思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2006  5月  6月  7月

2006/8/28 『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが番外編 神奈川県立歴史博物館』
 ツキイチの行き先を考えて、ぼんやりネットで検索をするのは、よくある事である。
 行動範囲としては、鉄道の関係上、横浜か新宿近辺が一番妥当である。
 で、横浜のイベントをぐーぐるで探していると――。
『特別展 日本のビール −横浜発国民飲料へ−』
 神奈川歴史博物館は行った事ないし、特別展のネタも割と面白げだし、関内だから行くのに大して手間もない。
 おや、打って付け。
 んじゃ、8月分はもう行ったので、9月のネタにしようかなぁ……と思っていたのだが。
 何となくそぞろの虫が動いたので、本日出かける事にした。

 寝過ごすでもなく、普通に起き、出発。
 自転車は――どこに停めるかなぁ。
 ここのところ、駅前ダイエーやサティの駐輪場も有料化され始めたから、タダで置きにくいんだよねぇ。
 まあいっか、百円だし。
 自転車を置いて、一路横浜へ。
 みなとみらい線の馬車道駅の間近らしいのだが、ちょっと高いし、関内から歩いて前を通った事があった気がするので、JR根岸線へ。昔なら、東横線で桜木町から歩くという選択肢もあったが、今はなくなっているのでこれが一番安いルートという事になるか。

 さて、関内に到着。
 ああ、割と見慣れた横浜スタジアム。
 この前来たのは春節の時だったかな。
 さてさていざ進めいざ進め。
 ちょっと曇りだが、お陰で随分と楽だわい。
 確か、ここの大通りをそのまま行ったところに、大正浪漫だか明治維新だかの感じの資料を展示するタイプの施設があった気が――。
『横浜市開港記念館』
 違った。
 そうか、違ったか。
 幸い、横浜は観光都市でもあるので、そこらに地図が設置されている。
 改めて確認をすると、もっとずぅっと西の方だった。
 徒歩8分とか書いてあったけど、そんなに近くはないよなー。
 開港記念館の前の道を折れ、ずぅっと進む。
 進む。
 進んで。
 進み抜いた辺りで、また大正浪漫だか大政奉還だかの感じの建物が目に付いた。
 でかでかと特別展の看板が出ていたので、間違いない。
 階段を昇って中に入る。
 ……なんか、妙にがらんとしてる。
 受付もないし。
 ええとそっちの通路を進んで……折れて、あ、ミュージアムショップだ。
 もう一つ折れて。
 やっとあった。ほとんど一周してしまった。通用門のような入り口だったらしい。
 入場者が明らかに少ないと思われるせいか、チケットの販売は受付嬢の手売り。
「特別展のチケットを」
「特別展だけで良いですか? 通常展示と一緒だと100円引きになります(意訳)」
「じゃそれで」
 こういう時に通常展示を見るのはセオリーみたいなもんだし。

 さてまずは『特別展 日本のビール −横浜発国民飲料へ−』の展示室へ。
 ご挨拶の一文がスポットに照らされた暗い暗い一角へ入る。
 ……なんか、足音が天井やら壁やらにヘンな反響をするんですけど。
 啼き竜?
 それに対する説明や自慢は一切ないまま、次の間へ。
 ここから普通の展示室。
 順路の表示があるので、そっちへ歩く。
 基本、ビールに関わる文物の展示がされているだけ。
 なのだが。
 丁度、学芸員の人が説明をしている最中だった。
 十数名の人だかりが出来ているので、便乗。
 日本の大手ビール会社が出来上がり、統廃合され、今に至るという歴史の流れを意識した展示になっている。
 展示目録リストを見るまでもなく、ビール会社から借りた品物のオンパレードで、昔の看板からラベルのコレクション、広告。麦酒税法の天皇署名原本やら、贈答用木箱、瓶を守るための藁づとなんかもある。
 考えてみればおかしくない、というものには、コルク栓のビール瓶があり、王冠の外しやすさをウリにした広告があったり。
 どっかで聞いたような話としては、ヱビスビールが、最初は大黒ビールで商標登録しようとしたが、大黒ビールはあったのでヱビスにしたなんてネタとか。
 他に、ビール会社の統合を図示したものが、なかなか分かりやすくて良かった。なるほど、だからビール会社は少ないのね。勿論、ビール税の理由もあったようだけど。
 そして、戦争中どんどん貧相にラベル(末期のそれはラベルじゃなくて印のようなもんだ)とか、戦争末期の7月時点にビール工場がみんな徴発されたとか、言われてみれば、だけど言われなきゃ流してそうな事を色々知る事が出来た。
 学芸員の人、感謝。
 他に、時代順に宣伝用ポスターも展示されていたのだが、こっちは絵画系の宿命として照明が暗く、説明書きが読み辛かった。まあ強い光に色が弱いってのは知ってるから、文句はあんまり言わないけども。

 特別展を見終わった後は、通常展示へ。
 これは、神奈川県の歴史という趣で、土器石器から始まって、近代と、申し訳程度に習俗関係が。
 特別展で少々疲れていたせいか、あんまりしっかりとは見られなかったが、それを差っ引いても少々広く浅くの傾向が見え、も一つ面白くはなかった。

 さて、館内の喫茶店でビールを売っているというのだが――。
 何か客がほとんどいなくて、非常に入り辛いのでパス。
 半券を持って行くと、近所の食い物屋でビール絡みの飲食で得が出来るという特典もあったが、これもむしろ高く付きそうな店ばかりだったのでパス。
 みなとみらい線で、さっさと横浜に戻って、リオでカレーついでにドライを呑んだ。
 まあビールつーのは、行き慣れたところで気軽に呑むのが一番で、その気軽さが味わいの一つなんじゃないか、とか何とか思いつつ、段差の付いたお冷やコップに缶ビールを注いでぐいっとやったのであった。



2006/8/16 『見落とした?』
 PS2版『デジタルデビルサーガ アバタールチューナー2』クリア。
 これって、1と2じゃなくて、前編後編だよなー。
「2作目からでも楽しめます」とかよく続き物のゲームやら何やらの謳い文句にあるけれど、あの基準で言えば「2作目からだと、ポカーンです」というところか。
 まあ、前編後編と書くと明らかに買う気がしないから、仕方のないところとも言えるが。

 ストーリーは、前後編まとめて、なかなか独特な世界観で楽しめた。
 要するに「なんじゃこの世界は?」というのが、全編を通しての謎という事になるか。
 途中、主人公が交代したから、一体どうなるやらと思っていたら、後でちゃんと復活してくれたし(まあその後みんな死んだけど)、なかなかスッキリと終わった感じ。
 ラスボス戦よりも、その前の戦闘が厄介で、四、五回ゲームオーバーになりつつ、対策を立ててどうにか撃破した。電撃ドレインがありゃあ良い訳ね。
 そしてラスボスは「ちょっと覗いてみようか」と思ったら、倒せてしまった。
 何か、前作のラスボスもそんな倒し方をしたような気がするんだが。
 今回は、パワータイプのした主人公ががっこんがっこんぶん殴って、他の連中は回復とドレイン張るばかりで削り切った。攻撃する属性が明らさまに切り替わるので、ドレイン張りがかなり楽だった。それに、前作引き継ぎボーナスで、ヒーホーリングを手に入れていたお陰で、ヒートが弱点なしで優秀なメディカル・ギア(薬)使いになれたし(酷い扱い)。
 後、隠しボスがあるらしいのだが、ストーリーが伴わない戦闘とかプレイというのは、どうもやる気にならないのでパス。独立したシナリオみたいになってりゃいいのに。まあ、贅沢ったら贅沢だが。
 そうそう、あのシューティングゲームも二面のボスぐらいで死にっぱなしのまま、おしまい。

 概ねすっきりさっぱりしたのだが。
 なんだが、「たった一つの言葉」ってのが結局何だったのか。
 いや、最後に画面に出たんだが。
 アルファベットで。
 二秒ぐらい。
 そんなん読めるか!
 ってことで、最後にイヤな感じに謎が残った。
 ので、ネットで調べると……サンスクリット語で平和?
 分からんっつーの。
 それと、猫が主人公と同じ姿になったけど。
 あれはなん?
「あなたを見守っていたのは、あなた自身です」
 とかいう事?
 も一つ分からない。

 なんか……大事な説明か何か、見落とした?



2006/8/15 『コミケの申し込み』
 コミケに行って来た。
 今回は、激しすぎる雨に祟られ、恒例のコスプレ見物はほとんどできなかった。
 道行くコスプレイヤーの中では、死神の面々や、ARIAの水先案内人、他に今年もいたヨロシク仮面、ぐらいか。

 で、申込書を買って、14日に早々に送ったのだが。
 どうやら前回ぐらいから、オンライン申し込みを始めていた様子。
 どうして使わなかったかというと――オンライン申し込みの手数料が、1000円〜1500円(ウェブマネー決済の場合、一番高い様子)。
 ああ、つまり申込書を買わずに済んでたのか――?
「オンライン申込においても、申込書セットは従来通り購入が必要となります」(原文ママ)
 買うのかよ。
 ってこたぁつまり、参加者側からしてみると。

・手書き郵送のリスク:郵便局に行く時間、書き損じ、締め切り日が短い
・オンライン申込みのリスク:データによるサークルカット作成、(電子マネーを買いに行く手間)、オンライン申込み手数料(1000円〜1500円)

 そしてもう一つ、主催者側からしてみると。

・手書きのリスク:処理(複数人が数日間拘束と言われる)
・オンライン申込みのリスク:サービス請負会社との手続き

 さて問題です、この中で、最も大きなリスクはなんでしょーか。
 主催者が手書きの申込書を処理するリスクと違うの?
「申込書の不備を見つけるのが大変です」「短冊の分類が大変です」言ってたじゃん。
 データで申込書が来たら、一万のデータの中から、一ジャンルの短冊を取り出すのだって、五秒かからないじゃん。
 だったら、オンラインを「不当なダンピング」でも何でもして、とにかく利用者を移行させるようにするべきじゃん。
 オンライン手数料なんて、申込書の値段に盛り込んで、せめて一律価格にすべきじゃん。
 じゃんぼつるた。じゃんばらや、じゃん・ぴえーる・ぽるなれふ。
 
 要するに「おまいら、オンラインで出来るようにしろとか言ったから、出来るようにはしてやったよ、ペペペ!」精神が見え隠れする。
 この元凶は想像が出来るんだ、実は。
 コミケ準備会スタッフに給料が出ていない、ここだ。
 つまり、労働力はタダであるという考え。
 普通の企業であれば「時給一〇〇〇円の労働者が、一〇時間労働を行うのと同じ設備」を導入する場合「一〇〇〇〇円まで」は支払う用意があろうが、時給ゼロ円だと、設備投資はどこまで行ってもゼロ円のまま。設備投資には全く意味がない。

 しかし、この非効率なただ働きを続ければ、スタッフのなり手がいなくなる事は目に見えている訳で。この先末永く運営を続けるには、スタッフの有給化は必要だと思うんだけどねぇ。
 さもないと、いつか、腰折れするぞ。
 例えば、新興のイベント会社が、古参スタッフをごっそり引き抜くとかした場合なんか。



2006/8/3 『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが まじめにふまじめ平和祈念』
 前から気になっていたのだ。
 度々目にしていたのだ。
 けれど、スルーしていた。
 そういう、正しくこの企画に相応しげなものが、意図せずしてあったのだ。
 こういうネタこそ、この企画の神髄であると思うのだが、そんなオレをみんなはどう思うか(はまり道風)。

 小田急線に乗っている時、何となく目につく広告があった。
 随分長く、内容の変わらない広告が。
 水木しげるの挿絵の付いた、戦争関連の資料館である。
 折角こんなに気になる代物があるのに、見に行かない手はない。
 さて。
 件の広告から、何となく覚えているのは、入場無料で、新宿のどっかのビルにあり、名前が平和祈念何たら。
 こういう時は、ぐーぐるさんに訊いてみよう!
 あっさりヒット。
 ふむ、正式名称は平和祈念展示資料館か。
 場所は、新宿住友ビルの31階。
 えーと、新宿住友ビルというと、どの辺り?
 検索してみると、このビル、ウィキペディアにまで載っていた。何でもアリだな、ウィキペディア。
 ビルの公式サイトも見つかり、概ねの位置は把握完了。
 具体的に言うと、都庁の隣りだ。
 何となく、広告を見た時には、タイムズスクェアの向こう側の印象があったが、全然違ったな。

 そして当日。
 軽くひと仕事終えて、十一時頃に家を出た。
 勝手知ったる新宿行き、さしたる盛り上がりもなく到着。
 まずは腹ごしらえ。
 西口電気街内のどんどんでカツ丼を食べる。
 十二時より僅かに早かったお陰で、店は昼間の新宿としては信じられないぐらい空いていた。
 さて、やって来たカツ丼を一口。
 んー、この「煮ておきました!」風の柔らか衣、だし汁の味、何故だか分からないのだが自分の想定するカツ丼通りのカツ丼だ。
 以前一度食べて思ったんだけども。
 かつやはちょっと違うのだ。
 コンビニのもちょっと違うのだ。
 学食のも違った。
 どんどんのカツ丼なのだ。
 原体験のカツ丼が或いはこれだったのかも知れない。
 もしも自分が美味しんぼのキャラだったら、記憶喪失になったり、失業して困っていたり、夫婦仲が悪かったり、大量の借金が出来たりした時に、こういうの喰わせると解決しそうな、そういうタイプの懐かしい味がする。
 同種の方向の味がするのが、リオのカレーと、そう、バーミヤンのラーメンとかだな。
 想定した通りの味がするというのは、確かにつまらない事ではあるけれど、ホッとする。町のホッとステーション、あなたとコンビニ、良い気分な訳だ。
 食べ終わった時には、十二時を過ぎている事もあり、サラリーマン軍団で店が一杯になっていた。
 時差昼休みとかやれば良いのかねぇ。大体、昼食を十二時に喰うって、誰が決めたんだろう? なんか嫌な感じの意図が絡んでる気がするなぁ。ちなみにウィキペディアで確認したが、昼食の項目はあったけれど、十二時の理由は載っていなかった。

 都庁を見ながら、大雑把に方向に目星を付けて歩く。
 えーと、三井だっけ、住友だっけ、確か住友で良かった筈、だな(既に曖昧)。
 地図を持って行ってはいなかったが、所々にある案内図を確認しつつ、無事に住友ビルに到着した。
 住友ビルは、三角と見せかけて六角形をしたビル。
 ビルの一階というのはいつも入りにくいものだが、まあ今回は用事もちゃんとあるので、気にせずに中に入ると――あ、下に下がるエスカレーターが。じゃあ、二階だったのかここは。
 降りると、案内所とエレベーター入り口がずらりと取り囲んでおり、ガラス天井にずどんと吹き抜けになっていた。
 フロアガイドを確認して、ああ、間違いない、三十一階に平和祈念展示資料館だ。
 エレベーターに乗り込む。
 いかにもオフィスとして使ってます、というタイプのワイシャツ、スラックス姿のばかりのエレベーター内では、Tシャツ、ジーパンの自分は浮いていたが、場違いなんて流石に慣れっこなので気にせずに三十一階に到着。
 えーと、ああ、矢印で案内がしてあるぞ。
 ふーん、さっき見上げた吹き抜けに面した部分に廊下が通ってるんだな。
 少し進むと、入り口らしき場所に到達した。
 まず置いてあるパンフレットには、平和祈念展示資料館の文字と、小田急線でよく見かけた水木しげるの絵。よし、間違いない。
 何かパンフ二つあるけど、どう違うんだ――ああ、片方は児童用か。
 受付に職員が二人いたけれど、入場無料という事もあり、何一つ受け付ける感じの用はなく「いらっしゃいませ」でもないので、会釈という程でもない会釈をしてさっさと順路に入った。

 まずは導入部。
 通路の両側に展示された写真と文章で、日本の戦争近辺のいきさつが書いてあった。
 その辺はざっくりと見て、次へ。

 次に恩給欠格者コーナー。
 言葉が正直分かり難いが、つまり恩給を貰える期間軍隊にいなかった――端的に言って、終戦間近に徴兵された――人々の「労苦」の展示。
 何でこういう展示の仕方になるかというと、そもそもこの施設が「そういう人を知らんぷりしても、説得を試みても、選挙の時に困るから銀杯と賞状でもやっておこう法」に則って政府から百パーセント出資を受けた法人が運営しているからだ。まあ、多分に政治的判断の強い施設という事。
 さて、最初に出たのは、出征兵士のマネキン。
 ついでに展示されているのが、実物の赤紙。
 こう立体で表現されると、なかなか感じが掴みやすいのは確かだが……随分思い切って金かけてんなぁ。
 続いて、マネキン展示による、「列車内の出征兵士」。
 前に立つと。
 車窓に出征の写真が次々に表示され、マネキンのうちの一体が動いて敬礼を。
 一応「人形は動きます」という旨の注意書きがあったが。
 ……不気味。
 何飢魔IIだよ! 何人形の館だよ!
 そうか、これはマネキンというよりサイボット(in 熱海秘宝館)なんだな。
 もう少し進むと、いわゆる普通の展示になった。大して広いスペースでもない。慰問袋やら、絵を形作ったタイプの千人針やらが展示されている。
 そして、モニタが一つありボタンを押すと映像が始まる、というよくあるタイプの展示があった。
 のだが、ボタンだけでなく赤外線センターでも付いているらしく、前を通っただけで映像が始まった。
 映像は展示物をなんかを絡めて、戦争時の事を効果的に音楽を使いながら説明する、というタイプのもの。
 結構長めで、見ごたえがあるというな何というか、手間暇と金をかけていそうな作り。

 その次は、戦後強制抑留コーナー。
 さっきの恩給欠格と意味的にはかぶる部分もあるんだろうけどねぇ。
 ともかく、ちゃんと補償なり何なりをしなかった事物の一つなんだろう。
 例によってサイボット展示。
 今度は、収容所内でパンを切り分ける抑留者たち。
 全員の表情が鬼気迫る感じで、やっぱり怖い。
 夜中に動き出しそうだ。
 つか、動くんだけど。
 展示されている中で印象的だったのは、防寒外套二着。片方は引き上げ後に支給された代物、もう片方は抑留中に使われていたもの。前者は復刻版かと思われる程状態が良いが、後者は両袖はなく、破れ目があり、そもそも色が全く違う。
 この両袖(取り外し可能なタイプ)のない理由が、これを二度に分けてソ連人と物々交換で食べものを手に入れたから、だとか。
 何だかすさまじい話だよなぁ。
 他に、抑留者が作った食器だのナイフだの、抑留者の帰還を訴える運動に使われたのぼりだのが展示されていた。
 映像展示も同じようにあった。
 
 最後に海外からの引き揚げコーナー。
 サイボットは、引き揚げ船内の様子。見慣れてきたせいもあって、それほど怖くない。
 この展示の中には、漫画家の覚え書きの絵も混ざっているのだが、この辺りの絵はちばてつややら赤塚不二雄やら見慣れた名前が出て来る。自分たちの世代で見知っている漫画家は、やはり兵士の年齢よりはちょっと下になるって事なんだろう。
 引き揚げ者向けの「国内情勢の変わった部分について」みたいな冊子が展示されていたが、言われてみればプチ小野田さん軍団みたいな状態なんだもんなぁ。
 港までの長距離を歩く事になり、ついて行けない者は取り残されて生きているやら死んでいるやら、なんて事も度々あったとの事。
 ここへ来てふと思い出す訳だが、この状況下で「そんな大変な旅に連れて行ったら、とても生きていけない」と、現地の人に預けてしまったのが、いわゆる中国残留日本人孤児なんだろう。
 しかし、多分意図的だと思うが、その点はこの展示では全く触れてはいなかった。政治意図が絡むと、見せるものを削っていくわなぁ。

 展示が終わった次の場所は、語り継ぐ場という、本やらビデオシアターやらが置いてある場所。
 隅っこにモニタがあり、クイズが出来るとの事なので、やってみた。
 展示にまつわるものだったようだが、ポリゴン動画が使われていたりして、ここも豪華感が強い。
 丁度二時前だったが、ビデオシアターでビデオ上映をするというので、観る事にした。
 内容は、職業旅人という太った男が、南方の元戦場を尋ねるというドキュメンタリーのような代物だった。

 それから、出口へ繋がる通路のところに、戦争体験の音声が流れているヘッドフォンが並んでいたので、水木しげるの分だけ聞いた。
 水木しげるの戦争体験については、以前本で読んだんだったなぁ。確かのびのび人生論シリーズ。あれで、赤塚不二雄とか、江戸家猫八辺りのも読んだ。

 最後に、漫画家の覚え書きみたいなものが、何枚かまとめて展示されていた。
 赤塚不二雄の「初めて見る日本は涙が出る程美しかった」というのは、先述ののびのび人生論シリーズで見た気がするなー。

 こうして、平和祈念展示資料館を後にした。
 いちいちが小綺麗で、金がたっぷりかかっていそうな作りだった。
 こんな事に金を使うな、とは言わないのだが、何となく全く設立理念と関係ないところで、余分に金を懐に入れている人がいそうに思えて仕方がない。
 十年持つ機械を、二年で交換する、みたいなタイプのさぁ。
 長崎の原爆資料館とか、もっとずっとチャチだったぞ?

 その後、ちょっとだけ西口電気街を歩いた。
 大分日差しが強く思えたのだが、汗だくになるという程でもない。
 気温が低めだったのかなぁ。

<出費>
交通費:480×2(小田急線)
昼食:550(カツ丼)
計:1510円




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