思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



 月記帳 バックナンバー

2006  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2007  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2008  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2009  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2010  1月  2月  3月  4月
2010/5/31 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第13回 ジブリ的によくある光景:小樽観光船
 北海道の地理に疎い人の為に解説すると、札幌というのは大体北海道の真ん中から少し左下に寄った辺りにある。そこから左斜め上に進むと海に辿り着く。そこが小樽市である(酷い説明)。
 で、先日当企画とは関係なしにふらりと行って、港を覗いてみたところ、観光船の営業が行われている事を知った。
 ご承知のように、ごんぱちは横浜生まれのハマっ子でありマドロス的な何かっぽい霊が多分取り憑いているので、当企画でも東京湾フェリーやシーバスに乗っていたりして、船は嫌いではない。
 一度乗ってみたいなぁ、と思ったところが、4月の下旬からの営業という事で、乗りそびれた。
 無念を晴らすべく、再び小樽の地を訪れる事を決意したのであった。
 カッコ良く言うと、「アイルビーバック」である(片仮名が既に格好悪い)。

 小樽の観光船の航路と値段と時刻を調べる。
 この中で一番大事なのは時刻である。
 船は電車よりも遙かに本数が少ない事が多いので、一本逃すと2時間待ち、なんて事が、少なくとも東京湾フェリーではあったからして。
 ルートは2つ。
 祝津航路と、オタモイ航路。祝津航路は、小樽水族館への連絡を兼ねており、オタモイはいわゆる遊覧でその先の岸壁の下なんかを一回りして帰って来るというもの。
 で、ダイヤは、1時間置きだが、平日は12時の便がない。
 となると11時か10時の便だが、さてどうするか……いっそ、陸路で先に祝津に行って、そっちから帰り道に乗るという手もあるなぁ。
 まあ、向こうに行ってからの時間のかかり方で様子が変わる事もあろうし、時刻だけ把握しておけば良いや。

 そして当日。
 9時に西区民センターの図書室で本を借り、その足で函館本線の琴似駅へ。
 Yahoo!の路線検索では、9時12分に小樽行きがあった筈!
 それなり急いで、時間前に琴似駅に到着――あれ? 12分発がない。
 ん?
 なんでだ?

 ――Yahoo!の路線検索では、「琴似」をキーワードにすると、地下鉄琴似駅が出る為、徒歩移動の時間が盛り込まれます。並の注意力で見れば、簡単に分かります。

 列車に揺られ、一路小樽へ。
 図書館で借りた、「あらゆるヨゴレをとるコツのコツ」とかいう本を読みつつ。
 ふむふむ、ベンジンがあると油染みが落とせるのか。
 買うのめんどいから使う事もないのだろうなぁ。
 40分程で小樽に到着した。

 昭和の匂いのするホームだよな、小樽って。
 時計も白地の丸い文字盤に黒文字の典型的な駅時計だし。
 しかし平日なのに観光客っぽい人が結構いるな。
 リタイヤ後の楽しみか、修学旅行か、リストラ会社員か、フリーランスか、外国人か……まあ、色々あり得るか。
 改札を出て、「ご自由にお取り下さい」になっている観光マップを一応貰って、駅の外へ。
 さて、ちょっとは歩くかも知れないから、靴紐を締め直そう。
 締め直――あ。
 ファスナー壊れた。
 いや、前から壊れてはいたんだけど、完全に外れてごまかしも効かなくなった。
 仕方ない。
 駅前の長崎屋で靴を購入。
 いつか買うつもりだったし、下手なところで壊れるよりもラッキーだったかも知れん。
 改めて仕切り直し、観光船の乗り場へ向かう。
 駅前の通りをそのまま海方面に歩くだけ。迷う余地はなし。
 船の形状はよく分からないけれど、甲板でビールの一本も飲みたいので、通り道にあったローソンに入る。
 えーとビールビール……ここはサッポロクラシックにするのが筋だが……ありゃ、ヱビスがキャンペーンやってる。あのフィギュアとかが入ってるような帽子が付いてる。一つ買ってみるか。
 クオカードで支払いを済ませ、観光船乗り場へ。この時点で10時30分。出航が11時だから、ちょっと待っていれば良いぐらいの時間になっていた。
 窓口で乗船チケットを片道分買い、港の周囲をぶらぶら歩いて時間を潰す。
 よく晴れてるな。
 倉庫が並んでいるけど、結構朽ちた感じ。使われているのかいないのか分かり辛い。
 横浜や東京とはやはり人の絶対量が違うわな。
 そうするうちに、船が到着した。

 うわ……小さい。

 貸し切りの屋形船と同じサイズだ。
 遊覧船とかフェリーというよりも、シーバスって感じ。ボートだな。
 乗り場には、数名乗客が集まって来ていて、乗船案内を待っている。
 親子連れが2組、大人の一団が2組。
 窓口で親子連れが、カモメ用の餌を買っていた。
 出航5分前になり、皆乗り込み始める。
 屋根付きの甲板に、ベンチ型の椅子が後ろに1列、縦に4列並んでいる。大変ショボイ船だ。これが全盛だった時期は存在したのだろうか。
 波を受けて、船がゆらゆら揺れている。
 いよいよ出発。
 陸の係員の人が棹で突いて方向転換を手助けしつつ、船が動き出す。
 エンジンの振動が伝わって来る。
 海面が近いせいで、それなりに快調なスピードで進んでいる感覚があるな。
 船の案内の音声が再生され始める。
 と。
 カモメが何やらたかり始めた。
 ああ、親子連れが餌をやってるのか。
 ほー、集まって来て……うわ?
 なんか凄い来てるぞ、すっごい数来てる!
 走る船を追ってガンガン飛びながら、餌をキャッチしている。
 後ろを見ると、真っ直ぐ追って来るカモメたちが見える。
 真横を飛ぶカモメは、顔も赤い嘴の先もはっきり見え、手を伸ばせば届きそう、つか、多分届く。
 凄いな、こんなに近くで見るのは初めてだ。
 人に危害を加えたりはせんのだろうか。
 船は防波堤の外に出て、陸沿いを祝津まで進む。岩場と浜が交互に現れる感じ。
 乗船時間が25分想定なだけあり、もう一つ防波堤を越えたら祝津港が見えて来た。
 その先に、灯台と鰊御殿とおたる水族館。
 ああ、見覚えのある場所だ。
 程なく、船は祝津港に到着した。
 東京湾フェリーとはまた違った面白味があるな。
 ただ、この小さい船で1時間も乗っていたくはないな。25分が丁度お手頃だろう。

 今回、おたる水族館に行く予定はないが、鰊御殿と灯台は見ておこう。
 道沿いに土産物屋と食べ物屋がある。食べ物屋の店先では、炭火で棒で刺された鰊が焼かれている。んー、そのタイプの売り方は、ヤマメとかイワナとか川魚向きな気がするけどどうなんだろ。このサイズ、棒を持ってかじるイメージ湧きにくいって。
 鰯御殿と灯台が近付いて来た。
 しかし、鰊御殿って灯台のあんなに近くにあったんだな。
 まずは鰊御殿へ。
 「営業中」の赤いのぼりが立っているので、中で食堂でも開いているのかと思ったら、別にそういう事はなく、ただの資料館だった。見学料300円。
 広いな、しかし。
 ふむふむ、単に鰊で儲けた人間の豪邸って訳ではなくて、鰊漁の労働者の下宿所の面もあったのか。
 間仕切りもない雑魚寝とすると、どんだけトラブルがあったやら。
 鰊漁やその後の加工についての解説や資料が色々と揃っている。
 職員の人が、鰊の加工について説明してくれた。鰊は絞った時に出る水分以外、捨てるところがないとの事。
 なるほど、図解ではよく使い尽くされているが、肥料も含めるとどの魚でも使い尽くせそうな気がしなくはない。後はそれをやろうとするかどうか、ぐらいか。
 2階には隠し部屋がある。いわゆるパニックルーム的なものではないか、という推測がされているが、実際のところは分からないらしい。
 一通り見終わった。
 出口のところに、「ご自由にお持ち下さい」と、浮き球が置かれていたが、割らずに持って帰る自信がないので手を出さず。観光に役立ててくれ、と、寄付されたものだそうな。

 それから、灯台へ行く。
 観光用の灯台ではないので登る事はおろか、あまり近付く事も出来ないが、設置場所自体が岬の突端にあるのでかなり見晴らしが良い。
 んじゃ、この見晴らしの良いところで、柵に腰掛けてビールをば。
 まず、オマケを開けてみる。
 説明書きにあった通り、ちっこいスライドミラー、鏡だな。
 何に使うんだろ。光通信?
 ナノユニバースというのは、衣料メーカーか?
 さて、ビールビール、シルクヱビス。
 開けると、少々溢れ出す泡。
 ぐっと飲む。
 滑らかな泡だ。
 無駄な風味がないのが、ちゃんとしたビールのちゃんとした所以だよなー。
 コップに注いだ方が当然味は良いけれど、野外でちょい腰掛けて飲むには缶から直じゃないとね。
 青い空、灯台、生え始めた草、それから風。
 やっぱり良いやね。

 その後、おたる水族館からバスで小樽駅に戻り、回転寿司屋で寿司を食べてから帰った。

<出費>
靴:10,290円
交通費:1,920円(琴似―530―小樽―650―祝津―210―小樽―530―琴似)
入場料:300円(鰊御殿)
ビール:254円(シルクヱビス)
飲食:1,695(廻転寿司 とっぴ〜 105円×5 130円×9)



トップへ