思い立ったが随筆


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2009/1/31 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第9回 少年以外もジャンプ:雪印杯全日本ジャンプ大会
 年末に札幌市営地下鉄に乗っている時、ふと中吊り広告に目が留まった。
 スキージャンプが1月3日に行われる、と。
 何となく記憶に引っ掛けたままにしておいたのだが、1月の勤務のシフトを確認したところ、1日が夜勤、2日が明け、3日が休み、というスケジュールになっていた。
 ふむ。
 スキージャンプか。
 何だかんだでテレビでしか見た事がないし、かなり近場だし、行ってみよう。
 ぐぐって公式ページを見つけ、詳細確認してから当日。

 札幌市営地下鉄で、円山公園駅まで向かう。
 ここから無料バスが出てるんだよな。
 えーと、どこだろ。
 ああ、案内表示あった。
 こっちがバスの待合いスペースだ。
 で、今まさにバスが来ている。
 乗り口で、スタッフの人が、無料バスの整理券を行き帰りの分配っていたので、受け取って乗り込む。

 では出発出発。
 なかなか人が乗っている。
 座ったりは出来ない。
 バスはつらつらと進み、途中、円山動物園前で停車してから、更に進む。
 次第に登り坂になっていく。
 除雪された雪が、ちょっとした壁になっている。新潟とかの豪雪地帯程ではないけれど。
 そして、大して時間も掛からずに、宮の森ジャンプ競技場に到着した。
 宮の森ジャンプ競技場というのは、札幌の市街から見えるぐらいの距離なので、あっという間だ。

 おー、ジャンプ台だ。
 入場料を払ってチケットを買わねば中に入れないけれど、既にここからジャンプ台は見えるし、飛んでいる人も見える。
 その中と外の区別がどれだけあるのか少々疑問ではあるが、ともかくチケットを買って「中」に入る。入場料千円也。
 もぎりのところで、スタンプカードとチラシのようなものを配っていたので受け取る。
 見れば、他のジャンプ大会の招待チケットだった。
 ……この感じだと、かなり安直に手に入るチケットだったらしいな、招待チケットつーのは。勿体ない。
 ビッグサイトの見本市系とかもそんなだよなー。一応高額な料金設定されているけれど、申し込めば簡単に無料券が手に入るという。
 でも、公式サイト見た限りでは、食べ物の割引券ぐらいしかなかったな。新聞取ったら貰えるとかそーゆーのか。
 スタンプカードの方は、「他のウィンタースポーツの大会」毎に押印されるものだった。どう考えてもケースに入れて一日首から提げる類のもんではないと思うが。

 予選は始まっていて、観客もかなり集まっている。
 選手が所属していると思われるスキークラブから応援も来ている。
 ズリズリと人の間を進み、ジャンプ台のすぐ脇まで行く事が出来た。
 おー、降りて来る降りて来る。
 ジャンプを終えて、ストップするところが目の前辺り。
 ジュニアの部もあるようで、ほとんど飛べていなかったり、転倒したりする選手もいくらかはいた。
 少しスキージャンプについて調べてみたけれど、これが処刑法であったというのは俗説で、実際には普通にスキーで遊んでいるうちに自然発生したものだとか。まあ、雪の斜面から人を突き落とす殺人法の類ぐらいはあったんじゃないかとは思うけど。

 DJっぽいアナウンスで次々に出場者がジャンプしていく。
 かなり良いテンポ。
 たまに転んだり、着地態勢に失敗があったりした時は雪均しをするけれど、それ以外はサクサク進む。

 ふむ。
 よく晴れているから、そんなに寒い事はないけれど、じっとしているのもちょっと面白味に欠ける。
 右手に観客席が見えるから、あっちまで移動してみよう。
 人の隙間を通って、観客席へ向かう。
 放送席の間を通って、観客席、へ。

 ……なんだこれ。

 おおよそ座席と呼べるものがない。
 何というか。
 雪に埋もれている。
 座席だけなら良いが、階段もかなり雪に埋もれている。
 うわ、洒落なんない。
 けど上ってみる。
 一応足跡あるし!
 上る。
 上る。
 上る。
 手すりにしっかり掴まって上る。
 急な階段で、雪がしっかり積もっているので、手を離したらそのまま普通に滑落する。
 ようやく上り切ると、反対側は山の斜面になっていた。このまま遭難出来そうだ。
 観客席の上から、更にジャンプ台に近付ける。
 ここまで来ると人はかなり減っている。
 手すりにしっかり掴まりつつ、ジャンプ台の近くへ。
 そして。
 行けるほぼ最上部に辿り着いた。
 55メートル地点。
 ジャンプ台沿いに階段があり、そこで足を止める。
 報道の人っぽい、でっかいカメラやマイクを持った人の姿もある。
 ジャンプ台隔てて向こうには、審判員の人がずらりと並んでいる。
 赤外線感知とかレーザーとか、なんかそういうもので計測している訳ではないらしい。
 さて、ジャンパーを見ようじゃないか。

 おう、目の前を飛んで行く!
 壮観だ。
 スピードがあるのは想定内だけれど、風切り音が凄い。ジェット機みたいだ。
 ゴォッと鳴りながら飛んでいく。
 いや、それは素晴らしく大迫力なんだけどさ。
 これ。
 飛んでいくつーよりも。

 落ちてね?

 斜度が30度とか40度とかの斜面に飛び降りる感じ。
 確かに横向きのベクトルはあるけど、こう、ジャンプじゃねぇ。
 ジャンプっていうのは、自由落下とは異なる方向への移動が多くて然るべきな気がするの。
 スカイダイビングで「飛んでる」って言うのと似た感じの違和感がある。
 多分、視覚効果を高める為に、試行錯誤したんだろうなぁ。
 あんまり飛んでる感が少ないと、観客も付かないだろうし。

 いやぁ、生で見ると本当、テレビで見えないものが見えて来る。
 面白い経験であった。

 ――で。
 帰りはあの急な観客席を下りるんだな。
 やれやれ、難儀な事だ。

<出費>
交通費:400円(琴似―200―円山公園―0―宮の森ジャンプ競技場―0―円山公園―200―琴似)



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