思い立ったが随筆
日々思う由無事を書き連ねています。
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2006/11/26 『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが 下町風俗資料館』
はい、東京上野公園内の、下町風俗資料館へ行って来ました!
……は? 性風俗との駄洒落で始めないかって?
ああ、考えてみたらそんな事も出来ましたね、ははははは(爽やかに)!
今月12日に、秋葉原で開かれた文学フリマに参加した。要するに、中規模の文芸オンリーの同人誌即売会のようなものと考えて間違いない。
QBOOKSとしての参加だったため店番の手は足りていたし、他のスペースを見る気も全くなかったしで、11時から16時ぐらいまで時間が出来る事が予め分かっていたので、これを利用して上野へ行った。
目的はダリ回顧展である。
美術展というのは、ぼんやりブラブラするのに丁度良いものなので、割と選択肢に入るんだよなぁ。
さて、上野駅に到着。
ダリ回顧展は、上野の森美術館だから――こっちか。
この道を――うわ、銀杏だらけだ。
ここを抜けると。
おっ、壁一面にダリの写真が。
間違えようないな――は、いーんだが。
行列が。
入場待ちの行列が。
却下。
実は、貰い物のエルミタージュ美術展のチケットもあるのだ。
こっちでお茶を濁して、と。
うん、ここは行列もなく入場できた――。
壁にずらりと人。
ここもか!
絵を見るなんて余裕もなく、一回りしてさっさと帰った。
日曜の上野公園は混みまくりでしたとさ。
そして24日、非常に珍しく仕事の打ち合わせがあり、新宿へ来る事になった。
これ幸いと、ダリ回顧展再び、上野へ向かう。
――海老名と新宿は、往復するだけで、960円するから、こういう機会を逃す手はないのさね。
昼飯として、上野の駅コンビニで買ったおにぎりを、駅前のベンチとも柵とも付かないものに腰掛けて食べて小腹落ち着け、上野の森美術館へ。
まあいくら知名度の高い美術展だと言っても、平日っぱらから行列を作るほど日本に暇人は多く――。
長い長い行列が。
あたしゃ、超常現象とか占いは信じないが、物事の流れというものは割と信じるタチである。「今日は何をやっても上手くいかない日」とか「悪い日の次の日は良い日」とかそういうヤツだ。理で言うなら、上手くいかない日というのは、体調や精神状態が悪かったり、一度上手くいかなかった事で次に上手くいかない事をやけに意識してしまったり、仕事が多すぎてそもそも失敗が起きやすい状況になっているとか。そういう時は、そういう日だと思って諦めるに限る。これは思考と行動の転換で、良い結果をもたらす事もあるし、仮に良い結果にならなくても心構えが出来ているのでダメージが少ない。
そんな訳で、ダリ回顧展は、今月ではないのだと判断し、何か別のものを探す事にした。
しかし、上野公園の中はもう何度も来ているから、ノーチェックのものもそう多くはないんだよなぁ。
上野動物園は当然の事ながら、国立博物館も、国立科学博物館も、国立西洋美術館も、東京都立美術館も見てるし。
そんな中、不忍池との境界線の隅っこの方にぽつんと一つ。
「下町風俗資料館」
の文字が。
博物館、資料館の類も、何となく入るのに良い。大した展示物が無くても、説明文だけ読んで時間が潰れたりするものだ。
よし、見るべし見るべし。
桜並木を歩き、不忍池方面へと歩く。
ここ、春に花見見物に来たとこだよなぁ。こうやって見ると、枝が随分道にせり出している。桜が真上に見えたのは、この枝振りのお陰だったんだねぇ。
階段を降りて、不忍池へ降り、そこから池沿いに歩く。
池一面に、半分枯れた蓮らしき植物が並んでいる。正直、あんまり見た目の良い光景ではない。
少し歩くと、幟を立てたちょっと寄席っぽいデザインの建物が。
ああ、これだこれだ、下町風俗資料館。
特別展で「下町の寄席」というのをやっているとか書いてあるな。
そういう事をやられると、逆に混むから嬉しくないんだけど……ああ良かった、今日はやってない。
安心して中に入る。
チケット売り場兼受付には、印半纏の係員が二人。
制服って訳だねー。
入場料300円なり。
学校の教室二つ分ぐらいしかないんじゃないかという展示スペースに、大正頃の電話ボックスに、商家の店先、長屋丸ごと。下町の町並みを原寸大で再現した展示物が。
例えば長屋は、駄菓子屋を営んでいる家という設定の一軒があり、左手は駄菓子が置かれているが、右の上がりかまちに七輪と鍋釜が置かれていて、その構造が良く分かる。
靴を脱いで中に上がっても(上がれる)、台所もない一間だからすぐに縁側に出てしまう狭さである事もよく分かる。なるほど、煮炊きは家の前に七輪出してやったのかなぁ、とか、落語で「ずいと奥へ」と言われて「こんな狭い家じゃ、裏へ出ちまう」なんてやり取りがあったが、なるほど誇張でも何でもなく奥なんてものはないわなとか。
他に、軒先にミカンの皮が干してあったり、塀と縁側の距離がやたら狭かったり、いちいちが雰囲気が出ている。
どこまでが本物の資料で、どこからが作り物なのかよく分からないが、「これが鍋です」「これが照明器具です」と、単体を見せられるよりも、こういう形になっていた方が分かりやすくて面白い。
一階は、見終えてしまったので二階へ。
物売り音声が流れる踊り場を抜けて二階へ上がると、入ってすぐの場所に昔の玩具が色々と置かれており、自由に遊べるようになっていた。
そして、こちらの展示スペースは、特別展だからかそれとも元々か、落語に縁のある資料が、先程否定した感じの置かれ方をしていた。まあ、普通なんだけど、こっちの方が。
一階同様の再現展示は銭湯で、「保健所の通達で、貸し手拭いはありません」とか貼り紙があったりして、雰囲気が出ている。
奥の方では、モニタが設置されて落語が流れている。腰を据えて聞く気もなかったので、その辺りは素通り。
そして、昔の玩具が置いてある場所まで戻って来た。
すりこぎトンボなる、こすると回転する玩具をいじっていたら、係員の人が遊び方のコツを色々と教えてくれた。なるほど、言われた通りにやると、ちょっと不思議に思えるぐらいよく回る。
他に、説明の付けづらいジャグリング道具みたいな竹のヘラとか、ビー玉を転がして枠に収めるものとか、剣玉とか、少しづつ触ってみた。これで割と面白い。何人かで来たら、恐らく結構エキサイトして、結果、何か一つ壊す羽目になり「どうしよう! 黙って帰ろうか? それとも謝ろうか」みたいな道徳の番組展開になること請け合いである。
下町風俗資料館を出た後は、アメ横を眺めつつふらりと歩き、気が付けば御徒町まで来ていたので、そのまま列車に乗って新宿に戻った。
あー、御徒町までだと160円で済むのか。大した距離でもないし、金に余裕がない時は御徒町までで良いかも。まあ、往復60円に過ぎないけれども。
<出費>
昼食:260円 おにぎり×2
入場料:300円 下町風俗資料館
交通費:350円 新宿――上野 御徒町――新宿
2006/11/9 『実録:セロハンテープ』
かつて、QBOOKSの中高生バトルで、「セロハンテープ」という話が載っていた。
病院で、親がいらないとした赤ん坊をセロテープで口を塞いでダストシュートにぶちこむという、まあ、ブラックなインパクトはあるけれど、なんだかいかにも小説書きが作った話で、リアリティのなさというかなんというかそういうもんを感じたのだが。
しかし、どうも実際に似たような子捨てが可能らしい。
今日の朝日新聞に載っていた病院の管理する「赤ちゃんポスト」というヤツ。ドイツなどではもうあるとか。上記の話とは違って、赤ん坊はダストシュートにぶちこまれる訳ではなく、その後は施設か何かで育てられる事になるのだろう。
ふむ、赤ん坊を死なせるよりは、親を殺人者にするよりは、病院にポストを用意して引き取るという、実に人道的装置じゃあないか。
……ただ。
この形で捨てられた子供が、大きくなって、島田紳助の番組で「本当のお母さんに会いたいんです」と言っていたとしても、親は名乗りでない方が良いと思われる。恐らく、その子供は、研ぎ澄まされた文化包丁を隠し持って、隙を伺っているに違いないから。
強姦による妊娠で、中絶が極度に身体に悪影響をもたらすので産むしかなかった――なんて限定的状況以外では、何ら産み捨て親に同情出来ないよな、これ。
義務教育の授業の半分ぐらい性教育にでもしないとダメなのかしらん。
あー、当然、昔は良かった系の結論ではない。
昔は公然と間引いてただけなので。
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