思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2008/10/31 『奇跡の救出劇』
 まあ自分が携帯電話を持たない主義という事を差っ引いて聞いて構わんのだけれど。

 テレビの救出劇とか、災害の話とかで、その時持っていた携帯電話で助けを求めて、助けられたという話がある。
 なるほど、緊急時の命綱になるかくも便利な携帯電話なるものを持たねば、昨今安心して外も出歩けないわい、と。
 思わされる訳だ。

 でもこれって、バイアスかかってないかぁ?
 確かにその人は携帯電話のお陰で助かったろうが、それって、そんなに多数の例なんだろうか。
 地震で狭い場所に閉じこめられる、犯罪者に連れ去られる、事故に遭う、そこで携帯電話のお陰で九死に一生を得る確率は、携帯電話の脇見で交通事故を起こした数を打ち消せる程に多いのか? もしも携帯電話がなかったら、それはそれで他の手段で解決出来た程度の事態だったって事はないか?

 一番引っかかるのは、携帯電話会社というのが、結構TVでCMを打っているでっかいスポンサーの一つであるという事だ。
 もしもこの手の番組のスポンサーに携帯電話会社が付いているようなら、何だか眉に唾せねばならんのではないかなぁ、と思う。

 イザって時の為、で煽る商売って、何か胡散臭い。
 備えておけば何があっても困らない、てな考えは、度を超せば逆効果だと思うんだけど。
 例えば昔の権力者やら学者やらは、不老不死の薬として、水銀を飲んだりしてだな……。



2008/10/19 『遠くへ行きたい……って訳でもないんだが タダより安いものはない、水族標本5・6 葛西臨海公園』

 ここのところ八王子取材と一緒にしてばかりなので、たまには別なとこに行こうと考え、ぼんやりとぐぐってみた。
 んー、どっかねーかなー。十月というと、鉄道の日記念きっぷが使えるんだよなー。こいつは少々割高な青春18きっぷ3回分というような位置付けで、以前に京都行きに使った事がある。
 こういう、乗り放題系はお得感が強いから出来れば使いたい。
 お手軽なのは都区内パスとかなんだけど。
 ただ、都区内パスは、意外と得をしないんだよなー。
 一番端っこが葛西臨海公園だけど、これがまた半端で、幕張までありゃあとても使い勝手が良いんだけど。
 と、この辺りまで割と実際に思考した。
 で。

 ――葛西臨海公園って、実は行ってなくね?

 ふむ。
 でも、ただの公園だと見るもの全然なくて面白くないけど、実際どういうとこだ?
 何かあんのか?
 ぐぐってみると、公式ページが出て来た。
 あれ、水族園……ああ、水族館あるのか。
 あー、そうか、観覧車も見えたな、あの辺り全部か。
 とすると結構見るとこありそうだな。
 ん?
 5月4日(みどりの日)、10月1日(都民の日)、10月10日(開園記念日)は、水族園入場料700円が無料?
 八王子取材からの都区内パスで交通費を削って、入場料も無料を狙う、とすると。
 これは、随分とお得な気が!

 ――ええ、最初のコンセプトがどこかに行ってしまった事は気づいてますよ。ええ。

 当日。
 移動時間やら何やらあるので、少し早めに出発して、9時28分発の相模線に乗った。
 道中の消耗を見越してマツキヨでアミノバイタルなど買って飲みつつ、八王子取材をざっくりと終えた。
 さて。
 ここからが問題。
 切符の買い方だ。
 都区内パスをここから買おうとすると――はい、このように往復券付きになってしまいます。
 片道でいーのに……。
 従って、西荻窪まで行ってから一旦降りて都区内パスを買う必要がある。
 ふむ。
 状況を把握して、中央線に乗り込む。
 さーて、快速に乗ると――。
 あ。
 中野まで来ちゃった。
 西荻窪まで戻るか? いや、まずはここまでの運賃は幾らだ?
 精算機で金額を確認。
 ――460円。
 なんだ、10円しか変わらんのか。
 わざわざ引き返す程の事もないや。
 一度改札から出て、都区内切符を買い、再び車中の人となった。
 ようやく東京駅へ到着、ここから無駄に離れている京葉線の乗り場へ歩いて、と。
 列車に揺られる事暫し。
 葛西臨海公園へ到着した。
 いかにも埋め立て地の駅っぽい、小綺麗な駅から出る、と。

 あ、観覧車ある。
 でかいなー。
 で、真っ直ぐ先の方にある入り口のコンクリートに、葛西臨海公園の名前が入っていた。
 よっしゃよっしゃ。
 ぼちぼち広い道を歩く。
 無料日の割には、そんなに人がいっぱいって事はないなぁ。
 ――と、何やら人だかりが。
 スピーカーで増幅された人の声もする。
 みれば、ものを一杯投げている行儀の悪い人が!
 なに? 次は支えてもいないのに梯子に乗るって? まあ危ない! なんて悪い子でしょう!

 ――大道芸人の人でした。

 反対側を見ると、もうすぐに水族園の入り口で、横断幕に無料公開日の案内が出ていた。
 大阪に行った時も、水族館の前に大道芸人がいたけど、何か水族館と大道芸の間にはバーターでもあるんだろうか。

 行動の基本は食事から、という事で、すぐそこにあるレストラン「ブルーマリン」に入ってみた。
 レストランと言っても、セルフサービス式で、入り口で注文と支払いを済ませ、出来上がったものを受けとった後に席へ行くタイプ。
 何を頼むか、な、と。
 メニューに大して種類もなく、値段も松屋基準で言うと高めなので、そこそこ安めな小エビかき揚げ天丼を頼む。650円也。
 微妙に待たされた後、ようやく出来上がり。味噌汁とお新香の小皿付き。
 さて、空いているテーブルへ移動する。
 お昼時まっさかりの13時前なのだが、混みまくっているという事もなく、相席にもならずに座れた。
 さて。
 天丼である。見知らぬ天丼、というのはもの凄く沢山の人が言っていると思うので、やらない方が良い。
 パッと見た感じ、かき揚げ的な母体に、別枠で揚げたような小エビが何匹か散らしてある。
 まずは一口。
 ――ん、なんかサクサクしてる。サクサクしておりますぞ、殿(誰だよ)!
 ふむ、注文があってから揚げているっぽい。
 何か意外だな。
 かき揚げの天丼というと、揚げ置いてふやけた、ぐにっという感じの歯触りのかき揚げを予想していたのだが。
 ――その認識もどうなんだ。世の中スーパーのパックのかき揚げしかない訳でもあるまいに。
 なかなかうまい。
 そこそこ満足した。

 じゃ、葛西臨海水族園へ行こう。
 まず正門から中に入ると、記念撮影用のスペースがあった。
 その向かいに土産物屋。
 そこらはスルーして進む。
 親子連れが割といるが、人で一杯という事もない。
 無料パワーをもってしても、平日だとさほど人を呼べないのだろうか。花金なのに(昭和か)。
 ずずいと奥へ進むと、入り口のゲートが見えて来た。
 つまりここが――うん、タダで通れる。
 タダで通れるからと言って、職員の人がいない訳ではなく、普通にいて、ベビーカーの貸し出しやら何やら、対応をしている。
 ゲートから中に入ると、今度は階段が一つあって、更に先にガラスのドーム様の建物が。
 ――って、正門から随分と歩かされるんだな。
 ドーム様の建物まで歩く。
 少し回り込むと、海を隔てた向こうに、多分その名を言うだけでお金を取られそうなナイトメアな夢の国の建物がちょっと見えた。
 さて、ドーム様の建物だが。
 これ、列車から見えた気がするな。そうか、こういうものだったのか。ちっとも気づかなかった。
 この建物のガラス様のドームが。

 ……何の意味もなかったなんて。

 いやさ。
 この中にあるのは、がらんとした空間と地下へと続くエスカレーターの出入り口が一つだけ。
 植物を育てるでもなく、動物を生かすのに使うでもなく、スペースも、ガラスによって光が入る事も、何一つ利用してはいない。
 これじゃ、ただ地下鉄の入り口みたいなのでいーじゃん! ガラスの分メンテナンスとか面倒じゃん! 変な設計!
※開園年月日 1989年(平成元年)6月1日(ウィキペディアより)
※バブル景気(バブルけいき)とは日本の経済史上で1980年代後半〜1990年代初頭にかけてみられた好景気である。(ウィキペディアより)

 エスカレーターで、下へ入って行く。
 水に潜る事をイメージする「ごぼごぼ」という音がスピーカーから流れていた。
 まずは――おお、ハンマーヘッド。
 ほー、シュモクザメってヤツだな。
 さて、ザクザク見て行こう。
 ふむ、展示のお題は「世界一周」で、各地の海をイメージした水槽が用意されている。
 ちなみに「すいそう」を一発変換すると「水葬」が出て来た。良くあること、良くあること。
 へー、リーフィシードラゴンか。本当に海草にしか見えない。ちなみに一発変換で「会葬」が(<ATOKの教育方針がどこか間違っている)。
 イワシの水槽もあるな。
 あ、マンボウもいる。1メートルぐらいか? しかし、マンボウというと、昔の江ノ島水族館にあった3メートル級のマンボウが印象深いんだよなぁ。あのクラスのマンボウの生きたのを見せてくれるんだったら、往復4万円まで出す覚悟はあるけどね。
 写真ないかなーと思ってぐぐってみたところ、こんなのがあった。そうそう、こんな大きさだった。でも、江ノ島水族館のは見当たらないなぁ、まあ当時はデジカメも普及してなかったからなぁ……残念。
 大水槽では、カツオかなにかが泳いでいるのだが、イワシが群を作っているという事もなく、てんでばらばらに泳いでいる感じ。
 ふむ、全体的に、古びた感がある。新江ノ島水族館のイメージと比較するのが悪いんだけども、こう、水槽の底のコンクリートが露出した感じとか、ガラス(アクリル)が微妙に濁った感じとか。
 そんな事を思いつつ、別の大水槽の前へ。
 あー、魚がいっぱい泳いでるねー。
 休憩所込みにでもなってるのか、シアターの観覧席風の席が並んでるけど、まあ、見えるのは水槽だけだな。

 ……ん?

 待て。

 なんか、人と魚の比率がおかしい。

 ――マグロでした。
 うわ、マグロの群か!
 すげえ!
 マグロの群の水槽は、初めて見た気がする。
 大丈夫なのか、こんな飼い方して。
 うわー。
 水流が作ってあるようで、回遊を続けている。
 脇の方には小さい通路が作ってあって、隣の水槽と繋がっている。鯵かなにかの群がたまに紛れ込んで「やべえ!」って感じで引き返したり、そのまま一周して反対から抜けたり。
 うわぁ……。
 こんなマグロが一杯の水の中って、絶対入りたくないな。
 大体、人間以外の巨大な生物と一緒に水に入るって怖い感じがする。
 無論、極度に小さい生物がうじゃうじゃしているところも嫌だ。
 まあ一緒に泳ぐのが許されるのは、タガメ3匹までかな。あー、いや、タガメ突然出くわすと、8割の確率でゴキブリ、2割の確率でカメムシって思いそうだな。

 一通り見た後、順路は一旦外へ出る。
 磯の生物を触れるコーナーが用意してあり、ウニを触らせて貰った。
 棘が尖っているイメージがあるけど、別にそれほどでもないんだな。これなら、栗の方が100倍危険だ。種類によるだろうけど。それと、棘とは別に「足」があって、吸盤状になっているというのも教わった。確かによく見ると、身体の下の方の針が、こう広がってぺたんとくっついている。これは知らんかった。
 その奥へ行くと、これは……ああ、ペンギンだ。
 おお、泳いでる泳いでる。
 何だかずっと泳ぎ通しで、陸に上がる所は見られなかった。結構長く泳ぎ続ける生き物なのだな。
 生き物の展示ばかりではなく、「ナガサワくんのお仕事」なる、水族館そのものに関する展示もあった。
 掃除用具や餌、病気の治療法などの説明があり、割と面白い。

 これで順路一巡、出口前の館内レストラン(昼食を取った場所とは全く違う)と土産物売り場(これも入り口の門の近くにあったものとは別)に到着した。
 出口とは別に、海向きのスペースに出られたので、少し出てみる。
 船の帆みたいなテントがあって、くつろげるようになっており、海が見渡せる――のはいーんだが。
 池が設置されていたと思しき場所が干上がっており、腐臭が漂っている。「汽水池」らしいが、これ、正常な姿なのか?
 早々に退散して、またレストラン前に戻った。んー、しかし、気になるな、このメニュー。

「ペンギン体験メニュー」

 って。
 魚介をふんだんに使った――というか、それしか使っていないオードブルセット風。
 しまったな、食事をこっちで取った方が面白かったのに。
 でもこれ、酒のつまみっぽい割には、出す酒がビールと赤白のワインしかないんだよな。
 魚介には日本酒が基本だと思うんだけど……。
 今度来る事があったら、頼んでみたいものだ。
 こうして、水族園を見終えた。

 ――が、しかし、これで終わりではなかったのだ、CMの後もまだまだ続くのであった。

 脇道をだらだらっと歩くと、こぢんまりした建物が。
 淡水生物館、か。
 丁度「カエルは偉いんだぜ」という企画展をやっていた。
 概要はカエルの展示と、カエルのパネル展示。
 カエルが減ると、都会は虫だらけになるぜ!
 という話。
 理屈は分からなくもないが、カエルに限った話でもなかろうなぁ。
 一つ隣りでは、渓流を模した水槽でイワナやヤマメ。
 何となく、ただ見るだけで言うと、渓流の展示が一番爽やかな感じだな。

 水族園から出て、海の方へ歩く。
 ここまで海の近くに来て、実際の海を見ないのでは収まらんしね。
 遠くに、ガラス張りの建物が見えて来た。地上三階建てか四階建てぐらい。
 これは――クリスタルビュー? ――ああ、つまりは展望台だ。
 中に入ってみる。
 特に金を取られるとかはなく、係員がいるわけでもなく、小綺麗だが殺風景。
 つらつらと上がってみる。
 見晴らしは悪くはないが、所詮三、四階建て程度なので、鳥視点にも神視点にもならない。塔チェッカー(好きとかマニアではないらしい)としては、この高さはイマイチ不満。
 ふと見ると、葛西臨海公園の埋め立てにまつわる文章が掲示されていた。
 ふーん、ここは昔の渚を幾らか残そうという意図があって公園なのか。
 見るものは見たので、クリスタルビューの1階まで降りる。
 と、その先に地下へと続く狭い階段が。
 展望台の地下って何ぞ?
 駐車場? 何?
 恐る恐る降りてみると……並ぶ自販機と椅子、人が一人、二人。

 ……休憩所だった。

 何かもっと分かり易く表示しておけば良いのに。
 休憩所は地下に相当するのだが、ビルなどにたまにある外に面した地下というヤツで、そこからそのまま海方面に出口があったので、そこから外へ出る。
 海がようやく手の届く距離に。
 芝生のような、ただ草が生えているような斜面を下る。
 途中、カメラマン的な人と助手的な人が、花を背景にモデルさん的な女性を撮影していた。白いドレス姿だったけど、グラビア撮影……って感じじゃないなぁ。いや、何しろモデルさん的な女性が、50絡みぐらいに見えたし。

 海へ近付くと、橋が一つ。
 ややこしいが、この先は葛西海浜公園扱いになる様子。
葛西海浜公園は、人の入れる西なぎさと入れない東なぎさに分かれているという構造。
 橋を渡り切り、西なぎさに辿り着く。
 初っ端見える、手書きの看板にバーベキューがどーたら書いてある管理事務所が、場末の海水浴場的な雰囲気を漂わせる。
 特徴的な形の水道がすぐ側に設置してあり、これは水遊びをした後に足を洗う為の水道だが、ここにも「バーベキューの洗い物に使うな」という掲示があって興醒めな感じ。
 バーベキュー用のスペースは、少し離れた場所に用意してあるが、特になにかが設置してある訳ではなく、灰や炭の跡からそう読み取れるだけ。
 ゴミ捨て場はあるが「バーベキューのゴミを捨てるな」と。

 ……あのー、いっそ禁止にしちまえば? バーベキュー。

 その先、すぅっっと海岸が延びており、走ったら相当な運動になりそう。
 ひとまず波打ち際まで歩く。
 人工感漂う均等なサイズの岩が並ぶ波打ち際。
 何となくすぐに深くなりそうな気がして、ここで水遊びをするのは勇気が要りそうだ。
 実際、「突然深くなるから遊泳禁止」とか書いてあったし。
 まああれだ、これは、何だかんだで仕事が日の高いうちに終わった午後、少し波打ち際から離れた場所に腰掛けて、のんびり缶ビールの1、2本かっくらって、文庫本か新聞の1、2ページも読み進めた後30分ぐらい午睡して帰るような、そんな使い方が適しているような気がする。

 こうして、葛西臨海公園を後にした。
 午後だけで見て回るには、少々広すぎるな、これは。
 機会があれば、鳥類園とか見にまた来るかなぁ。

 その後、折角都区内パスがあるのだから、と、神田で降りてみたが、神保町の位置が分からずただウロウロするだけだった。それから気を取り直して秋葉原に立ち寄り、帰った。
 海老名に戻って、ショッパーズプラザを覗いてみると、氷結果汁ストロングという新製品が出ていたので買って帰った。
 後から調べて分かったが、JR神田駅と神田神保町は1キロ以上離れているのか。そりゃあ、駅の案内地図に載ってない訳だよ!

<出費>
交通費:2150円(海老名―480―八王子―460―中野―※730―新宿―480―海老名)
※中野―450―葛西臨海公園―210―神田―130―秋葉原―160―新宿
アミノバイタル500ml:98円
昼食:650円(葛西ブルーマリン……小えびかきあげ丼650)
入場料:0円
※700円
駐輪場:100円
計:2,998円(※3,918円)



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