思い立ったが随筆


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2010/4/27 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第12回 ぶんぶんぶんがくがかん:渡辺淳一文学館

 自分は、「好きな作家は?」と尋ねられると、渡辺淳一の名前を出す時がある。
 誤解をしないで欲しいのだが、物書きの端くれであるが、その人種内で絶望的に読書量が少ない。
 その浅さ故か、「この人の作品が大好き」と、大声で叫び、本棚を同じ作者で一杯にするような事がない。
 故に、渡辺淳一に傾倒するという程に好きな訳ではなく、せいぜい文庫本を5冊かそこら読んだ程度である。
 そんな文脈で自分が名前を出す作家というのは他に、アイザック・アシモフ、菊地秀行、柴田錬三郎ぐらいだろうか。後は、単発の作品で、作者の名前もはっきり覚えているかどうか、てな事になる。

 さて。

 北海道は渡辺淳一の故郷であり、活動拠点である。
 その縁で、札幌には渡辺淳一文学館が建てられている。
 最低レベルながら渡辺淳一ファンとしては、一生に一度は行っておくべきだろう。
 いつぞやに当企画の行き先を探していた時に存在を認識していたのだが、雪も深かった為敬遠していた。
 しかし、今や雪は融けた。
 いくぜ、渡辺淳一記念館!!
 ぐーぐる先生に公式サイトを教えて貰い、アクセス方法の確認。
 はあ、中島公園隣接か。
 札幌駅から南下するだけのお手軽な場所。
 目星付けたので、愛車ぽす太で出発ー。

 ついでの用事を済ませた後、松屋すすきの店で優待券を使って先に昼食をとる。
 ビビン丼大盛りにサイドは冷や奴。
 よくやる組み合わせだが、味の強いビビン丼には、冷や奴が良い箸休めになる。
 優待券で出来る物に、キムカル丼に半熟卵という取り合わせもあるのだが、こっちは箸休めになるものがないので、脂っこいものをしっかり食べたい時向け。

 腹ごしらえが済んだので、更に南下。中島公園に到着ー。
 あー、ここに隣接してるホテル、去年の3月頃に今の会社の説明会で来たんだよな。一社だけじゃなくて、職安の主催する合同説明会だったっけ。
 公園の中を通らず、脇の道を進む。
 あー、なんかあるなー。
 公園内に建物があるけど、あれは何かな。
 歩道が疑似石畳で走りにくい。
 少し進むうちに案内看板が出て来た。
 そしてもう少し進むと、渡辺淳一文学館に到着ー。
 まあ、これは迷う要素ないな。

 入り口は愛想のないともオシャレとも取れるコンクリート造り。
 おしゃれっていうと、久米宏は今どんな活動をしてるんだろうなぁ。
 喫茶営業もしているようで、「コーヒーだけのご利用も云々」書いてあるが、普通そういう風には入らんよな。
 中に入る。
 えーと。
 受付というかレジというかそんなのだが、無人。
 順路とかあるのかと思って、階段の方に行ったら、職員のお姉さんが出て来た。
 文学館を見学の場合は、料金を払え、と。
 ここは一階が喫茶スペースと図書館になっていて、二階が渡辺淳一の資料館になっている。で、二階が有料。300円也。
 入場料を支払って上がるべし、上がるべし。

 おう、階段の時点で渡辺淳一の写真だ。
 写真だ。
 ……まあ、顔なんか覚えてないけどな!
 顔見て一発で分かる小説家の方が少ないって。作品が好きだとしても、本に著者近影なんて付いてない事の方が多いしね。
 上がり切ってみると、展示スペースが広がっている。
 広くも何ともないワンフロア構成だが、一作家の展示スペースと考えると妥当なところだろう。

 展示物を見て行く。
 業績を書いた年譜があるな。
 細かい細かい。
 恐らく全作品載ってるんだろうけれど、医者時代の事も触れてるから、壁のかなりの面積を使っている。更に、活動中の作家なので、最後の部分の後にスペースがまだある。

 次は資料類。
 原稿と初版本。
 おうおう手書きだ手書きだ。
 失楽園もあるし、白い宴もある。
 これが一番の展示物だな。
 殴り書きみたいだけど、かなり字が整っている。
 医者なのに不思議な事だ。
 この人はワープロには移行しなかったんかな。
 だとすると、編集者も結構大変だろうな。無論、手書きを扱う為の技術を独占出来ているお陰で会社に残っていられる、という可能性もなくはないけれど。

 成績表もあった。
 売れっ子作家になるとこういう物も曝されるとは恐ろしい……。
 のではなくて、人様に見せられる成績だから、敢えて展示してるんだよな、これ。
 5が多い事多い事。
 まあ、医者になるという事は自然科学系の学習に対して興味や感心があり、作家になるという事は人文系対する興味だけでなく日本語による読解力と表現力がある、となるので、専門化の進まない高校までの学習では万遍なく高成績を修められるのは納得が行くわな。

 それから、写真展示。
 映像になった作品のあれこれ。
 流石に色々映像になっているが、自分が物心付いた後のものはあまりない印象。もう少し前に人気のピークがあった感じだろうか。
 他に、女性とのツーショット写真の色々。まあ恋愛物系の話のイメージもあり、女好きキャラの部類なのだろう。で、実際に交遊のある女優や女性作家なんかのインタビューには、「本当は結構テレ屋なんですよ。でも、そこがとってもチャーミングなんです」みたいなテンプレ褒め言葉が付いていそうだ。

 常設展示スペースは一通り見たので、特別展示を見る。
 最近に出た本の仮刷りやら本刷りやら。
 随分何度もデザインの直しが入ってるな。
 デザイン面はみんなQさん任せだったから分からないけど、自著もこんなだったのかしらん。

 文学館スペースはすっかり見終わったので、一階に戻り図書館を見る。
 図書館と言っても、吹き抜け二階分の壁一面が書棚になっているだけで、図書コーナーというぐらい。ただ、上まで棚があるので、踏み台が装備されている。レールの上を動く本格派、外国のファンタジーっぽい映画に出て来そうだ。
 渡辺淳一作品も右側に揃えて置かれているが、これは手を触れて良いのか分からない感じ。
 そして、左側には普通の本も置かれている。
 本の背中に番号シールとか付いているから、貸し出しもしているように見えるが実際はどうなのだろう。まあ、わざわざ借りる気はないんだが。
 ざっと背表紙だけ見た後、来館者向けアンケートを書き、外に出た。
 ファン度が高ければ高い程楽しめる感じだな、ここ。

<出費>
入場料:300円(渡辺淳一文学館)



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