思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2011/10/14 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第30回 萌えとかとは関係ない:モエレ沼公園

 雪の知らせが届き始め、事態は一刻を争う。
 そう、今年自転車が使用できる期限が近付いているのだ。
 ちょっとした遠乗りで行けそうな距離で、なんか見てみたい場所……という事で、地図を眺めるうちに、目に付いたのが「モエレ沼公園」である。
 2ちゃんの書き込みだったか何かは忘れたが、「良い」とか「一度は見ておけ」という扱いの場所だった。
 公園はどこまで行っても公園だと思うが……と、少し調べてみると、完成したのが2005年という新名所の部類で、芸術発想でデザインされた公園だとか。
 ふむ、行ってみよう。
 通院で札幌駅近くに行くついでに、もう少し足を伸ばすイメージで。
 午前中に両方行けたら、ちょっと得した気分だし。

 当日。
 朝、早めに行こうと思いつつ、それ程早くはならず、9時前ぐらいに出発。
 移動時間どれぐらいかな。
 石狩の海まで行った時はどれぐらいかかったかな。
 色々考えつつ、ぐーぐるマップで確認した通りに道を進む。
 道のりは割と単純だし、途中で丘珠空港がランドマークになるので、迷う心配は薄い。
 愛車ぽす太は、すいすいと進む。
 ちょっと曇ってるなぁ。
 カラッカラに晴れてても日焼けとか気になるから、妥当なところか。
 北24条の通りを東へダラダラ進む。
 えーと、この先道がちょい曲がったところ、西友の先を左折……よし、間違ってない。
 ストリートビューで確認しておくと色々はかどる。
 自動車道と交差したな。
 この先一つ道をずらして、うん。
 何だか農村地帯みたいになって来たぞ。
 いかにも北海道の農地。だだっ広くて直売所で玉葱売ってる。っていうか、玉葱しかないだな。
 丘珠空港に発着する旅客機も見えた。あ、観光用のセスナ機も飛んでる。
 ぼちぼち近付いて来ている筈だな――ん。
 なんか、遠くに、山が。
 ビフォー・アフターの匠が、廃棄物を隠蔽したのと同じような、木の一切生えていない草色の山が!
 間違いなく、モエレ沼公園の山だ。
 方向は分かったが、まだもう少し距離があるな。
 進んで進んで、あ、これっぽい。沼隔てて向こう側だ。
 道路標示発見、右に曲がると入り口……でも、直進した先にも沼をまたいだ橋が見えるな。
 橋の方に行こう。
 反対側の車線には、温泉がある。そう、札幌ってぽつぽつ天然温泉あるよな。
 定山渓とかと近しい泉脈なのかねぇ。

 モエレ沼公園入り口に到着ー。
 9時40分ってとこだから、うちからなら自転車50分ぐらいで付く印象かな。札幌駅からなら30分?
 入ってすぐのところに門があって、7時から19時まで開いているとの説明が付いている。
 少し入ると、駐車場とトイレ、そしてその先には橋が。
 ちょっとトイレに寄ってから、公園の案内図と禁止行為を確認する。
 レンタサイクルとかもあるみたいだから、自転車の乗り入れ禁止って事はないな、良かった。
 橋を渡る。
 沼と名付けられているけれど、川のようでもある。モエレ沼のそもそもが、豊平川発祥の三日月湖だったからだろう。公式サイトによると、モエレ沼の語源はアイヌ語の「モイレ(静かな水面、ゆったりした流れ)ベツ(川)」、つまり、あんまり流れない川ぐらいの意味らしい。言われてみると、「ベツ」の地名はあっちこっちにあるな。芦別、登別、女満別……ええと他には、ほら、あっちこっちに、ねえ(友達みんな持ってるから買ってよ、ねえお母さん理論)。
 さあて、中へ入るぞー。
 あ、陸スキーで通り過ぎる人がいた。
 地域性……って程でもないか。関東でも見かけないこたぁないね。
 橋を渡り切ると、公園の全周を通る道があるので、そこを進む。
 うわぁ……なんか。
 芝生で隙間なく覆われただだっ広い地面、そこに立つ珍妙な形をした建造物。
 何しろその巨大さがモノを言ってくる。
 羊ヶ丘公園のような?
 違う。
 もっと、恣意的に計算して組み上げられた感が強い。自転車で進むごとに、建造物同士が近付いたり離れたり、角度によって何かしらの主張があるようなないようなアレな感じで見え方が変わって行く。
 自然公園では全然なくて、アート感が強い。
 こういうの良いね。
 自転車を進める。
 ジョギングをしている人、自転車に乗る人、丘スキーで進む人、何人かとすれ違う。
 ちょっと脇の道に入ってみるか。
 公園を囲っている道の内側に入る。
 芝生の地面がなだらかに続き、遠くにガラス張りの建物、更に向こうに山が見える。ところどころに植えられたエゾマツと思しき針葉樹は、等間隔に配置され、庭園というよりも美術作品に近い。
 ああ、トンビかな?
 鳥が輪を描いて飛んでいる。周囲の建物と隔絶されているから、空がとても拾い。まあ、これは北海道なら標準装備か。
 なるほど、こういう風景になる。
 空を見せたかったのかな、ひょっとすると。
 芝生の定着が悪くて継ぎ目の見える部分とかもありはしたが、それはそれ、中々良い感じ。
 さて、山に登ってみるか。
 標高62メートルのモエレ山。
 つづら折り状の道と真っ直ぐの階段とがあったが、早く上り下り出来そうな階段を選ぶ。
 おー、見上げる感じだな。季節柄少し枯れ草色になって来ている。
 水路の源流を通り過ぎ、階段の傍らにぽす太を停めて、バックをリュック型に担いで、いざ、登れ。
 登っている。
 登っている。
 登っている。
 トンビが目の高さを飛んでいる。
 時折振り向くと、結構な高さで周囲が見渡せる。
 登っている。
 登っている。
 あ、噴水上がってる。
 さっきの水が出てたとこと場所が違うな。
 もの凄い高いところまで水が上がっている。
 登っている。
 登っている。
 しかし……後ろにフラリと倒れたらそのままゴロゴロ下まで転がり落ちそうな錯覚に陥る。踊り場的な区切りはいくつもあるから実際にはそこで止まるんだろうけど。
 どうも高所恐怖は消えないね。症の一文字を付ける程強烈でもないけれど。
 階段をとうとう登り切り、頂上到着!
 教室一つ分ぐらいの平らな頂上には、誰もいなかった。
 中央にプレートが置かれ、東西南北が示されている。
 こういう所にありがちなコイン式の望遠鏡とかもなく、ただただ土俵が如き平らな円。
 おー、札幌の街が一望出来る。
 見晴らし良いなぁ。
 良いなぁ……。
 良いけど。
 寒っ!
 寒すぎ!
 風がもの凄く強い。
 流体力学的にどう表現するのかは知らないが、周囲の風が集まって強風になるようだ。
 普通の山は、樹で散らされたりするのかな。
 あー、でも、からっ風みたいなのもあるから、簡単に防げるものでもないのか。
 うう、寒っ。
 鼻水出て来る。
 なるほど、誰もいなかったのはこのせいか。
 流石に長居は出来ない。
 来た階段を戻った。
 こっちは野球場もある。
 それからもう少し走って、最初の橋まで戻って来た。
 丁度、近くの小学生が来ていた。遠足に縁があるな。
 一回りして思うが、なるほど、美術館的な見て楽しめる感覚があるな。
 いつまで見てても飽きないとか言う気はないけれど、それなりにポカポカと暖かい日に、自転車で一回りぐらいするには良さそうだ。観光スポットとしてお勧めする人がいるのもさもありなん。

 その後、来た道と別ルートで札幌駅前まで戻り、医者に行った。
 トリトンで寿司でも、と思っていたのだが、何だか半端に遅くて皿が回ってなさそうな時間になってしまったので、家に帰って一杯ひっかけ、そのまま夕食にした。
 風邪とかはひかなかったな、良かった。

<出費>
 なし



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