思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2012/10/27 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第42回 ちょい役しなっち:うわの空・藤志郎一座札幌公演
 ファミ通を読んでいた人なら、みすしな孝之に覚えがあるだろうか。2ページで、いつも編集だか何だかに頭をかじられて流血する漫画を連載している。あと、まんがタイムだかまんがライフだかで、動物と喋れる主人公が出て来る漫画のうち、女の子が可愛くない方の漫画の作者という事でも有名かも知れない。古くは、主人公がタブチじゃない野球漫画も描いてた。単行本を買っている訳でもなく「大好き!」という程でもないが、そこそこ笑えるので、雑誌だの何だので見かけた時には「読む価値アリ」に分類している。
 そして彼は劇団員という顔も持っており、その様子を「うわの空チュートリアル」なる漫画にしている。

 で。
 今月も今月でどこか出かける場所を探してイベント情報を検索していたところ、何となく見覚えのある劇団の公演が目に付いた。
 あら、うわの空さんじゃゴザーセンこと?
 北海道で公演するだか縁があるだかって話は「うわの空チュートリアル」で読んだような……あ、公演日丁度休みだ。東京を根城にしている劇団の、年一回あるやらないやら、たった一日の札幌公演に気づくというのは、良い偶然である。
 行くべし。
 公式サイトを確認する。

 ふむ。
 第36回本公演『ONE DAY』 於:演劇専用小劇場BLOCH
 チケットの方は……全席自由、当日券あり、と。
 売り切れがやや心配ながら、まあ行ってダメなら劇団四季でも観てお茶を濁そう。

 当日。
 劇場はサッポロファクトリー向かいにあるらしいが、ストリートビューではちょっとよく分からなかったが、そこはフィーリングで行けるだろう。
 愛車ぽす太で行くか、地下鉄東西線で行くか少し迷うが、乗れるうちに乗っておきたいという地域特性から来る感情に正直になる事にして、ぽす太で出発。
 さて、見えてきた赤レンガのサッポロファクトリー。
 一体どの辺り……あ、公演のポスターが貼られてる。
 よしよし。
 ええとこのビル? 劇場の事務所はあるけど……なんか違うな。
 あ、外に案内の矢印があった。こっちか。
 壁にすっかり囲まれた中庭状の駐車場に入ると、既に10人ぐらいの人が並んでいた。
 開場&当日券販売開始である13時半の5分前ぐらいだけどそうか、人が並ぶか。
 当日券残ってるだろうなぁ。
 不安なまま暫し待つ。
 後ろにもう4、5人並んだ辺りで開場となった。
 チケットのある人は右からそのまま中へ、当日券を買う人は左のテーブルのところで。
 小劇場というだけあって、ロビーと呼べる程の広さがなく、その割に、物販スペースが作られていたりするから、輪を掛けて狭く、人の流れに逆らうのが困難だ。あー、物販で「うわの空チュートリアル」の単行本も売られてるな。
 受付の人から3,500円で当日券を購入し、入り口でパンフレットを受け取り、中へ。
 ライブハウスを一回り大きくした程度の広さの舞台。急角度に配置され、個別に分けられていない「笑っていいとも!」の観覧席的な客席。以前にもいくつか劇場は行った事があるけど、共通点あるな。音楽のホールと根本的に違うんだよなぁ。

 早くから来たお陰で、真ん中辺りに陣取る事に成功した。その後、どんどん客が増えて来て、ほぼ満員になった。
 人気があるな。
 このうちのどれぐらいがみずしな目当てなんだろうか。
 劇団の熱烈なファン、みたいなのもあるんだろうけれど、割と分からない世界だな。大半の人が合唱の演奏会をスルーするのと同じ感じで、世界が微妙に重ならないんだろうなぁ。
 場繋ぎの音楽が延々流れる中、パンフレットなどを読みつつ開演を待つ。役者のアドリブや即興が多用される芸風なのだそうな。言われてみると「うわの空チュートリアル」でそういう説明を読んだ気がする。
 開演間近になった頃、注意事項の説明が始まった。「機器類は音のしない状態にして下さい」等の注意に加えて、物販や「笑ってノセてくれると嬉しい」みたいなお願いもあり、軽く笑い等取っていた。
 そして開演。
 引っ越しの片付け中の一家と、亡き母の思い出をモチーフにした一見泣かせの入りそうな話だが、九割方がコメディメインの気楽に笑える内容。なるほど、即興と思われるやり取りが、常に見られる。やはり座長がこの手法を一番モノにしているようで、迷いがなく素直に笑える。マニアのこだわりの語りや、放送には載せられない感じのネタなどもあり。
 メインの話を進める為に台本的台詞に入った時と、即興の落差がややあり過ぎる気もしなくはないが、笑えるところは笑えて2時間たっぷり面白おかしく楽しめた。
 しかしこれは何なんだろう。
 即興劇(エチュード)というと演劇の練習やオーディションのイメージだが、それだけで作られた舞台というのは初めて観た気がする。
 演劇どころかコント程にも固まった印象がない。ひょうきん族のドラマ部分? あれも即興ではないか。喩えるならば、ダイスのロールやシナリオの展開を認識した上で行っているテーブルトークRPGのセッションというのがやや近いのか。よしもと新喜劇をアドリブ寄りにした感じかなぁ。別公演ではお笑いライブもやってるらしいし、そこらの垣根を取っ払った感じか。
 その後、物販にやや興味があったが、相変わらずのロビーの狭さと人の流れと劇団員との近すぎる感じに尻込みして特に何も買わずに帰った。
 ああ、ちなみにみずしな孝之氏は、ちょい役でギャグも良い意味でスベッていた。それから、今思えば最初にチケット買った時に対応してくれたのが、多分みずしなサンだわ。


<出費>
入場料(当日券):3,500円



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