思い立ったが随筆
日々思う由無事を書き連ねています。
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2013/8/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第52回 21世紀も(内面的には)少年:札幌芸術の森「ほっかいどう大マンガ展
自分が現在所持している介護系資格は、社会福祉主事と介護福祉士と介護支援専門員の三本なのだが、これはどれもそれ程レアというワケではない。
介護支援専門員なんかは、主任介護支援専門員という上位資格が存在するが、実務経験が必要となるため、実務半年ちょいの自分にはどうやっても取れるものではない。
で、かねてから気になっていた社会福祉士に白羽の矢を立てた。
立てたのだが、これが受験資格を得るまでが厄介で、所定の学歴か実務経験に加えて、養成施設での学習が必須となる。
要するにアレだ。
最初から福祉の世界で働こうと考えている人が、福祉の大学や専門学校に通っている中で取るというのが多数派なのだろう。
出遅れ組に残されているのは、2年近くを要する通信過程である。
出来るやらどうやらの心配がゼロではないものの、まあどうにかなるだろうという事で、専門学校の通信過程を始めた。
通信と言っても、2年間で通算7日だかのスクーリングが必要となり、それが本年分は7月中の土日に4日あった。
スクーリングの授業内容は、社会福祉士の業務で行われるであろう面接技法であるとか、クライアントの課題分析の手法だとかについて、ロールプレイやグループワークを行う、介護支援専門員の実務研修の時にもやったような内容で、先生の人柄もあったのか始終和やかにワイワイ行う事が出来た。
で。
学校の事務のカウンターに、「ほっかいどう大マンガ展」の招待券が置いてあったので、貰って来たのだった。
招待券、素敵な響きである。
招き、しかも待っていてくれるのだ。
コネの乏しい人間にとっては、なかなか得難いものである。
招かれたつもりで行っても「あら本当に来たの? まあいいわ」という扱いを受ける、ピーナッツ喰いを披露しに来たのび太とは訳が違うのだ。
芸術の森は地下鉄真駒内の先にある。
8月は別件で有給取って真駒内に行く用事があるから、それに合わせよう。
ついでに北海道唯一のスルガ銀行支店で通帳記入もしておかねばなぁ。
その場合の交通費は――計算している――途中下車、バスへの乗り継ぎを考えると、共通ウィズユーカードの10000円券が、まあ妥当か。
当日。
9時ぐらいには出ようと考えていたのだが、通信課程用のレポートを提出するうちに、結局十時頃になってしまった。まあ、いいや、レポートは済んだし、気分良く行こう。
天気予報では一日雨模様だけど、とりあえず曇っているだけだな。
地下鉄に揺られて大通、乗り換えて南下する。地下鉄だった筈が地上の路線となり、終点、真駒内へ到着ー。
何度も来てはいるから駅の様子は大体分かる。
芸術の森行きのバス乗り場は、こっちか。
ん、なんか凄い行列出来てるな。
なんだこれ?
ああ、墓参か。
そんな時期なのは確かだけど、でっかい霊園でもあるんかねぇ。
芸術の森方面へ行くバスは、それほど混雑もせずに乗ることが出来た。
本数は結構ある様子。少なくとも一時間に二本以上は。
少し走るとすぐに木々が増え、山がちになっていく。
ぼんやりと窓の外を眺めているうち、「マンガ展」の黄色い看板が見えた。
……そして通り過ぎて行く。
しまった、乗り過ごした。
始めて乗る路線のバスはこれだからなぁ。
とりあえず次のバス停で降りて歩く。
途中で蛇の死体が歩道に放置されているという何が起こったのだか分からない状況なども切り抜けつつ、札幌芸術の森に到着ー。
うむ、木が多くて確かに森って感じだ。そして木々の間に見える柵……には、針金が使われて……いて、『クマ避けに電気が流れています』。
リアルに森過ぎるな。
正直なところ、ヒグマがこれで完全に防げる訳ではなかろうなぁ。「ちょっと痛かったからびっくり」という程度で、明確な狩猟目的で人間狙って来たクマにとっては無視できるレベルの痛みではなかろうか。致死レベルだったら、人の見える場所に置けないし、電気代アホみたいに高くなるし。
さて、会場の美術館は、と。
見えた。
改装中らしく幕が張ってあるが、その表面に「マンガ展」のタイトルが掲げられている。大変目立って見つけやすくてよろしい。
中には入ると、ロビーがあり、受付で職員の人がもぎりとチケット販売をやっている。
職員の人は招待券をちぎってから、「そちらの有料ゾーンにお進み下さい」との事。
厳格なゲートが作ってある訳ではなく、あまり大量に人が来る事を想定していない作りだなぁ。
中に入ると、さっそくいがらしゆみこの絵が。
ほう、この人も北海道なのだな。
――この企画は、道内出身の漫画家を集めたものである――。
それから、うん、後は色んな作家の原稿が展示されている。
どこかのワンシーンで取っているものが多く、ストーリーが追えるように並べられている。
おお、グリフォン戦の原稿か。それにこっちはカールビンソンの、丁度夏に合わせたのか夏休みの宿題ネタだな。コブラはCG原稿だから、生原稿感はゼロだな。むしろディスプレイで展示した方が良いと思うが。しかし彼は相変わらずクリスタルボーイと戦ってるのか。最後がきんいろモザイクなのは、何かしらの意図があるのか。
安彦良和は漫画家イメージが少なめなんだが、ザンボットのキャラ設定とかもあるな。全然古びてないんだが、これは何? 復刻版? 当時のにしては保存状態が良すぎるように見える。
こうやって見ると、確かに絵の一つ一つは細かく綺麗な感じがある。線の一本の素晴らしさに打ち震えるような感性はないので、それ以上の印刷物との差異は分からない。
しかし、漫画原稿というものが、美術品として部屋に飾るものでない事はよく分かる。
単純に細かすぎるというのがあるし、目との想定距離がいわゆる美術の絵画と全く違う。常に一つのコマに集中するから、視線の置き所が狭い。つまり漫画は読むためのものであって、眺める為のものではない。絵を見せるのではなく、絵を使って物語を見せるもの。絵画よりも小説などに近い。
端的に言えば、このような美術品と同様に扱う展示にはあんまり向かないのだろう。
あ、出版物の展示もあるな。
OUTの第二号だっけ。いきなりアニメ誌に転向したヤツ。思いの外小さいな。へえ。末期で誌名変更した「Megu」ではA4よりでっかくなってっけ。
一通り見終えて有料区画から出ると、さっきは気にしていなかったが、一画で漫画図書館が設置されていた。
そこで思い思いに子供や大人が漫画を読んでいる。
恐らくは、これが適切な漫画の展示法なのだが、劣化を考えると絶対に出来ないんだよなぁ。難しい。
外に出てから、野外美術館に常設展示を見に行く事にする。
、しかし結構歩くなぁ。
有島武郎邸もあるらしいが、行く元気がやや乏しいので行けたら行く感じで。
ああ、ここだな、野外美術館入り口。
招待券にこっちのチケットもあるので、チケット売り場で渡す。
「ここからここの区域はスズメバチの巣の駆除直後のため、立入禁止です」
……森!
こっちは彫像が森の中にぽつぽつある、箱根の彫刻の森と概ね類似した感じ。
で、あっちはピカソ館だが、こっちは佐藤忠良記念こどもアトリエだ!
……ちょっと格が。
中に入ってみると、絵本が展示されている。
絵本作家……あ、これは国語の教科書で見かけたおおきなかぶではないですか。
なるほど、その絵を描いた人か。
ふむふむ。
今改めてみると、この、カブの妙なリアルさがいいな。
葉っぱ一本をおじいさんが持って曲げてる感じとか。確かにカブの葉っぱと茎だし、張りがあるからこういう感じに曲がるよ。
でかいよ。たしかにでかいし、間違いなくカブだよ。
他に、子供と名付けてあるだけに工作教室か何かをやるスペースがあり、作品が並んでいる。
子供の作った顔の像。
これを、芸術家の作品と言ってもごまかされる事は間違いないが、そこに何らかの主張がなければそれは芸術とは異なるものなんだよな。アクションペイントで絵の具を壁に撒き散らす事は誰にでも出来る。けれど、それに意味付けをして作品として差し出す、この過程があるから芸術作品な訳だ。どちらでも同じ、と考えてしまう人は、どちらも理解出来ていないだけの事で、喩えるなら、ロシア語と鉛筆を削る音が「どちらも意味が分からないし、周波数が近かったから同じ」と言っているようなものだ。
その後、彫像をざっくりと見終えて、昼過ぎに芸術の森を後にした。
帰りの足で健康診断に行き、何の問題もないとの診断を受けた。
生活習慣が良いのか、まだそういう歳じゃないってだけなのか。決戦は四〇代。
<出費>
交通費:1,020円(琴似―310―真駒内―280(-80)―芸術の森入り口―310―真駒内―280(-80)―琴似650円 乗継割引適用)
入場料:0円(招待券適用 1,000円:ほっかいどう大マンガ展 100円:野外美術館用追加分)
計:1,020円
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