思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2011/7/10 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第27回 さっぽろ、夏のパン祭り(ウソ):北欧館パン博物館

 札幌でよく見かけるパン屋に、「北欧」がある。
 「ガンプラ買って来たわよ、ゆうちゃん」みたいな、もの凄い違和感のある名ではあるが、まあ、そこはそれ。
 調べたところ、どうやら道外にも手を広げているようだが、発祥は札幌である。
 これの本社が、実はかなり近傍にあり、通り過ぎる度に気になっていた。
 何となれば、
「世界初のパン博物館」
 との横断幕が掲げられていたからである。
 確かにパン博物館というのは聞かないが、世界初とか言われる程に大したものな気はしない。
 行ってみようかな……いや、行く程でもないかな、待て待て行くのも手だろう……でもなぁ……。
 と、こういう中途半端で曖昧な感じのまま、ずっと放置されていたのだが、この度行ってみる事にした。

 ただ、この博物館「営業時間が土日限定」という、「本当はやりたくないけど、なんか無理にやってるだろ!」というのがありありと感じられる営業形態の施設なのだ。
 改めてネットで公式サイトを開き、時間を確認する。
 ええと……ああ、パンバイキングも同時開催なんだな。
 で、時間が……11:00〜14:30。
 完全ランチタイム狙い撃ち。
 うわぁ……本当に行こうと思わないと、完全に逃すわこれ。
 しかし、ここのページに書いてある「バイキング」の説明。
「北欧バイキング族の食事から名付けられたバイキングスタイル」
 ……いや。これ確か違ったろ。
 帝国ホテルのシェフ考案した形式で、「何か豪快な感じ」というイメージだけでくっつけた、電気ブランの「電気」と同じ程度の語句だったろ。
 そしてこの豆知識は、既に様々な媒体で結構広まってる筈なんだが。

 当日。
 長編の執筆等で少し時間を食い込ませながら、11:30頃に愛車ぽす太で北欧に到着した。
 えーと、駐車場はあるけど駐輪場っぽい場所はよく分からんから、この植木の間に置いておこう。札幌は雪のせいで自転車文化がイマイチ未成熟だなぁ。
 正面入り口はパン屋スペースで、脇の駐車場の間から入る場所に、パン博物館とスカンジナビアレストランの共通入り口がある。
 中に入ってみると、自動ドア一つでパン売り場と区切られ、奥にエレベーターが設置されている。
 ふむ、二階がパン博物館とレストランで、三階がパン工場が見学出来るのか。
 何はともあれ、パン博物館だな。
 「パン博物館はこちら」の案内が書かれて「ここから有料」と書かれた先に、展示物が見える。

 ……えーと。

 その。

 入場料はどこで払うの?

 有料区間とそうでない箇所の区切りに、券売機とか受付とかもぎりとかそういう人が全く配置されていない。
 やる気あんのか?
 いや、ないのは分かるけど。
 どうせ、週二回しか営業しないんだから、あくまでついでの営業でしかないわな。
 改めて見回すと、レストラン用のレジがあったので、そっちに声をかけ入場料の300円を支払う。
 チケットはなく、単にレシートを渡されただけだった。
 建前上有料だけど、実はタダ見しても文句言われないっぽいな。まあ、紳士としてそういうセコイ真似はせんで、きっちり支払うが。
 中にはいると、パンの配達用の自転車やら、パン焼きの窯やら、肝っ玉ママンがパン生地を伸ばしたり、暴漢をぼてくりこかす為に使うコロコロ棒やら、居酒屋でピザをのっけて出すラバーなしの卓球ラケットみたいなのやらが、パン焼きの厨房をイメージしたレイアウトで色々と並んでいる。
 へえ、パンの配達用のおかもちなんてのもあるのか。バケット用のパン置き棚とか、何か不思議な感じだな。
 少し開けて、ガラスケース内に様々なパンにまつわる物品が置かれている。
 パン用の弁当箱か。鍵付きってのが凄いな。どうせ盗まれればその時点で壊されて喰われるだろうに、無駄なギミックだわい。それとも毒殺の心配でもしてたのか?
 パン年表とかもあるな。
 発酵したパンは高級品だったとかあるけど、酵母なんてのは増やせば良いような気もするんだけどな。
 あ、何か船が飾られてる。これが一番でかい展示だな。つか、展示スペース狭いなぁ……。

 この棚は地味だけど一体……ん?
 ギリシャ時代の庶民のパンと高級なパン? ローマ時代のとか、中世のとか、これなんか麦が粉になってなくて麦のおにぎりみたいだ……うわぁ、色々なのあるな。飢饉時に作られた土のパンって酷いな、これを元に土器が生まれた――って、んなワケあるかい(一人ツッコミ)。
 これが一番の展示品じゃね?
 道具類とか最低限にしといて、もっとでっかく場所取って展示すれば良いのになぁ。

 一通り見終えて、三階を覗いてみる。
 パン工場は――作業してないや。
 時間のせいか、日曜だから休みなのか。
 平日も覗けるのかね、ここ。土日限定だとしたら、何の意味もないスペースだな。

 さあ、ぼちぼち昼食にしよう。
 と……。
 親子連れ多いな。
 まあ壁際じゃない真ん中の方のテーブルは空いてるから、そこに座れそうだ。
 960円を支払い、盆と皿を取って、いざ。
 パン屋だけにパンがメインだ。
 よもや丸ごと一個ではあるまいな、と思ったが、それは杞憂。8等分ぐらいにされていた。
 のだが、一つのトレイに何種類も敷き詰められているので、自分が取ったパンが何なのかさっぱり分からない。
 甘いかしょっぱいかも、だ。
 まあ躊躇っていても始まらないので、何か適当にピザっぽいのやらカレーパンっぽいのやらを少しづつ取って皿を一杯にする。
 こっちのテーブルはサラダだな。そんで奥が少しお腹に溜まるものとスープ。
 ふむ。
 じゃあ、ミネストローネと、スパゲティ3種、ポテトフライとウインナー、と。
 こんなところか。
 目星を付けておいた席に座り、いただきます。

 ピザっぽいパンを食べる。
 んむ、うまい。ピザっぽい。
 カレーパン、ふむ、カレーを入れて揚げたパンだ。
 マヨネーズみたいのが載って焼かれたのもある。
 ふむ、むぐ、ふむふむ。
 パンを食べる事は少ないから、割合に新鮮な気分だな。
 ミネストローネをちょい飲み、スパゲティを食べ、ウインナーを食べ……。
 うん。
 パンをまた取って食べる。
 サンドイッチもあるな。貰おう。ハムとキュウリのオーソドックスなタイプだ。
 うむ。
 今度はサラダのところの冷製スパゲティを。
 うむ。
 なんというか。
 パンやスパゲティばかりを食べていると。
 ゴローちゃんの言葉を借りるなら、堂々巡りをしているような気分だ。
 もう少し具体的に表現するのなら、しょっぱい物を食べた時点で、脳が反射的に白いご飯を受け入れる構えになっているのだが、またしょっぱい物を食べてしまうので、いつまで経っても「ご飯を食べた、食べ終わった、ああ満足」という感覚がない。
 それなのに、腹ばかり膨れていく。
 ああ、物足りないままに腹が一杯だ。
 これ以上食べれば不快になるだろうから、この辺りで引き上げるのが利口というものだ。種類を食べられているので、損感はない。
 のんびりとパン博物館を後にした。
 後で何か食べようかなぁ……いや、食べないだろうな。金も勿体ないし、食べすぎになるし。

<出費>
入場料:300円
昼食:960円(パンバイキング)



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