思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2014/3/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第59回 ぶっくぶくぶく:北海道中央図書館

 内緒にしていたが、自分には本を読む習慣がある。
 毎月、何かしらの本のページをめくる日があるという、正に本の虫、紙魚の如くである。
 そんな自分が図書館と巡り会うのは必然、重力に引かれるようなものである!
 今回、北海道中央図書館を見つけたのも、必然である!
 ――北海道に来てから5年目(大学時は4年いました)。
 知らないよ、そんな、道立図書館が、大麻にあるとか知らないよ!
 札幌市中央図書館で充分じゃないか!
 あれ結構でっかいよ! 蔵書多いよ!

 そんな訳で、道立図書館に行ってみる事にした。
 当日。
 昼前ぐらいにJRで江別方面へ進み、大麻で下車した。
 大麻は介護福祉士や介護支援専門員の試験会場になる大学があったので、初めて行く訳ではないが、ここにあったとは全然意識してなかったな。
 駅から出て、融け始めの雪を踏みながら歩く。
 雪が弛んでザクザクしてるな。いわゆるシャーベット状というヤツだが、よく考えると、いわゆる本当のシャーベットというものを食べた事があったっけ? 記憶を辿るならば、幼少時、親がお家の冷蔵庫で作れるシャーベットの素みたいなのを使って作ってくれたものを食べた気がする。あ、待てよ、ちょっと高めの居酒屋の宴会コースのラストで食べた事があったかも知れない。
 身近だか身近じゃないんだか。微妙な存在、それがシャーベット。
 道立図書館は、大麻駅からブロック一つ隔てた斜向かいという、歩いた印象も薄い程度の距離にある。
 入り口は。
 入り口から先が割とある。農場を思わせる広い敷地だ。
 腰ぐらいまでの雪壁に囲まれた歩道を、てくてくと歩く。
 遠くに建物が見えて来た。
 んー、海水浴場のトイレみたいなガラスブロックで出来たエントランス。
 昭和っぽい。
 北海道立図書館に到着である。

 入ってすぐロビー、その向こうにそこそこ広々とした開架がある。
 荷物を置く用のロッカーがあったが、どこぞの書籍を売るお店のように、バッグの持ち込みが絶対ダメというワケではないらしい。
 全部児童図書だな、このフロアは。
 傍らの階段を上がってみると、中二階に教室半分ぐらいの「北方資料室」なる区画が切られて、展示が行われていた。
 灯台の事が題材らしく、レンズや灯台のペーパークラフトなどが飾られている。灯台のレンズの蛇腹っぽい形は見覚えがある。
 「人には会っておけ、塔には昇っておけ」の信条があるため、当方、灯台は公開されていたらとりあえず登るのだが、あれ、結構急な階段だったり、展望スペースが観光想定していなかったり、怖い事が多いんだよなぁ。
 もう一つ階段を上がると、一般図書の開架が広がっていた。
 ふむ、それなりに広く蔵書はあるけれど、普通の市区町村レベルの図書館との大きな差は分からないな。
 と。
 こっちのスペースは書庫……ん?
 書庫だけど開架?
 意味がよく分からないが、覗いてみるか。
 ロッカーにバッグを預け、渡り廊下で書庫へ行く。
 おお、書庫っぽいぎっしり感のある区画だ。
 本棚と本棚の間が狭くて、ひとけが少なくて、面積は結構広い。
 なるほど、なかなか本があるなぁと思うけれど、他の図書館の書庫なんか見たことないから比較が出来ないよな。
 歩いていると。
 べこん、べこん、と、自動車のボンネットの上を歩いているような感触が。

 ……床が浮いてる。

 なるほど、ここが書庫と閲覧フロアの違いッ!?
 ――ただ古くて安普請なだけだ。

 調べてみると、北海道立図書館は大正末期に作られ、元々は札幌にあったが、昭和42年に江別に移転したという経緯があるそうな。
 札幌の方の建物は、現在では「北海道立文書館別館」となっている。
 別館ではない方の「北海道立文書館」というのは、いわゆる赤レンガ道庁の事である。道庁の偉容からも知るべしだが、旧道立図書館も、いかにも大正浪漫溢れる建物で立派なのだが、新しい方はというとどうも身近すぎる昭和のしょっぱさがある。
 けれど、甘く見てはいけない。この図書館、昭和の時代に栗田ブックセンターなる会社から、10万だか30万だかの書籍の寄贈を受けている関係で、戦後雑誌の蔵書量が日本でも有数のレベルになっているらしい。
 人は見かけによらないものである。
 人ではないし、見かけもそこまで悪いワケではないよ。
 ――んじゃあ、何でもないね。

 ここで本を借りると、ここまで返しに来ないといけないようなので、特に何を借りるということもなく、そのままざっと本を眺めてから帰った。
<出費>
交通費:700円(琴似―350―大麻―350―琴似)
計:700円


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