思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2010/12/30 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第20回 イブ、どーすっと、ええだー:北海道立近代美術館
 当連載を読んでいる方なら、ごんぱちがミュージアム類に何となく行く趣味のようなものがあるのはご存じだろう。
 であるからして、今回、北海道立近代美術館に行く事に、確固たる動機がなくても特に不思議ではないのだ。

 今まで隣を通り過ぎる事は幾度もあったのだが、中に入った事はなかった。
 一度行ってみたいなー、と、思いつつも足が向かなかった場所である。

 当日、クリスマス・イヴ。
 んー、気温少し高いのかな。
 雪が融け気味だわい。
 まあ大して歩く訳でもないから関係はないけど。
 地下鉄西18丁目駅で降り、北に少し進むと、白い建物が見えて来た。
 よしよし、ここだ。

 入り口は――なんか真正面が閉まってるけど、休館日ではないはず。
 横から回り込むと……うん。やってる。
 変な作りだな。
 風水か?

 入り口から、ロビーに入る。
 ミュージアムショップと、特別展の展示の一部と、階段と。
 えーと、チケット売り場然としたチケット売り場がないな。
 総合案内みたいなブースが、チケット売り場を兼ねていた。
 特別展と常設展示、両方がまとまったチケットを購入。千円なり。

 んじゃ、まずは特別展を見よう。
 今は、『アミューズランド トゥモロー 2011 カラー・パワー! 色って不思議 !!』
 てな展示をやっている様子。
 色に重点を置いた展示という事のようだが、まあ、実際よく分からん。
 入ってみるべし。
 まず、ド頭に、色とりどりの各国のイメージの子供服が展示されていた。

 ……そういう展示なのか?

 めげずに奥に入る。

 ん、これは……クイズラリーの用紙だ。
 展示物に関するクイズが載っている。記入の為のクリップボードまで親切に置いてある。

 では、作品を観て行こう。
 日本の着物が展示されてるな。
 婚礼の衣装から、流行を一変させた黒の衣装、赤べこ。
 赤べこ?
 ああ、色か。
 ふむ、赤い色は疱瘡避けっていうのは、どっかで聞いた事があるな。
 次はガラスの器。
 発色綺麗だな。
 それから、光で夢を表現したもの。
 で、こっちは……。
 おう、なんか夕焼けの風景みたいな、ボウルが。
 あ、これなんか面白いな。
 ビルの影みたいなギザギザの縁のボウルだ。
 ぐっと近づいて視界を狭くすると、夕焼けの街並みみたいだ。
 地球の悲鳴が云々、というテーマがあるらしいが、単に面白い物体だな。

 んーと、こっちは絵だな。
 全部の色を使おうとした、という口実でサーモグラフィみたいな色合いで人物が描かれている。
 好みではないな。
 写真もある。色を強調されているから、何か鮮やかな感じだ。
 ちょっと暗くて入りこんだスペースあるな。
 白くて大きい絵で……滝か。
 感じ出てるな、いかにも滝って感じだ。
 まあ、写実的で分かりやすいという事がキャッチーなのかも知れない。

 最後に、子供らと作ったという林みたいな一角。
 カラフルでぐねぐねした木が乱立する様は、海蛇が逆立ちしてるみたいだ。

 どれもこれも一貫性があるような、取り留めないような、珍妙な漢字だな。

 素人が美術鑑賞をする際に興味を高める手法の一つに、「自分が一点だけ買うならどれにするか」、とか考えながら観るというのがあるが、自分の場合はどれだったかな。
 まあ、夕焼けのボウルかな。


 次は常設展示。
 フランスの「蜂の巣」とかいう、トキワ荘みたいなのを中心とした作家群に合わせたとか何とか。
 専ら絵画ばかり。
 五分ぐらいで描いたような、殴り書きみたいなのもある。
 これしか描けないのなら下手としか言いようがないけれど、きちんとしたものも描けるんだろうなぁ。
 こっちのこれはなんだ? くどい絵だな。
 平面のクセに立体感があるけれど、その立体感が法則的に不自然だからくどい。何か凄い感じはするけれど、部屋には絶対に置きたくないタイプだ。
 ……客、少ないな。
 平日の午前中だとこんなものか。

 大体一通り観た頃、学芸員の人が近づいて来た。
 この後、解説のツアーをやるけどどうか、との誘い。
 博物館の類なら興味は湧くけれど、美術系は最低限の知識も欠いているので、解説も猫に小判みたいな事になりそうなのでパス。
 二階にもう少し展示があるんだな。
 木彫りの作品か。
 暗示的な――モダンアートってヤツだな。
 北海道の開拓とかをモチーフにした作品群らしい。
 人の歯型を使って恐らくは無数の魂みたいなのを表現したり、ミイラみたいな形で人を表現したりとか。表現を暗喩的にしようとしている割には、イメージが妙に直接的な気がする。
 あんまり合わないな。
 コラージュっぽくて、イメージに繋がらない。

 これで作品は全部見終えて、展示室から出た。

 昼食時だったので、レストランをちらと覗いてみたが、「スープカフェ」とか書いてあって、これ、というメニューもなさそうだったのでパス。まあ元々、今日は桑園のとっぴーに行こうと考えていたのもある。
 ミュージアムショップは、何かあるかな?
 大体、在り来たりなものが置かれている。叫びのビニール人形って、どこでも売ってるんだな。
 ああ、子供向けの名画の説明の本もあるのか。
 いずれにしても、店員さんの視線を感じ過ぎるので、落ち着いて見る事は出来ず。買うか買わないか完全に曖昧な状態で物を見ている時に声かけられると、非難されているようで鬱陶しいわな。まあ、実際に声をかけられた訳ではないんだけれど。

 美術館から出た後、函館本線の桑園駅まで歩き、駅に直結している廻転寿司のとっぴ〜で昼食を食べた。
 とっぴ〜は、値段設定が120円と240円という、単純な店だったのだが、今は100円や380円も追加されてちょっとややこしくなっている。クオリティとネタの大きさはまあまあ、新装開店して間のない店舗だから綺麗。追加のワサビがデフォルトで用意されていないのはごんぱち的には結構マイナス点。混在の皿が結構用意されていて、種類を色々食べられるのは面白い。サーモンの3点盛りを食べたが、普段は頼まない高い方のサーモンを食べられたのが良い。
 総じて言うなら、悪くはない、というレベルか。

 しかし……思い起こすのは、上野のアメ横近辺の回転寿司屋である。
 税抜き130円均一なのだが、何かすさまじかった。
 店員さんが国際的で、接客態度も国際的なのが一つ。
 カウンターの上の方が汚れてベタベタした感じになっているのが一つ。
 一つのネタが10個ぐらい一度に流れて来て、ライン作業そのものみたいな感じなのが一つ。
 切りっぱなしのネタがバットに無造作に山盛りにされていて、それをどんどん握っている様子が目の前で見えるのが一つ。そのせいで、ただのマグロの赤身の筈が、トロのようにバラバラになっているのが一つ。
 追加のワサビがあるのは大変有難いが、溶きかけの粉ワサビらしく、半分水が上がっているのが一つ。
 ――いや、別にこっちも大して味なんて分かりゃしないけどさ。
 まあ場所が場所だけに、北海道の回転寿司屋のレベルが高いとかそういう話ではないだろうな、これは。

<出費>
交通費:400円(琴似―240―西18丁目 桑園―160―琴似)
入場料:1,000円(北海道近代美術館 特別展+常設展示)
昼食:1,350円(とっぴ〜桑園店)
計:2,750円



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