思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2013/12/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第56回 煮ても焼いても食べられない:アートアクアリウム

 年の暮れもせまり、あまりモタモタしていたら年末休業になってしまう、そんな不安を抱えながら行き先を札幌観光案内のウェブサイトで調べていたところ、「アートアクアリウム」の文字があった。
 公式サイトを見ると、アートと金魚の融合とか何とかで、さっぽろファクトリーで行われているという。

 ふむ。
 金魚に大した思い入れはないが、魚というのは見ているだけでもそれなりに面白いものだ。
 色々選ぶ時間的余裕もないので行ってみよう。
 チケットの割引とかは……ないか。混雑が予想されるので、セブンイレブンでの事前購入をお薦めします、とある。
 ……そんなに混むのか?
 考えてみると、いつだかにトリックアート展を見に行こうとした時は、うんざりするような行列が出来ていて諦めたっけ。
 となると、むしろチケットを買わずに行って、様子を見て……いや、休日の数も限られているから、そうそうモタモタもしていられない。うん、そうだ、そうとも。

 と、心を決めて当日。
 区民センターの図書室で本を返したり何たりした後、地下鉄駅に向かい、その途中にあるセブンイレブンへ入った。
 コピー機兼用の端末で、アートアクアリウムのチケットを探す。
 ん?
 日付指定のチケットと、そうでないものがある。
 日付指定の方がなんか良いのか?
 ――確認してみる。
 5000円?
 なんだその値段。
 指定ではない方は1000円か。
 ああ、指定券みたいなものか。
 にしても、値段差有り過ぎる気がするけどな。
 伝票を印字し、レジでチケットを購入した後、地下鉄に向かう。
 地下鉄にはすぐに乗れそうだったが、昼割に切り替わる10時を待って改札を通った。購入額面15パーセント増しと、25パーセント増しのプリペイドカードなら、やっぱり25パーセントが断然お得だしねぇ。
 列車に暫し揺られ、大通の一つ先、バスセンター前駅で降り、サッポロファクトリーへ向かう。
 もう何度も来ているから新鮮味はないな。
 長いエスカレーターを上がり、案内のポスターに導かれ、アートアクアリウムの入り口を発見!

 ――誰一人として並んではいない。

 なんだ、拍子抜けだな。
 もぎりの人にチケットを切って貰い、中に入る。
 暗い順路に、金魚の入った明るい水槽が浮かび上がるように並んでいる。
 同時にぐわんぐわんした感じのテクノだか何だか知らないが、音楽が流れている。
 明かりは次第に色が変わったり何たりして、金魚の長いヒレが、光ファイバーのように光って見える。
 ふうむ。
 この方向のアートか。
 進んで行くと、開けた場所に出て、大きな金魚鉢に大量の金魚がいて、背景には提灯が並んで、タイトルが花魁だとか。賑やかな音楽と一緒に金魚鉢を照らす明かりの色がじんわりと変わって行く。
 こっちは丸いスポンジケーキ状の水槽。静かに水が湧き出している中に金魚がいて、水面はずっと平らを保っている。
 ダイヤ型の水槽があったり、行燈型のものがあったり、屏風型の薄い水槽の上から下から金魚が泳いでいたり。
 ぐわんぐわんする音楽と、暗闇と変化する明かりと金魚が色々と展示されていた。
 最後はお馴染みのミュージアムショップで、金魚関係のグッズが色々売られていた。

 ふうむ……。
 これが、例えば、どこかの料理屋の飾りとして使われていたら、「うおっ」と思うだろう。金魚だけに! 魚だけに(うるさい)! でも、わざわざ入場料払ってそれ単体を見るものかというとやや首を傾げる。
 水槽や金魚鉢は工業品のイメージが付きまとい、アート作品としてのハッタリに乏しい。また、金魚はあくまで生物としての金魚の域を出ていない。かつて太田光がラジオでこんな感じの事を言っていた(真っ向うろ覚え)、血で描かれた絵画があったとして、「血で描かれてるなんてすごい」という印象以上のものにならない、と。あくまで、芸術的な感受性の乏しい当方の何となくの感覚なんだけども。
 この会場には、バーのコーナーが作られており、18時以降にはカクテルなんかを飲みながら展示物を見られるのだが、多分、その見方が最も適切な気がする。ながらで観るという事もあるし、アルコールというドラッグの効果を増す麻薬系の印象もあるからして。

 会場を出て雪の降りしきる外に出た。
 雪かと思ったら、あられだなこれ。小指の先ぐらいの物も混じっている。
 バスセンター前駅から大通駅までの地下通路を通り、併設「500メートル美術館」を眺めて「芸術ってなんだっけ」とか思いながら、とらのあなとBOOKOFFを覗いて帰った。


<出費>
交通費:480円(琴似―240―バスセンター前 大通―240―琴似) 入場料:1000円
計:1480円


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