思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2007/7/23 『目ぐきもきちんと』
 朝起きてダイニングに行ったら、母親が目を押さえていた。
 父によると、どういう経緯か分からないが、うっかり

 自分で電動歯ブラシを目に入れてしまった

 らしい。

 その後、眼科に二度通院し、現在は化膿止め点眼薬を入れている。
 電動歯ブラシという事で、複雑な傷が出来てしまっているらしいが、ネットで調べた感じ目の傷は化膿しなければ自然治癒する類のものなので、運が悪くなければ問題ないだろう。一応痛みは引いてきている様子。

 まあしかし、こういう事故があり得るとは。メーカーも想定してなさそうだなぁ。
 米国辺りだったら、賠償金が取れるんだろうか。
 それとも、マニュアルをよく読めばそれらしい事が書いてあるんだろうか(例えば、口の中以外には使うな、とか)。
 同種の事故は、一体どれだけ起きているのだろう。
 ぼんやりしてて、鼻辺りに突っ込んでしまう事はありそうな気がする。更に滑る事で、目をかすめる事も確率的には充分にあるだろう。まして寝ぼけた人間であれば。
 これを見越して、電動歯ブラシを設計するとなると、例えば、温度感知方式なんてのはどうだろう。
 口の中に入れて温度を感知しないと動かないのだ。
 肌に一瞬当てたぐらいでは、作動しないように設定しておけば、うっかり目にぶつかっても問題はない。少なくとも、温度感知するまで目にくっつけておくような馬鹿はいないだろう。せいぜい、犯罪組織が拷問に使うぐらいだ。

 目に歯ブラシというと、漫画『さゆリン』に、充血した目を「カラーテスター(あの、歯垢に反応して赤くなる薬)でもやったのか」「下手だな、目みがきが」「目ぐきもきちんと磨かないと」というネタがあったが、現実になると洒落にならん事は分かった。
 『さゆリン』は、主人公の奇矯な行為に周囲が振り回されたりなんたりするという、構造的には『かりあげクン』的な四コマ漫画だが、うすた京介的な「ギャグを笑う」方面の笑いが面白く、評価が高いのだが、この前唐突に終わってしまった。
 作者のブログなんぞを眺めると、「四コマ漫画というのは、最後のエピソードがきちんとあるようなものはない」といった持論が展開されていたが、少々終わるのが早過ぎるだろうに。全四巻というのは。残念。まあ変にダレてしまうよりは、潔しと言えなくもないが。ペケの最終巻とか、寄せ集めみたいになってイマイチだったしねぇ。



2007/7/1 『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが バブルの残滓・江戸東京博物館』
 関西在住の詩人・大覚アキラさんが、ポエケットで東京に来るとの事。
 名前で何となく分かると思うが、ポエケットというのは詩の即売会。ケットは猫じゃなくて、マーケットの略。恐らく。
 そして会場は、というと。
 江戸東京博物館だとか。
 江戸東京博物館というと、この前チムニーの株主総会に行った時に見かけた、あの趣味の悪い建物。
 折角だから見てみるべえ。交通費も無駄にならないし(ここら辺重要)。

 ポエケットは19時までという無茶な時間設定で行われているので、特に早い遅いもないので、昼過ぎからのんびりと出発した。
 新宿で、ヨドバシカメラでプリンターのケーブルを買った後、まずはポエケットへ。
 駅は両国なので、中央線快速をお茶の水で乗り換え、総武線で3駅。
 まあ、乗り慣れた路線である。
 両国で降りる、と。
 あー、あった。
 駅からバリバリに見える、趣味の悪い高床式構造。
 方向を間違えようもないので、さっさか歩く。
 それから、傾斜した動く歩道という珍妙な代物を通り、チケット売り場前の広場へ。
 んーと。
 見上げると博物館の上部があるけど、ここはただの広場構造だな。
 場所は確か、会議室だか学習室だかいうところで、チケットは関係ない筈。しかし、普通イベント案内みたいなホワイトボードなり電光掲示板なりないか?
 まあ良いけど。
 案内図案内図――あ、あった。
 この平面図によると――現在地、空に浮かんでいますが?

 なんじゃこれ。

 フロア分けされるべき案内図が、一枚で描かれている。
 多層構造の場合は、フロア毎の図をこう、並べて表示しなけりゃ分からんでしょうが。
 ったく。
 ともかく手探りな感じで階段を降り、別の場所にあった案内図を見つけ、ようやく位置関係が掴めた。
 ポエケットの会場は高床式の土台部分で、博物館部分はあの高床式の上の方なのね。
 ポエケットでは、Q関係の人が何人も来ており、大覚さんの人望が伺える。
 挨拶程度済ませ、詩集も買って、ポエケットを後にした。

 さて、では、江戸東京博物館だが……。
 ええと、入場料は――600円か。
 「風に飛ばされないように注意しろ」というあんまりな注意書きが付いた販売窓口でチケットを買い、もぎりをするでも挨拶をするでもない職員が脇にぶっ立っているエスカレーターへ。
 エスカレーターの入り口には「6階にはチケット売り場がないので、先に買っておきやがれ」(意訳)との注意書きがあった。
 ふーん、そうなんだ。
 と、エスカレーターに乗る。
 上っている。
 上っている。
 上っている。
 上っている。
 長いわ!
 なんだ、この高さ。
 バカじゃなかろか。
 訳が分からん。
 万一チケット買い忘れたヤツが上まで行った場合、これわざわざ下らせるんかい。
 だったら、上にテーブル一つ、券売機一つでも置いてチケット売らせれば良いだろうよ。
 入り口の「自動」改札に、職員を二人も配置してるんだし。それとも繁忙期には、改札前のスペースではさばき切れないぐらいの人が集まるとか?
 ――だったら、それこそ、こんなバカ高い位置に作ってんじゃないよ。

 中に入ると、原寸大の日本橋とか、建物色々。
 なるほど、江戸時代っぽい。
 空間がやたらと広々して天井も展示場並に高い。
 橋を渡って奥へ行くと、江戸時代の建物のミニチュアが何種類か。かなりの精度で、これも相当金がかかったに違いない。
 えーと、次は奥へ行けばいいのかな、下へ降りれば良いのかな?
 そこに明らかに先へ進むにはそっちしかない筈の下りエスカレーターを迂回するような方向を指示している「順路」矢印があるんだけど、蹴り倒していいかな?
 まあ、順路矢印は無視して、階段を降りる。
 降りると、江戸時代だけではなく、戦後という括りでまとめられた展示が。
 なるほど、江戸東京の東京の方って事かな?
 進んで行くと「よみがえる東京」という題が付いていて、先へ進むと、東京大空襲で、更に進むと、関東大震災で、大正デモクラシー……。
 導線が崩壊しているのか、動き方を間違えたのか。
 改めてパンフレットを見直して導線の矢印を確認すると、館内を何往復も……。
 ……付き合ってられるか。

 えーと、長屋の風景というのがあるな。
 建物一つ――を切ったようなのが、丸ごと入っていて、中にはマネキンかスーパードルフィーか知らないが、人形が情景を演出している。けど、半端に小綺麗でイマイチ。
 生活感とかリアリティという意味では、上野の下町風俗資料館の方が上だな。
 後は、芝居小屋だの、人力車だの、水道だの、特別展で埴輪だの。
 興味を惹かれたのは、江戸時代分の地層。
 底が1600年代なのだが、途中の年代の部分に水道管(というか、木枠)や、頑丈な物入れが埋まっていたりする。大きい建物を造るのでなければ、結構いい加減に上に上に作ってしまうんだねぇ。

 と、一通り見た。
 印象としては、遺物、古物類以上に、ミニチュア展示や原寸の再現模型類がかなり多い。
 これはバブル期の金の余っている時だからこそ作れたんだろうなぁ、とは思う。
 思うが。
 何故、これを展示する為に、地上6階とかの高さの高床式博物館が必要だったのか、その理由がさっぱり分からない。設計者の意図を聞いてみたいものである。まあ、何たらを表現しているとか、ほにゃららを象徴しているとかの答えしか返って来ない気がするけれど。万博の塔じゃねーんだよ、博物館なんだよ、学術機関なんだよ、極めて実用的な代物なんだよ、分かってんのかね、設計者。
 要するに、金が無駄にあって、売り上げも何も関係なく、ただただ使いたい放題なんだろうなぁ、という穿った考えがどうしても浮かんでしまう。天下りと決めつける気もないけどさぁ。利用者の方を向いてない案内図やら何やらとか、無駄な人員配置とか、継続的業務改善が行われている施設には見えんよ、どう考えても。さっさと指定管理者制にでも移行したらどうかねぇ。

 その後、新宿のはなの舞で、残っていた優待券で食事を済ませ、帰った。
 優待券をこれでほぼきっちり使い切れた。よしよし。

<出費>
交通費:1380円(海老名――新宿――両国――新宿――海老名)
入場料:600円
夕食:2888円(お通し367円、生大*2・1324円、豚串189円、串揚げ盛り合わせ504円、いくら枡寿司504円)
計:4868円




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