思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2012/3/25 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第35回 距離が大切:500m美術館オープニング記念展
 札幌駅周辺は、地下街が発達している。
 近年になって、札幌駅と大通り駅も開通し、地上に出ずに気軽にすすきのまで歩いて行けるようにもなった。
 冬の雪や寒さを避けられる大変便利なものだが、実際に歩いてみると常に天井と壁があるせいで、地上のように周囲の建物や遠景、太陽の位置などから自分の場所を把握する事は結構難しく、案内図がなければどちらに向かっているかも分からなく――つまりダンジョンである。
 札幌暮らしもそれなりの期間になり、マップもそれなりに埋めたつもりだったが、まだ見落としていた部分がある事に気付いた。
 大通駅から、バスセンター前駅に続く通路。
 大通駅の東側という盲点にあったここで、「500m美術館」が作られたらしい。

 世界各国の500mが集められ、展示されるという世にも奇妙な美術館。
 500mの壁画、500mの彫刻、500mの巻き寿司、500mの斬魄刀。
 ――という事ではなく、単に通路の壁を展示スペースにしただけで、その通路の長さが500メートルってだけの事ですね、ええ、ええ。

 当日。
 時ならぬ吹雪。
 随分雪が融けて来ていたのに、ここへ来てまた季節が逆戻りした感じだ。
 林檎売りはどこだ、コノヤロー。
 昼頃、昼割りのカードで地下鉄に乗り大通駅へ。
 ほんの十分前後で、大通駅に到着した。
 ええと……こっちか。
 東豊線の方面。
 それなりに距離があるんだよなぁ。
 歩いて歩いて歩いて、地下街の賑々しさが次第になくなって行き、無機質な駅の通路っぽくなって来る。
 後はいつ目の前が壁になってもおかしくない感じ。
 にしても、美術館に関するアナウンスはさっぱりないのだなぁ。
 バスセンター前駅行きの案内表示を見つつ更に進んで行くと。
「500m美術館」
 の文字が、壁に付けられ、その隣りに案内モニタと、パンフレット置き場が。
 そしてその先の壁や壁に埋め込まれた展示スペースに作品が並ぶ。
 ほう、こういう感じなのか。
 概ね想像した通り、よくある通路の壁を利用したギャラリーそのものだ。
 入場料とか受付とかそういうのは全くない。ただの通路。
 けど、この長さは珍しい部類だわな。

 ふむ、卵の殻とタンポポ。ちょっと奇妙な感じがするな。これはただの布をそれっぽくしたヤツ。現代アート中心か? いや、こっちは写真だな。札幌の景色と、花なんかもある。色んな人が各々のジャンルの作品を出しているから、統一感はない。文化祭の美術部の展示みたいなものかも知れない。オープニング展と銘打っているのでこんな感じだけれど、今後は個展とかテーマ展示とかにもなったりするのだろう。
 日曜という事もあり、割と作品を眺めている通行人も多い。
 わざわざ見に来た酔狂なヤツは少なかろうけれど。

 進んで行くうちに、少々見辛さを感じ始めた。
 まあこれは単純な事で、作品との距離感の問題。
 美術館って、何だかんだで床がかなり広い。けれど500m美術館は、通路であり、しかも真ん中に柱が立ち並んでいるので、あまり距離が取れない。キャンバスの絵ぐらいならどうという事もないが、壁全体を使うようなサイズになると、上手く視界に収まってくれない。壁に直接絵がかかっていたり、ショーケース型だったりの凹凸もある。
 1メートルの距離で見る事が想定されている作品と、5メートルの距離で見る事が想定されている作品が細かく混在しているから、見る方は頻繁に付いたり離れたり、展開のややこしいラブコメみたいになるのだ(分かり難い)。
 もう一つ言うなら、これは大通駅→バスセンター前駅の移動を想定して解説文があるので、逆方向だと結構見辛いかも知れない。

 そして作品を一つ一つ見て、三十分もしないうちにバスセンター前駅に到着した。
 ふむ、結構お手軽で、作品次第では悪くないかも知れない。
 作品次第では。
 入場料も取らない展示で、どれだけのものが用意されるのか分からないけど。
 その後、大通駅に戻り、ブックオフやらとらのあなやらに少し寄って早々に帰った。


<出費>
 交通費:480円(琴似―240―大通―240―琴似)
 計:480円



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