思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2012/4/21 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第36回 スキーすきー? :札幌ウィンタースポーツミュージアム
 札幌はかつて冬季オリンピックの開催地として選ばれた。
 雪の量、質の高さは勿論の事、山が近くある種の競技には必須な斜面もあり、大都市としての人的、物資的な余力も大きかったと言える。
 競技会場は今も各所に残っており、「市内観光」程度の移動範囲に収まるお手頃なスポットになっている。

 で、大倉山にスキージャンプの競技場があり、併設されるウィンタースポーツミュージアムがあるとの情報は、前からぐーぐるマップで目にしていたので、この度行ってみる事にした。
 見た感じだと自転車で行ける程度の距離なんだけど……雪とかどんなかなぁ。

 当日。
 愛車ぽす太で、昼前ぐらいに出発した。
 平野部では雪なんかもう塊ぐらいしかない。けど、ちょっと標高が上がるからな。ああ、よく晴れてる。
 北五条手稲通りを東へ進み、和食レストランとんでんの角を曲がり走る。
 以前の通勤路だったな、ここ。
 進む先に山、その山肌に、ジャンプの競技場が見えて来た。
 意識してなかったけど、あれが大倉山という事になるんだな。
 路は上りになっていく。
 どんどんどんどん進む。
 美術館の脇を通り、どんどんどんどん。
 なんか、向かいから歩いてくる中年男女が多い。
 リュック背負って人によってはストック持ったりして、どうやら、JRの「ヘルシーウォーキング」なるイベントを行っているらしい。
 この辺りはそんなに見るところもない気はするけど、歩くのが目的だと割とどうでも良いのかな。

 進むうちに、坂はどんどん急になって来た。何より、上り坂が絶え間なく続いて、平らになったり下ったりという息を抜ける部分がない。
 たまらず自転車から降りて押す。どっかに停めて歩いて行くのも手かもしれないけれど、帰りは下り坂だしまあ持って行こう。
 進むうちに「大倉山ジャンプ場」の案内看板を見かけ始める。
 思った以上に近い。
 うん、見えて来た。
 もうすぐだな。
 道路の雪はほとんどなくなって、危惧していた雪道はないが、道路が砂だらけだ。
 こいつは雪がある時に滑り止め用にまかれた砂だ。
 この滑り止め砂は、札幌なら随所に設置されているもので、誰でも自由に使えるくとができる。砂の一粒一粒は、砂利一歩手前ぐらいの大きさで、いかにも人工的に粉砕されて出来ましたという角張り方をしていて、雪の上では心強い。
 これをまいて、雪が降って、またまいて、を、繰り返すと、雪解けの頃には、砂の層が一枚出来た路面が出来上がる。この砂の層はご想像通り、踏んづけるとズリズリと嫌な滑り方をするトラップと化す。ああ、道路清掃車はまだか。
 途中、何台かタクシーに追い越された末に、ようやく大倉山競技場の駐車場にたどり着いた。
 パッと開けて見晴らしが良い。ジャンプ台はまだもうひと坂あり、エスカレーターが付いている。
 自転車を駐輪場に停めてエスカレーターへ。
 ん。
 なんかメンテナンス中とか書いてあるな。
 歩いて行くか。
 ぐるっとまわって坂を上り――。
 おお。
 ジャンプ台の真正面。
 ジャンプ台は宮の森で一回見たけど、こっちもでかいな。
 雪は半分ぐらい融けかけている。
 雪と虹のバラードの石碑が建ってたり、ジャンプ台に五輪のマークが付いていたり、オリンピックのイメージがはっきりと残っている。
 えーと、ウィンタースポーツミュージアムは、あっちか。
 ふむ。
 小綺麗だが殺風景なロビーに入り、吹き抜けの階段を上がると、ウィンタースポーツミュージアムの受付があった。
 入場料を払って中に入る。

 やっぱりオリンピック絡みの展示が多い、というか、それしかないな。
 当時の記念切手とか、誘致の話とか、スキー板やリュージュも飾られている。
 札幌オリンピック時は、「ようこそ」がキャッチコピーにしていた様子。イルカのアルバムに「ヨオコソ」って曲があったが、あれは関係があったのやらなかったのやら。まあ、なかったか。ソロデビュー前だし。
 こっちはまたちょっと違うな。特別展示、大倉山のジャンプ台が出来るまでという説明。
 ふむ、皇室の人のプッシュがあったのか。
 昔のスキーも色々展示されている。
 板は一枚板から合板を経てグラスファイバーなんかになっている。ストックは割と粗末というか、竹とかで作られたものがあり、アンバランスな感じだ。

 展示をざっくりと見終えて、下の階に行く。
 これは、体験展示というか、Wiiスポーツというか。中央に大画面のスキージャンプのシミュレーターがあり、目を惹く。周囲には、フィギュアスケートのスピン体験のできる――という触れ込みの、ただ回るだけの足場とか、ホッケーのゴールキーパー体験というゲーム的なヤツとか。他の客もいるので、ちょっと試すはやりにくいものばかりだ。
 ウィンタースポーツ競技の説明が載っているのを読む。
 ノルディックスキーとアルペンスキーの違いは、ふむ、発祥の地名ってだけか。
 触れる展示では、スケート靴やスキー板、カーリングのストーンなんかが持てる。
 二〇キロあるというカーリングのストーンはやはり重い。発祥は底が平らな河原の石とかそんなのだった筈なのに、一体どうしてこうなった。
 ジャンプ台に敷かれたタイルや人工芝のサンプルにも触る事が出来た。
 雪がない状態でも飛べるように、助走の部分はセラミック敷きで、着地部分は毛深い人工芝が貼られ、これに水を通して使うのだそうな。
 宮の森のジャンプ大会を見た時、草みたいなのが所々見えていたが、何かの意図があって設置されていたのではなく、雪が薄くなった部分から下の人工芝が露出していただけだったんだな。
 そうこうしているとシアターで映像が始まるとのアナウンスが入った。
 映画館の小スクリーンぐらいの大きさのシアターに入り、待つことしばし。
 ウィンタースポーツの起源みたいな話しで、教育テレビ風のよくある作りだった。

 展示もシアターも一通り見終え、ウィンタースポーツミュージアムから出た。
 屋上に相当する喫茶スペースから外に出ると、ジャンプ台と観客席にそのまま繋がる広場で、ジャンプ台が一層大きく見えた。
 傍らでリフトが稼働しており、上まで上がる事が出来るようだが、今日は何となく気が向かなかったのでスルーし、土産物屋だけ覗いた。土産物屋は、北海道の土産物屋ならどこでも売っている石屋製菓だのロイズだのの菓子やら何やらが並んでいるばかりで見るべきはない。限定品と共通品ではっきり売り場を分けないといかんよねぇ、こういうのは。

 帰り道はあっという間に坂を下りられたが、やっぱり砂がずるりと滑りそうで怖かった。
 これでジャンプ台二つ制覇だな、よっしゃよっしゃ。


<出費>
 入場料:600円(ウィンタースポーツミュージアム)
 計:600円



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