思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2011/3/8 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第23回 BLはビールの略ではない:サッポロビール博物館
 皆さん意外に思われるかも知れないが、ごんぱちはビールを割と良く飲む方である。
 大体、一週間に一、二回はビールを飲むという酒豪っぷりである。
 このビール大好きの自分が、日本のビールの一大生産地である北海道にいて、ビール関連の施設を見に行かないというのは道理に合わない事である。
 そのような世の理に従うべく、サッポロビール博物館を見物に行く事にした。

 場所は札幌東区だったなー。
 大学の頃、何度も見かけて場所を把握していたようないないような。
 まあ、少なくとも入った事はない。
 最寄り駅が苗穂なので、琴似からJR一本だ。
 ちなみに、苗穂は苗場とは全然違う。
 「バ」と「ボ」が重要。それを体現したのが、バボちゃんである。ウソだと思うなら、番場蛮の「バ」と「ボ」を入れ替えてみると良い。ドラえもん的な意味のダイナマイトボディみたいな響きになるから。

 閑話休題。

 当日、図書館でちょいと本を借りてから、JRで出発。
 まだ雪が割合に残っているので、自転車で走れる状況ではない。
 無理をすれば走れるが、無理をするモチベーションが湧かない。
 札幌駅のその先、苗穂駅で下車。
 車両の整備場がある駅なんだな。
 ホームはなんか、昭和っぽい。時計とか。
 あっちにある階段はなんだ? 妙に細くて吹きさらしの通路が付いてるけど……社員用通路。そういうのもあるのか。
 目的地は北側なんだが、出口がそっち方向にない。南側に「アリオ札幌へはこちら」というサインが出ていた。確か、アリオ札幌はサッポロビール博物館と隣接していた筈だから、そっちで良いようだ。
 改札を通り駅から出て、駅前の通りを西へと進む。
 と、北方向へ繋がる、線路を跨ぐ歩道橋が見えた。
 あれなら行けそうだけど、ここ、日立の敷地みたいな。公道とも駐車場とも取れるような作りをしている。
 周囲をよく見回すと、また、アリオ札幌への案内表示が出ていたので、安心して渡る。
 歩道橋の上から見ると、列車一杯だなぁ。
 道外の鉄道マニアの人だったら、大喜びな感じだろうな。
 自分は交通機関の中では鉄道がかなり好きな方だけれど、好きの絶対量がそんなに大きくないからなぁ。
 でも、自動車と鉄道を比べると、圧倒的に鉄道だやね。
 自動車っていうのは「道を早く進む機械」で、鉄道っていうのは「目的地に素早く移動する機械」だと思うのだよ。
 真っ直ぐを是とする線路の引き方や、秒刻みで綿密に組み上げられたダイヤグラム、速度を追求し続ける車両、等々、「目的地へ素早く移動する」というはっきりした目的に対して、妥協を極力排除し洗練が成されている。そしてこの目的は、乗り物が生み出された理由そのものだと思うのだ。
 歩道橋を渡ると――あ、煙突見えた。
 「サッポロビール」の文字が入ってるから、一発で分かる。

 少し進んで、アリオ札幌の脇を抜け、日本ハムファイターズの練習場の脇を抜けて、裏側から入って来た。
 あ、蒸気機関車が展示されてる。
 関連性はさっぱり分からんけど。
 煙突でかい。
 レンガ造りが凄いな。
 ツタが存分に絡まってて良い感じだ。
 さて、ぐるりと前に回って、と。
 なんだか樽が並んで文字が書いてある。
 「開業式」と添えられているので、開業時の再現のようだ。
 少し行ったところに、「サッポロビール博物館」の看板が!
「見学無料、見学する時は係員に言え(意訳)」
 係員云々が引っかかるが、基本ウェルカムの筈なので、遠慮せず入る。

 中にはガラス細工と薪ストーブと燃料用ペレットの見本が!
 ――何だか分からん取り合わせだな。
 もう一つドアをくぐると、案内のフロントがあった。
「ご見学の方ですか」
「左様(チョビヒゲを撫でながら)」
「三階から順路になっていますので、エレベーターをご利用下さい」
 てなやり取りがあってから三階へ。
 撮影はどーなのかなー……あ、写真のアイコンに――「○」印だ!
 撮影OKなのか。
 はっきり書いておいてくれると助かるな。
 順路表示に従って展示を見始める。
 まずは、何故北海道でビール造りが始まったか、という説明。
 黒田清隆の名前が出て来るのか。なるほど。
 なになに、ホップの自生が確認できた事と、ビール製造に必要な氷があったから。そして、特産品を作る事で、まだ開拓途上だった北海道に産業を興そうという意図もあった、と。
 なるほど、結構勉強になる。
 ホップ自体は、結局外来種を使ったようだけれど、原種でビールを作るヤツとかいそうだなぁ。
 プロジェクトX的な希望と困難の話の上に、ビール自体に興味が湧くから、結構読み込んでしまうな。

 こっちは年表か。
 サッポロビールが今に至るまで。
 こういう時は自社の情報ばかりを出しがちだけど、合併後にアサヒと分割された事情から、他の会社の事も載っている。
 ヱビスビールが一八九〇年そこそこの発売……あ、丁度今書いてる話と時期が合うじゃないか。
 そっか、ビールとかビヤホール事情とか何となくイメージ出来て助かるな。
 最初のビールが一本三〇〇〇円ぐらい、か。
 この相場がどう動くのか、折れ線グラフかなんかが見たくなるな。
 何となく知識があるなぁ、と、思っていたが、何年か前に横浜でビールのラベル展を見ているからだな。あの時も、ビール会社の合併とか、戦時の統制とかあったもんなぁ。

 それから、ビールの製造工程を童話的に表したジオラマ。
 実際の行程を知るにはデフォルメされ過ぎているけれど、小さな子には理解し易いかも知れない。
 小さな子供が、ビール製造に興味を持つかは知らないけど。
 更に一つ回り込んで、ホップや大麦のサンプル展示。
 二条大麦と六条大麦って、そういう特定の品種じゃなくて、種の付き方による、大まかな括りだったんんだな。

 三階の展示を見終えて、階段で二階へ下がる。
 階段の傍らに、麦汁を煮る為のタンクが展示されているが、もの凄くでかい。
 丸っこい感じが、かなりアッザムっぽい。
 二階に降りると、看板が展示され、それから、ポスターが展示されている。
 おー、色々あるなぁ。大体、美人画っぽいのから、写真のポスターに移って行く感じ。
 その先に進むと、今まで出した商品が展示され、モニタではCMが流れている。
 何となく覚えているCMも、やっぱりあるなぁ。懐かしい。
 缶ビールも展示されているけど、古い時代のはすっかり寸胴で、肩が丸くなったりしてないんだな。
 クラシックも並んでる。
 ふむ、記憶にあるのは、初代じゃなくてリニューアル後か。現代のは更に改訂してるんだよな。でも、今のはちょっと安っぽくなってる気がするんだよなー。あ、富良野ビンテージは、クリスマスっぽい色で可愛らしくて良かったけど。

 展示を見た跡、一階へ降りた。
 有料試飲が出来るけど、どうしたものか。
 一杯二〇〇円、おつまみ付き。
 クラシックや黒ラベルは普通に買えるけど、開拓使麦酒はそこらで売ってないし、飲んでみるか。
 食券を買って、おねいさんに渡す。
 ――泡の具合の為だろうけど、ちょっとこぼし過ぎてないか? そういうものなのか? 
 おつまみは四種類の中から一つ選ぶ。
 米菓子系らしきものが二種類の、チーズが二種類。
 あんまりじっくり選ぶ感じでもなかったので、適当にチーズを貰った。
 それからビールとコースターを受け取って、手近なテーブルにつく。
 想像通りグラスは小さい。
 150mlぐらいは入っているか?
 まずは一口。
 ふむ。
 やはり普通な感じ。
 微妙な味の違いとか分からんよね。
 チーズも食べる。
 ベビーチーズのカマンベール入りみたいな食感や味わい。
 のんびり飲んでごちそうさま。
 サッポロビール博物館を出た。

 同じ敷地内にサッポロビール園があったの、かな?
 よく分からない。
 まあ入る気もないし、いいか。
 札幌駅まで歩くか、それとも、豊平まで歩いて寿司喰うか。
 考えつつぶらぶら歩くうちに、もう一本の煙突の近くまで来た。
 こっちはサッポロファクトリー。
 あー、そうか、大学生の時に建設中を見たのは、こっちだったか。
 敢えて何を見るという事もないのでスルー。
 何かの折に行くかも知れないけど、今日ではないな。
 それから結局、豊平川を越えてトリトンに行き、寿司を食べて地下鉄で帰った。
 今日のトリトンは廻っている皿が少なかった(普段のトリトン比。他の店と比べたら、まあ普通ぐらい)のと、隣の席の大きなお姉さんが店員さんを「君」付けで呼んでてイラッとしたのとで、あんまり食が進まなかった。
 廻ってない回転寿司というのは、この業態の持つ唯一無二の利点である「来店二〇秒で食べ物を口に出来る」「注文をする必要がない」という部分を捨てている事になるからなぁ。特に後者は、逆に通常の飲食店よりも注文回数が増えてしまうのだから、プラスからマイナスへ一足飛びのサービス低下と言わざるを得ない。


<出費>
交通費:480円(琴似―200―苗穂 学園前―280―琴似)
試飲:200円
昼食:922円(回転寿司トリトン 豊平店)
計:1,602円



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