思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2012/12/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第44回 ばばんばばんばん晩に行ったよ温泉に:北のたまゆら桑園
 ごんぱちの居住する札幌市は、温泉場として名高い定山渓があり、平野部でもいくつかの都市型温泉がある。
 「北のたまゆら」は、その都市型温泉の一つで、桑園、東苗穂、厚別、江別と、チェーン展開もしている。

 12月。これという行き先が決まらないまま、最後の週末となった金曜日。
 大雑把に土曜日に行くつもりで目的地に目星を付けていたが、出社した後ふと北のたまゆらの事を思い出した。
 帰宅ルートは通常、バスや地下鉄を使い「職場→麻生、麻生→琴似」という動きになる。
 北のたまゆらは、JR桑園駅のすぐそばにあり、地下鉄麻生駅から徒歩圏内のJR新琴似駅からなら直通で行ける(通常の帰宅時は、本数が少ない事と桑園で乗り換えが必要になる為使っていない)。
 営業時間を確認したところ、午前1時までやっている事が分かったので、これ幸い、急遽予定変更して帰りに寄ってみる事にした。
 用意は何もしていないが、まあ、タオル一本売らない温泉施設もなかろうから心配はいるまい。

 20時過ぎに退勤し、JR新琴似駅から札幌行きの列車に乗り込む。
 新川、八軒と来て、桑園に到着ー。
 21時前。
 夕食は桑園駅隣接の「廻転寿司とっぴー」でとりたかったが、22時閉店なので諦める。閉店間際の何も回っていない回転寿司程居心地の悪いものは……色々あるだろうけれど、ともかくランキングでは上の方だ。回ってない回転寿司は、「何一つ注文をしなくても良い気楽な店」→「10回以上も注文をしなければいけない面倒な店」という、プラスから大マイナスのコペルニクスもうんざりの転換をしてしまうのだ。
 さて、桑園駅から出て、駅前ロータリーに出る。
 雪にすっぽり覆われ、除雪された場所だけが歩ける状態になっている。
 ああ、足先まで冷えてるな。
 駅前のビルを一つ越えると看板が見えて来る。
 晩の街に浮かぶ温泉の電光看板は冷えた身体には誘蛾灯のようなものである。
 駐車場が結構埋まってるな。
 まあ、年末の週末、大掃除の一つも済ませて「じゃあ、ちょっと外でお風呂とご飯にしようか」なんて事を考える一家があるのも分かる。
 北海道基準の二重ドアをくぐり中に入るなり。
 子供の甲高い声が聞こえて来た。
 ――さっさと出よう。

 ええと、そこなロッカーは下足入れだな? そうなんだな? 荷物は脱衣室まで持って行けば良いんだな?
 はっきりしたアナウンスがない為、暫し躊躇いつつも下足ロッカーを開く。
 へえ、内側にコイン入を入れる場所が付いてる、リターン式コインロッカーだ。
 まず靴を置いて……ふむ、チケットその他の自販機がある。
 まずは入浴料。420円。
 それからタオルが100円。特製タオルだのレンタルバスタオルだののボタンもあったが、ただのタオル一本。これで身体を洗うし拭くし股間も隠す。
 後はシャンプーとボディーソープが70円……中に設置されてないのかな?
 んーと、まあ、ガチで身体洗うとかよりも、体裁で済ませる感じで、シャンプーだけあれば足りるかな。
 チケットと引換券を買い、傍らのフロントに出す。
 タオル一本と目薬サイズのシャンプーを貰って奥へ。
 椅子と畳の休憩スペースと食事の販売用のカウンター、クレーンゲームが数台あるだけのゲームコーナー、コイン式のマッサージチェア、もみほぐしの店、入り口には床屋もあったな。それらがぎゅっと収まっている。日帰り温泉でホテルに行った時の間取りイメージが何となく頭にあったが、それと比べるとかなり狭い。
 早速風呂に入ろう。
 浴室への出入りは先のフロントとは別の、でもフロントは見える位置の番台で確認している。出入り一回限り再入場不可の方式。一風呂浴びて、ひと休みして、また入る、という事は出来ないようになっている。食事のみの利用に対応する為なのだろうが、やや二度手間感のある作りだ。

 脱衣所へ行く。
 脱衣カゴと、壁にはリターン式コインロッカーが並んでいる。整容用の3分20円だかのコイン式のドライヤーが置かれたカウンターもある。洗面台そのものはない。
 コーヒー牛乳と……タオルや剃刀の自販機がここにもあるな。フロントで買い忘れたら便利だけど、こっち一つで充分なのでは。何となく当初の設計の混乱が見え隠れする。
 タオルとシャンプーを持っていざ、浴室へ。
 洗い場と浴槽が3つ、奥にサウナ、更に水風呂、露天風呂。
 まずは洗い場で身体を洗おう。洗い場はぎっしり人がいるという程ではなく、4席に1人ぐらい。
 よくある浴室椅子の二倍ぐらい高さのあるヤツにこしかけ、置いてあるシャンプーとボディーソープで頭と身体を。
 ……って、設置されてるじゃないか、シャンプーとボディーソープ。自販機トラップに引っかかった、無念。
 じゃあ、買ったシャンプーは開封せずに、何かあった時に備えて家に置いておこう。
 シャンプーの設置がない風呂に行く事がこの先あるかは謎であるが。
 身体も洗ったし、まずは主浴槽へ。
 縁半分ぐらい他の客がいるぐらいの混み方。浴槽の広さは幅が3×6メートルぐらいかな。
 ふむ、湯の色は透明、ややヌルヌルするアルカリ系。ハイターを薄めたヤツに触ったような感じ(最低の表現)。ちょっと舐めてみると、ややしょっぱい。後から泉質を確認してみると調べてみると、「弱カン味」だそうで、「カン」は鹹水の鹹、「にがり」的な苦みのあるしょっぱさ、だそうな。加水はしていないけれど、温度は低い(34度)ので沸かし直しや消毒はしているとの事。
 建材にはブラックシリカなる素材を使っており、遠赤外線効果やマイナスイオン――はいダウト。

 「マイナスイオン身体に良い説」は、
1.「マイナスイオン」の定義が曖昧、
2.効能が「マイナスイオン」によるものか他の要因によるものかの切り分けされていない
 この二点によって、説としての体を成していない。
 「そうは言っても実際に効果が実感されているんだ、頭から否定してはいけない」との反論については、科学的に根拠がないと知りながら、根拠があると誤認させるような科学っぽい用語を使っている時点で、主張者の騙す意図しか見えない、とだけ答えれば充分だろう。
 もう一つ加えると、かつてのマイナスイオンブームの火付け役はあるある大辞典だ。

 閑話休題。
 湯に罪はない。
 温まった。うむ。
 さて、泡風呂、電気風呂は人がいっぱい、サウナは心臓に負担がかかりそうな気がする、水風呂はわざわざ入るヤツはマゾか何かか、と、スルーして、露天風呂へ行く。
 ドア二枚通って外へ。
 おお、寒い寒い。雪は降っていないけれど氷点下の2度か3度かってところか。
 湯に浸かる。
 身体温かく頭涼しく、頭寒足熱。
 壁にはテレビが設置されており、のんびり過ごす事が出来る。
 ……テレビって。
 んー、でも、まあ、ここが山の中の温泉場なら「風情がない」と一刀両断できるけど、都会の真ん中の、家族連れ上等の場所だし、これぐらいの弛さが丁度良いんだろうな。
 ああ、空には満月だ。違うかもしれないけど、とにかく丸く見える。丸く見える月はみんな満月という事にしておけば良いのだ。

 満月に薄雲一つ雪ちらり

 温泉から出た後、親子連れの賑やかな休憩スペースで休憩する事は不可能に近かった為、早々にJRで琴似へと帰った。
 家に帰った頃には身体は冷めてしまったけれど、とりあえず、肌はスベスベになった感じはしたな。


<出費>
交通費:360円(麻生―200―桑園―160―琴似)
入浴料:420円
シャンプー:70円
計:850円


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