思い立ったが随筆


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2014/11/30 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第67回 サンソン、ハンソン、ヤンソン:北海道立文学館『ムーミンの世界展』

 アニメの3大呼びかけの筆頭と言えば「ねえ、ムーミン」である。ちなみに、他の二つは「おい、鬼太郎!」「ひどいや姉さん!」。
 そのムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンの展示会があると聞いて、江戸時代の肉じゃが職人であった前世からムーミン好きだった自分は魂の底から歓喜に打ち震え、指折り数えながら眠れぬ日々を過ごし、ようやく開催の日を迎えたのである。ムーミンの思い出は実に数多く、ニョロニョロが気持ち悪かった事、そして、ニョロニョロが不気味だった事、更にはニョロニョロを触ると痺れるから全然良いとこ無しだなと思った事など、枚挙に暇がない。

 当日、ドニチカキップで会場である北海道立文芸館へ向かった。
 自転車で行けなくもない距離なのだが、雨予報があったので安全策を取ったのだ。
 文芸館は中島公園内にあるもので、以前に行った渡辺淳一文学館と公園を挟んで反対ぐらいの場所にある。存在は知ってたけど一度も来てなかったなぁ。
 さほど歩く事もなく、文芸館に到着した。
 お、ムーミンの世界展の看板出てるな。
 入るべし。
 入るとすぐに、ミニチュアのムーミン谷が展示されていた。
 ほうほう、細々と作り込まれている。
 そのまま階段を降りたロビーに展示スペースへの入り口があり、脇には休憩の椅子がありモニタでアニメのムーミンが流れている。更に、家のミニチュアの顔出し看板みたいなものと、土産物屋が出来上がっている。
 何はともあれ、カウンターでチケットを買い、中へ入る。

 ムーミンの世界展、という題名の通り、ムーミンそのものの前に、トーベ・ヤンソンの幼少期にまつわる展示がされていた。パネル展示主体で、現物はさほど多くない。
 忘れては思い出すのだけれど、そう、トーベ・ヤンソンって女性だったな。トーベという名前は女性的だけども、ヤンソンという名前がサムソンとかそういう方面だからなあ。
 ヤンソンの小さい頃の落書きの中に、ムーミンの原型が出て来る。スノークと書き添えられた鼻の大きな子供の姿で、単純な線で書かれているので少し崩せばムーミンぽくもある。いや、そもそも、ムーミンの目の下ってでっかい鼻だったのか? 鼻が省略された顔の半分じゃないのか!? これはミッフィーのバッテンが鼻とへの字口である事を知ったのと同じぐらいの衝撃だ。
 それから、ムーミントロールの語源として、おじさんの戯言説が挙げられていた。つまりこれは、ヤンソンのおじさんが適当に言ったおばけだかなんだかの名前だか何だか。まっくろくろすけと同じ感じかな。
 フィンランドの風物についても語られていて、それがムーミンの世界設定にも割と直接的に生かされているのが分かる。そうそう、冬眠する生き物だったよな、ムーミン谷の連中って。確かに長く圧倒的に厳しい冬のイメージがある。

 それから、ムーミンのキャラクタや各話の解説。
 どれも何かしらひねくれた部分があるというか、別に児童文学を志向している訳ではないな、というのが分かる。絵柄は可愛らしさはあるものの、笑顔というのがあんまり印象になく、何か年中考え込んでいるような風でもあるし。
 同一の文脈で語るのは違うのだけれど、ピーナッツなんかはよく笑う。キャラクタ商品として使われる時のスヌーピーなんかはおすまし顔の事が多いが、本編中ではチェシャ猫ばりのニッタラ笑いをするし(まあ、チェシャビーグルというネタもやれるし、戻れなくなったりもする)。ピーナッツの企画時の題名がリトル・フォークスだった事からも、シュルツの主題に「子供を描く事」があったのに比べ、ヤンソンのムーミンは社会や人々を描こうとしたのであって、ムーミントロールが子供であったのは単に視覚的な当たりの良さを志向しただけなのかも知れない。まあ当てずっぽうだが。
 他に、時折人形の展示やちょっとしたクイズなどもあったが、子供向けという訳でもな感じだ。
 漫画版の展示もあり、トーベ版と弟のラルス版があるが、ラルス版はムーミンの鼻に折れ目が付いていて、お前、何オリジナルアレンジしてるんだ、と突っ込みたくなる感じのパチモノ感だ。つか、漫画版あったんだな。

 展示を一通り見終えた後、常設展示を眺めてから帰った。
 ああそうだ、内緒にしていたが、実はムーミンはそれほど好きとか嫌いとかの感情はない。アニメは多分観ておらず、『ムーミンパパ海へいく』を読もうとしたけど、途中で投げ出したくらい。
<出費>
交通費:520円(ドニチカキップ)
入場料:700円
計:1,220円


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