分の良いもんじゃなかったし。ありゃ、昭和のネタだな、昭和の。
 と、終わりは少々問題はあったものの、久々に声を出して笑って帰途についたのであった。
 昼飯代わりがコーラ一本だったので、家に帰った時には、胃がグウグウ言っていたけれど。



2004/9/16
 朗読会打ち上げ後、本を手に持ったまま居眠りして、気付いたら手からなくなっていた。
 問題はそれが図書館の本である、という事で。
 翌日のそうさく畑の最中、小田原まで取りに行く事となった。
 相方N君、色々迷惑かけた、ありがとう。
 やはりああいうものは焦るし、嫌な気分になる。
 誰かを悪者に出来る事なら気は楽だけど、明らかに自分の間抜けだしねぇ。
 駅で、忘れ物回収用乗車券(つまり、忘れ物センターのある駅まで行って戻れるタダ券)貰う時も、「券出してやって」とか、駅員の扱いも明らかに客より二ランクばかり下になってるし。
 酒の上の電車での失敗(後は乗り過ごし)がいくつか続いている気がするので、ちょいとミスの出ない行動様式に切り替える事にしよう。もう、酔っても気を付けていられる、という状態でもないらしいし。

 漫画『よつばと!』(あずまきよひこ)も、面白いなー。
 なんか、笑える上に、ほのぼのというか、切なくなってくるというか。術中はまりまくりだ。
「これだけでけーと、ジャンボ(人名:長身)いみねーな」とか、台詞回しも絶妙。
 こんな感じのものは、書けるもんだろうか、うーむ。

 PS2版『BUSIN0』プレイ中。
 第十層ぼちぼち探索。嫌でもやって来る日々の暮らしにかまけて、進行が少々遅い。
 この辺の敵のラッシュで、ダメージを六百とか喰らったので、主人公瞬殺、ゲームオーバー(注:主人公は攻撃力強化のため、死神憑きのままなので、死ぬと即ロストなのだ)。
 夜魔の大剣の最大HP減少の呪いに対抗する手段を――とばかりに、転職玉を使って魔術師のブーツを装備。
 これで帳消しに――と、思ったら、逆にプラスの効果が出た。呪い力が弱かったのかな?
 後は、即死耐性のある防具を着け、ショーグンに転職玉で転職(呪われているので、普通に転職は出来ないし)、何か日本刀と二刀流にした。
 そしてプリーストをモンクに転職させ、これで魂砕きは使える状態に戻った。
 で。
 魂砕きをぶちかますと、行って七百帰って七百。名付けて死神ターミネイトってとこか。
 現在のパーティは、ショーグン、モンク、怪盗、ビショップ、魔法使い、隠密。
 隠密に罠外し技能があると良いんだけど、あんまりあるようには見えないし。でも、暗闇探索には欲しいし。それからビショップは未だに七レベル魔法を覚えられないので、魔法使いはそれまで転職待ち。



2004/9/9
 文体というと、私も化粧気は基本的にない方である(不親切極まりない書き出しだな、しかし)。
 ひょっとすると、学院の指導方針だったのかも知れんなぁ。
 同じ内容、雰囲気が伝わる限りにおいて、文章は削り込んだ方が良い。アブラハムが誰の子か、誰の親か、物語に全く必要がないならば書かないで欲しい、という感覚。
 その点において、いわゆる文章そのものが華美な作者に対する羨望はない。
 ただ、急ぎで書く際に、台詞だけになってコントのネタ帳みたいになる事と、やたら体言止めを多用しがちになる事があって、これはやらんよーにしないといかんなぁ、と思う事はある。
 それは本当に書かなすぎだし、文章としてスマートじゃないしね。
 まあとまれこうまれ、まだまだ「自分流」で固まる理由がない。色々模索の段階である。

 ショートショートサドンデス、昨日で多分百日達成。
 まあ、出来そうだね。
 今後はこれで行きましょう。
 続けるために、翌日が忙しそうな時は、日付が変わると同時に書いたりしてて、最大で丸二日ぐらい開けられる訳だし、そう「どうしても書けない」って日はないもんだ。
 旅行中も、原稿用紙持っていって書いたし。

 そうさく畑、個人誌の作成中。
 一応作品はまとめた。
 ただ、製版、印刷、製本がすこぶる面倒臭い。
 内綴じ対応型のワープロソフト(それはDTPか)やら、コピー機能付きのレーザープリンタとかないと、やっぱり手間は免れないなぁ。
 後、見本誌の帯と、図書館に置く時の紙と、えーと、そうだ、宴レポ腕章持って行かないと。これ、一番忘れちゃいけないもの(まあ、忘れたら取りに帰るけど)。
 あ、腕章飾って客寄せにするって手も――い、いや「ほぅ、そんなに気に入ったのなら、またやって貰おうか」とか、触覚の長やかな黒やかな人に言われたらコトだ、やめとこう。



2004/9/6
 昨日、Q書房関係で朗読会というのがあって、ピトラを読んで来た。
 ステージで複数人で歌う事はあっても、独りで(BGMはあったけれど)朗読は初めて――いや、答辞とか、結婚式のスピーチとかあったか。
 まあ作品を演るのは初めてって事で。
 なかなか楽しいイベントであった。
 でも何より自分の興味は「自分のは面白かったか」に尽きるのであって、それは永遠に分からない話だったりするのだろうなぁ。

 以前も触れたが、四コマ漫画に萌え要素が増えつつある。
 雑誌『もえよん』ばかりではなく、まんがタイム系でもその傾向は顕著だ。
 これぐらいの比率が心地よい。
 あんまりどっちかに傾きすぎると、また面白くないし。
 今萌え系として一押しなのは『らいか・DAYS』か――って、萌え絵柄ちがーう。いや、でも本当、いーですよ。
 しかしこの流れは、そう、後二、三年でまた収束するのだろうなぁ。
 形式が固定されるせいか、キャラやオチのパターンが似通って来てしまうので。
 編集者よ、漫画はキャラが命、とかいう幻想から離れないと「魔王だけど力を失って普通の家にメイドとして入ったんだけど、家計を助けるべくバイトとして巫女をやったんだが写真雑誌に投稿されて今アイドル二年生だけど結局世間知らずで、へんてこな事をして、周りはてんやわんやオチ」みたいなのが頻出する羽目になるぞ。

 ここのところ、ゲオ株の動きが大きい。
 出来ることなら、売り買いで利を掴みたいところだが、この細かな流れははっきり言って読みづらく、手放した途端に高騰する可能性もあり得る。
 なんたって、九月末の優待と配当の権利確定日間近でもあるし、ひとまずはじっとしていよう。



2004/9/4
 PS2版『BUSIN0』プレイ中。
 現在第九層、色々な事実が判明。
 テイストが似ていると思ったら、やっぱりこれは『狂王の試練場』だった様子。
 呪われ武器『夜魔の大剣』の攻撃力と、死神による増強のお陰で、絶大な破壊力を発揮する事になったリーダー(モンク)。
 お陰でリーダーが死んだら即ゲームオーバーの状況で、プレイしている。
 でもやっぱり一撃でダメージ300の、魂砕きで行き帰り四発は捨てがたい。中ボスも楽々撃破だし。
 ラスボス戦とかで裏目に出そうな気もするのだが。
 上位クラスが続出し始めたので、人形はひとまず前線から下ろし、控えになっていたキャラを育ててみる事にした。
 人形の防御力や、防御効果は魅力だが、特殊能力がないので。それと、レベルが上がらないので、いつでも戦線復帰可能だし。
 しかし、レベル差が二〇以上あっても、レベルアップの必要経験値は大して変わらんのだなぁ。
 んなわけで、現在のパーティは、義賊、プリースト、モンク、メイジ、忍者、ビショップ。忍者が育て中。ビショップが七レベル魔法まで使用可能になったら、専門スペルユーザーを二人に絞る予定。何か、プリーストの力が一番高いし。



2004/9/2
 夏休みが終われば〜、童子消えて〜、どじょっこだのふなっこだの「子供いなくなったよ、助かったよマジヤバかったよ、あいつら飼い方も分からねえくせに捕まえて家に持って帰って死なせたり、帰り道で道にぶちまけて殺したりしやがるんだもんなぁ。ったく、自分がそういう目に遭ったらどう思うんだっつーの。大体、オレの親も兄弟もそんな風に無為に殺されたんだ、野郎、畜生、オレに力さえあれば、力が欲しい、神よ、このオレに力を、いや悪魔でも構わない、むしろ悪魔が適任か。このオレの命も魂も捧げ尽くそう、その代わり奴らに地獄を見せてやってくれ!!」と、思うべな〜。
 街が再び平静を取り戻したので、喜び勇んでお出かけ、と相成りました。八月中は混んでるだろうからと敬遠して来た場所へ。
 そうです、今回の『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが』は、大大大好きじゃない人は来ても多分つまらない、国立科学博物館特別展「テレビゲームとデジタル科学展」です!

「大人がゲームなんて、と、意外と思われるかも知れませんが、TVゲームとかよくやるんです。止められないんです。卒業出来ないんです! これが世に言うアダルトチルドレン、ガキオヤジという現象かも知れませんが、先生私は大丈夫なんでしょうか??」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
「じゃあ、アニメとか観るのは?」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
「作家を目指しているのは?」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
「腕時計するの嫌いなんですけど?」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
「犯罪とか嫌いなんですけど?」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
「お国のために死ぬのとか嫌なんですけど?」
「うーん、それは、幼児期のトラウマが原因ですね」
 てな感じに蔑まれてきた、社会悪テレビゲームを学術機関たる博物館が扱うなんて! 教育委員会の反対デモが日々行列を作り、機動隊との大規模な抗争を繰り広げているに違いありません。
 大変です。
 行かねばなりません。


 ……戯れ言はここまでにしといて。

 事の発端はファミ通で見かけた記事。
 上野の国立科学博物館でゲームの博覧会があって、古い機械なんかが見られるとの事。

 ゲーマー&なんちゃってゲームクリエイター(注:企画倒れになったゲームのシナリオ補助経験が一度だけあるという意味)として行かねばなるまいなぁ、と。
 それに上野公園には何度も行った事があるのに、国立科学博物館は見た覚えがないなぁ、一度行きたいなぁ、というのもあって、出かける事と相成った。

 まあ上野公園なんて、動物園行ったり、科学じゃない方の博物館行ったりした事が何度もあって、庭みたいなもんですわな、庭。
 さてさて、駅に行ってお手軽に切符を――ポチッとな。
 あ。
 隣のボタン押しちまった。
 げろげろげろげろぐわっぐわっぐわっ!
 百円余分に買っちまったぃ!
 あああああ!
 うーん、駅員呼んで払い戻しも面倒だし……。
 いいや、値段分乗っちまえ(ものぐさ&中途半端な貧乏性)!

 電車にガタゴト揺られ、新宿へ。
 新宿から二百九十円区間ったら――。
 総武線で新小岩。
 総武線は錦糸町より向こうに行ったことがないし、知らない駅の周辺を散策なんてのもオツじゃありませんか、ねぇ?
 ちょうどお昼時だし、そこで食べれば良いや。
 行き当たりばったりな目論見で、中央線快速でお茶の水、後は総武線各停で新小岩へ到着ー。
 下車!
 ふーむ、東京のJR駅としては極めて普通だなぁ。
 駅前にはロータリーというほどでもないロータリーがあって。
 あー、何か雨パラついてる。
 昼飯だけ食べたら、長居しないで上野行こう。
 駅前から真っ直ぐ伸びる道をちょいと歩くと、栄養短大とかいう短大があって、昼休みの頃なのか学生が一杯出て来ていた。調理師学校みたいなもんかな? こういう場所にあると、交通の便は良かろうなぁ。まあ、北大も駅に近いとこは近かったけど(遠いとこは凄く遠い)。
 その先へもう少し進んだ所に、安ラーメン屋チェーンの東秀があったので入る。この前、呑んだ後に喰った豚キムチ丼が旨かった覚えがあったので、半ラーメン付きの豚キムチ丼セットを頼む。六百五十円(ちょっとうろ覚え)。
 出て来た豚キムチ丼セットには、半ラーメン側にレンゲが付いていたのだが、果たして豚キムチ丼は箸で食べるのが正解なんだろうか、レンゲで食べるのが正解なんだろうか? ちょっと迷ったが、レンゲで食べる。丼なら手で持てるけど、深皿だったし。
 こういうセットだと、半ラーメンぐらいのサイズが丁度良いなぁ。うんうん。
 値段にしては豪華だし、お腹に溜まるし満足。
 この前横浜で食べたラーメンとチャーハンのセットとかに見習わせたい。石焼きにすりゃあ良いってもんではない。

 駅の反対側も見たかったが、何だか渡り難そうだったので、そのまま上野へ向かう事に。
 運賃二百十円。
 百円伸ばすとこんなに違うか。
 まあ、上野公園近辺で食事するよりは経済的だったろうから、チャラ、チャラ。
 実は乗った事のない総武線快速で東京まで行き、山手線ではなくって青いヤツで上野へ。
 上野到着ー。
 一時前ってところ。
 相変わらず公園口は貧相だなぁ、しかし。ここだけ見て、新幹線の停まる駅だなんて思わないぞ。
 ちょいと進んで、上野公園へ。
 案内図で国立科学博物館を確認。
 ふむふむ、そうか、端っこにあるのね。よし、分かった。
 端っこの道を歩く、歩く、歩く。
 ああ、案内の図が再び。
「国立科学博物館へは、正面へ廻って下さい」
 ……端っこ過ぎた。裏手来ちまったぃ。
 ぐるりと廻って、ふと気付くとロケットの先っぽが見えた。
 おっ、それっぽい。
 しかし、どちらかというと、ロケットというかミサイルだなぁ。これは。運ばれてる感が。まあ元来同一なもんだけども。
 それからもう少し進むと。
 おおっ、これが噂のクジラ!
 でけぇ。
 冗談みたいにでけえ。
 うわー、でかいなー、でも、色とか剥げてるなー、手入れは悪いなぁー。
 ようやく表玄関が見え、クジラの説明プレートもあった。
 ふむふむ、三十メートルのシロナガスクジラ原寸模型で、水に潜るところ、か。ああ、ガラはカスリ? なんだ別に色が剥げてたんじゃないのか。失敬失敬。
 正門前へ歩くと、チケット自販機を発見。
 ……?
 一般展示専用自販機だ。特別展のチケットは売ってないなぁ。あれれ?
 ここで買って中で買うとかか? いや違うな、特別展のチケットで一般展示も入れるとか書いてあるし……。
 と、少し向こう側を見たら、特設でチケット売場が作られていた。
 ……つまり、回り込んだせいで、そっちを通らずに目に付かなかったんですな。
 危ない危ない、またチケットを買い間違えるとこだった。大人千三百円。お手頃価格。

 中に入ると、恐竜の化石がお出迎え。
 恐竜の親子の構図は、微笑ましいと見る向きもあろうが、全てが骸骨なので私的にはオカルト的。
 一般展示は後で見る事にして、まずは特別展。
 案内図やら、案内人やらの案内で新館へ向かう。
 それなりに複雑っぽい構造だが、六本木ヒルズよりは百倍動きやすい。広さが違う? そーじゃねえってば。森ビルの立体迷路みたいなのは全然ダメでしょうに。
 そーして特別展入口に到着ー。

 まず入ると(デジモンの何たらがあったが、それは無視)。
 機械式計算機、それからトランジスタ式電子計算機……れれ?
 ENIACは?
 と、思ったら、なんだ、中央に回路が展示してあった。
 ……その導線は無理があるだろう。
 気を取り直して、展示を一つ一つ見る。
 我々の年代なら、嫌と言うほど聞かされて来たコンピュータの発展史。
 機械式から、真空管の電子式、トランジスタ、IC、LSI、んでもって超LSI。
 でも、一つ一つの実物を目で見られるのは趣深い。
 集積回路の日本人の設計者って、確かこの人の話聞いた事あったよなぁ。インスピレーション受けて、一気に図面を書き上げたとか何とか。
 ふむふむ。
 やあ、本当にちっちゃくなるもんだよなぁ。
 真空管でかいし、コードだらけだし。
 かなり浸れる。

<警告>
 この感興は、あくまでコンピュータに愛着を持った人間に限ります。

 次に、パソコン発展史へ移行。
 ああ、ビルゲイツが使ったのがこの同型機かぁ。何だかの話で聞いた事はあったけど、実物を目の前にすると、パンチテープに紙だもんなぁ、こんなので一体何が出来たのか不思議だよなぁ。これはアップルIかぁ。へぇ基盤で供給される、マニアもマニアなツールだったんだ。でも、その状況下でどうやってキーボードなんて入手出来たんだろう、うーむ。
 と。
 そんな黎明期的中に、ブラウンのディスプレイとマウスを備えた、いわゆるパソコン然としたパソコンが。GUIも使用していたとか。
 ええっ、年代七十六年って、他と大して違わないのに?
 何々、究極のワークステーションとして作られたもので、市販はされなかった? アップルに多大な影響を与えた――と。
 市販品と試作機の違いか。全力を上げれば、これだけのものはできたって訳だなぁ。
 それにしても、この時代にここまでのものが出来ていたとは驚き。
 オーパーツだ、オーパーツ。
 面白い、実に面白い。

<警告>
 この感興は、あくまでコンピュータに好感を持った人間に限ります。

 後は日本のパソコン発展史も。
 まあ懐かしい名前も出て来るなぁ。
 PC−8001ってそんなに前に出たのか……っつーか、なんでP6がない?

 そして次は本題のゲームの展示。
 世界最初のゲームが「テニス」だったというのは知っていたが、それが。
 オシロスコープの画面だったなんて。
 オシロスコープって、そんな色んなものが映せるんかね?

 次には市販のゲーム機であるところの、米国的にはちょっと下品な名前じゃないかと勘ぐりたくなるブラウンボックス。
 ゲーム第一号の呪縛か何なのか、やっぱりテニスも入ってるんだな。

 次に商売で大当たりしたアタリのゲーム機。
 これもテニス。
 ちなみに付いている説明映像はみんなディスカバリーチャンネルのマークが入っていた。
 何ともワクワクするのだが、アタリ最初のTVゲーム機は、酒場に置かれたそうな。
 で、ビールなんか呑みつつ、成り行きを見守っていると、誰かがちょいと二十五セントを入れてやり始める(金を入れてゲームをやるというシステムは、ピンボール等があったので珍しくはなかった様子)。興味を惹かれた人々がどんどこ集まって来た。
 翌日に「壊れた」と、酒場から連絡があって調べてみると――コインボックスが満杯になっていたのだった、と。

 どうだね、ええ?
 なんだろうね、これは。
 人類は、待ちかまえていたようだよ。
 TVゲームというヤツをさ。

<警告>
 この感興は、あくまで毎日TVゲームを一、二時間必ずやるようなゲームジャンキーのものです。

 途中、ゲームのメカニズムを説明しているんだかいないんだかの体験スペースがあったけれど、レスポンスが悪く全然ダメ。

 他に時代毎に並んだゲーム機の展示。
 ふうむ、やっぱりテニスの呪縛は色濃かったようで、しばらくはテニス、同等の操作をするブロック崩し等に必要な、ヴォリュームコントローラー(音量調節なんかに使う回すヤツ)が付いているものが多い。
 ああ、これもブロック崩し。
 昔、隣の家の子供がやっていたのを見かけたが、これだけ種類があるとどれだったか分からんなぁ。
 それからああ、カセットビジョンだ。
 んで、スーパーカセットビジョン。
 この辺になると、コントローラーの形にも見覚えがある。
 テレビとかでも宣伝してたような気がするなぁ。
 あの頃は本当、ゲームが欲しくて。
 まあまずはゲームウォッチだったけど。
 それでファミコンも当然置いてあるわなぁ。
 あ、ロボットもある。
 サテラビューも。
 ふむふむ、ファミリートレードはなかったなぁ。PCエンジンに、DUOとDUO−Rまである。へえ、ネオジオって最初レンタルだったのか。そんな商売成立する訳ないじゃん。
 面白なぁ。
 懐かしいなぁ。
 うむ、面白いなぁ。

<警告>
 この感興は、あくまで二十年近くゲームをやり続けた重症ゲームジャンキーのものです。

 後はアーケードの筺体がいくつかと、ゲームウォッチ。オクトパスがないのはどうかと思うけど。

 それから、シアターでデジモンの何やらをやっていたり、ディズニー? のネットワークゲームの体験があったり、新作ゲームがプレイできたり、アイトーイが置いてあったりしたけれど――。
 みんなパス。
 ゲームは腰を据えてゆっくりやりたいから。
 アクションとかちょびっとやっても面白くないから。
 それに、客があんまりいないのに、スタッフはやたらいて、何かやろうとしたらベラベラ話し掛けてきそうな勢いだったから。

 こうして、特別展を後にしたのだった。

 ……これ、絶対子供向けじゃないぞ。
 子供は退屈。
 多分女性も退屈。
 親子連れだと最悪。
 デートだと後で喧嘩。
 二十代後半から、三十代前半の男の子単独で、平日に行きましょう。
「ゲーム機買っておくれよう(注:『新しいゲーム機』ではなく、漠然とゲーム機。何でも良い感じの飢え方)」
「そんな高いものダメに決まってるだろ(マジで高くて仕方がない感じ。当たり前のような拒絶)」
 みたいな会話が何度かあった気のする人ならお勧め。

 その後一般展示も眺めた。
 主に動物なんだな、ここは。
 ちょこっと宇宙と時計があるだけ。
 まあ、普通かな。
 特別展のインパクトにはかなわない。

 帰りに、この前は見当たらなかった地獄の門を見かけた。
 そっか、西洋美術館にあったのか。

 後、新宿の西口電気街内のサンクスで、ドラフトワン買って呑んだ。不味かったけど、まあ、呑みたかったし金は惜しいし。


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