思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2013/10/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第54回 捲土重来:丘珠空港

 今回の行き先は、札幌市内の丘珠空港である。
 それ初めてじゃないんじゃね、と、気付いた方は良い記憶力をしている。
 以前も丘珠空港には行っている。
 が、今回はその先である。
 丘珠空港に飽きたらず、函館空港まで、飛行機に乗ったのである!
 ……それ普通だよね?

 事の発端は高校時代に遡る。
 どの部活に入ろうかと考えていた自分は(略)そして、今回の合唱コンクール道大会は函館開催だったのである(おわり)。

 北海道や青森にいる人でないとあまりピンと来ないだろうが、札幌から函館というのは結構距離がある。
 鉄道で言うと特急で3時間半とか、そういう数字になる。
 関東圏で3時間半も列車に乗ったら東は青森、西は岡山ぐらいまで行けてしまう。
 超特急新幹線と単なる特急の差もあるが、距離自体もそれなりにある。
 その函館で、合唱コンクールが行われるのだ。
 ある程度年齢等が均質で人数の多い合唱団であれば、ツアーを組んで移動する事もあるが、うちは小規模な社会人団体なので、宿だけ一緒で、現地集合現地解散が基本である。

 今こそ、目を付けていたアレを試す時。
 空路である。
 札幌から函館には、プロペラ機で定期便が出ているのだ。
 チェックインの手続きやら何やらで、余分な時間はかかるものの、実際の乗機時間は非常に短い。乗り物に拘束され身動きの取れない時間は旅の疲労に直結する。ただの観光ならともかく、合唱コンクールでステージに立つのであれば、この疲労の軽減は割りと重要である。

 そう決めたのが今年の始め。それから数ヶ月過ぎて当日の2ヶ月前、北海道エアシステムのサイトを使い、無事に最低価格の8,500で行きも帰りも席を取ることができた。この航路の片道普通料金が18,000円だからかなりお得――まあ、当日に航空券を買う事態というのは、余程の事なので、もう少しお得度は低い。
 ちなみに列車だと特急の往復指定(Rきっぷ)で14,400円。早さを考えれば十二分に元は取れていると思うが、これは個人差があるか。

 そして出発当日の昼過ぎ。
 丘珠空港は自転車の移動圏内である事は間違いないのだが、空港にはまともな駐輪場がなかった気がするし、ステージ衣装も持たなければならないので、素直に地下鉄を使う事にする。
 琴似から大通乗り換え、地下鉄東豊線で栄町に到着ー。
 ここから先、バスもあるらしいが、大した距離ではないので歩く。
 空港行き、みたいなはっきりしたガイドはないので、若干交差点で迷ったりしつつもつつがなく「つどーむ」を見つけ、自衛隊の基地前を通り、そして丘珠空港へ。
 やあ久し振り。
 ロビーに入る。
 ええと、座席はネット予約時に済ませているから、カウンターで手続きは必要ない筈だが、手荷物は機内持ち込み出来るかな。それとも預ける必要あるのかな。
 係員の人に尋ねて、持ち込めるサイズだとお墨付きを貰ったので二階の出発ロビーへ上がる。
 土産物屋と……ん、パネル展やってる。
 ふむふむ、丘珠空港というか、丘珠の町そのものの歴史だな。
 北海道の町は明治以降に出来上がったものが多いから、写真とかが最初の方からあるなぁ。面白いというか、まあ普通な感じ。学生がムキムキだった。

 展示を眺めているうちに、出発時間が近づいて来たので、保安検査場に向かう。
 ゲートが一つだけだが、長蛇の列というような事は全くなく、いかにも地方の小空港という感じ。
 荷物は無事に検査を通過し、搭乗待合のロビーで少し待つ。
 程なく、搭乗時刻となった。
 優先搭乗のアナウンスがあるのは他の旅客機と変わらない。
 階段を降りてから、その先。
 駐まっている飛行機まで徒歩で向かう。

 ……不思議な縮尺だ。

 旅客機というのは巨大なもの、というのが固定観念に過ぎない事を思い知る。大型バスぐらいのサイズしかないので、人と並んだ時の印象が珍妙に見える。
 その小さな飛行機に据え付けられた幅の狭い、ガタガタするタラップを上る。
 職員の人がプロペラを手で押さえている。うっかり動いて頭にぶつけたりしないような配慮なのだろう。
 中は……狭いな。
 話には聞いていたが実に狭い。
 席が2列と1列の3列だけで、荷物入れも2列の方にしかない。天井は低く、通路も細い。
 コンパクトにまとめられてるとも言える。
 荷物を置いてから、席に着きベルトを締める。
 座席が相当くたびれていて、綿が潰れているのか、やや前傾ぽい重力を感じる。
 そして出発時刻となった。
 滑走路へと移動する飛行機。
 サイズが小さいせいで、地面との距離が近く、スピードがよく出ている感じがする。
 離陸体制に入り、プロペラが本腰入れて回り始める。ジェット機と方向性が違うが大きな音はするものだ。
 それからぐっと加速して――離陸。

 おお、札幌の街がよく見える。
 あれはJR線、これは大通、あっちが石狩の港……いや、本当によく分かる。
 高度も低いのか見下ろす景色が良く分かって実に面白い。
 これは良いな。
 プロペラにふと目をやると、高速回転の余り見えなくなっている。のだが、太陽の加減によっては反射光だけが何もない空間に浮かんで見える。極めて透明度の高いガラスのようで、綺麗なものだ。
 次々と変わる景色を見下ろしながら、30分かそこらの空の旅の後、函館に無事到着したのだった。
 直線早いよ直線。

 その後、翌日に合唱コンクールに出て、その日のうちに帰った。帰りは函館の夜景をそれなりに見る事が出来た。


<出費>
交通費:8810円(琴似―310―栄町 札幌―8500―函館)
計:8810円


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