思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2015/8/30 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第76回 本当に! 本当に……。 本当に☆ 本当にライオンだ?:ノースサファリサッポロ

 北のムツゴロウの異名を持つごんぱちであるが、ムツゴロウの例に漏れず動物好きである。
 上の一文は、大体ウソである(正直)。

 行き先を探して相変わらず見にくいままの大通情報ステーションのサイトを眺めていたら、「世界の昆虫展【夏休み限定企画】デンジャラスの森に昆虫がやってくる!」とのタイトルのイベントが掲載されていた。
 デンジャラスというと、ライブSHOW MEで「青春? 青春、青春、そら売春、このバカタレが」というネタをやっていたなぁ、という事しか思い出せないが、こんな事を言っても「うんうん、そうだね」という返事が返って来る可能性は皆無であろう。
 あれ、確か、ボキャ天ブーム前夜のお笑い番組だったしなぁ。金曜の16時とか17時とか、学校帰ったぐらいの時間でやっていた気がする。改めて調べてみると、10週勝ち抜くと「60分間放し飼い」という深夜の番組枠が一回分貰えるという賞品が付いていた。そうだったそうだった、そういうシステム含めて結構好きだったなぁ。

 ふむ、昆虫展はなかなか良い。何より、それが行われるノースサファリサッポロなる施設に、行った事がない。
 場所は……バスで定山渓の手前だ。
 定山渓は札幌の奥座敷と言われる温泉地で、その名の通り微妙に遠い程度なので、日帰り旅行には向いている。
 よし、決定。

 ……ところで、ノースサファリって何?
 サファリパーク? 車運転するの? 動物と触れ合える系みたいだけど。
 まあ行ってみれば分かるか。
 ダメならダメなりだし。

 当日。
 9時前頃にいそいそと出発する。
 地下鉄琴似駅から東西線、大通で南北線に乗り換えで真駒内へ。
 バスに乗るので、地下鉄バス共通の一日乗車券があればお得っぽいが、ICカード化の波に押されてか廃止されてしまった。地下鉄のみのドニチカきっぷは続いているのでそっちは使うけれど。
 車中、メトロ文庫で借りたねじめ正一のエッセイを読む。この人の名前は、たけしだか誰だかの小説の中の夢の描写か何かで、頭にボルトをぶっさして出て来て「ねじ式」と言った、てな記憶だけがある。現代詩の詩人だとか、民芸品店を経営しているだとかは初めて知った。
 こういう車内でちらりと読む時は、小説よりもエッセイとかルポルタージュの方が楽だわな。
 ルポと言えば、これもメトロ文庫で借りた佐々学の『風土病との闘い』。これは面白かった。ルポルタージュの体裁を取ったヒーロー物で、戦後の日本に現れた寄生虫学者佐々と愉快な仲間達が、必殺技DDT等を駆使して、風土病と称される主に寄生虫疾患をバッタバッタとなぎ倒して行くお話。
 ヒーロー物の流行には波があり、悩むヒーローと悩まないヒーローが交互に来るものだが、これは、悩まないヒーロー系。だからこそ、悪を打ちのめす爽快感が味わえる。
 やや冗談は混じるが割と本当。佐々学という人で検索すると、防疫に大きな功績を挙げた人として出て来る様子。業績だけなら他にもいるかも知れないが、読ませる文章力があるという点で白眉と言える。
 唯一残念なのは、1960年初版の現在絶版なのでアマゾンとかで買おうとすると品薄で、あっても3000円ぐらいは吹っ掛けられる事か。

 真駒内駅に9時30頃に到着して、20分程ぶらぶら時間を潰した後、定山渓行きのバスに乗り込む。
 石山ぐらいまでは何度も来た事があるが、その先は数える程しかない。
 ああ、どんどん山がちになっていく。
 夏場はまだ良いけれど、冬だとうっかり死ねる状況だろうな。まあ、それは札幌市内でもそうだけど(ここも札幌市内です)。
 目的地の停留所、豊滝小学校が近付いて来る。
 ん。
 ノースサファリの案内の――ノボリがバタバタとはためいている。
 看板とかでなく?
 なんか手作り感が漂ってるな。
 到着ー。
 バスから下車する。
 ――ICカードの支払い料金に450円の文字が見えた。
 市内は210円とか260円ばっかりだから、ギョッとするなぁ。

 さて。
 確か、近くの駐車場を乗り場として、土日はシャトルバスが運行しているらしいんだけど。
 あ、ノースサファリの名前の付いたバスが停まってる――ん?
 これは、廃車っぽいな。
 なんだ?
 やってないのか?
 んー、よく分からないが、方向は分かってるから歩くか。
 (後で調べ直すと、運行している時は係員がいて、いない場合は電話で呼ぶという、土日も平日もさほど変わらないシステムだった)
 舗装はされているが、山に入って行く道っぽい。
 手書きの看板やノボリがずらずらと連なっている。ノースサファリのものもあるが、ライダー向けの宿の宣伝なんかもある。一泊千円とか安すぎるだろうと思うが、道の駅で仮眠を取るような感覚に近いのだろうか。ただ、ここで休むよりは札幌市街に行った方がずっと選択の幅は多そうだけど。バイクなら30分しないで真駒内に着く訳だし。

 なんか陽が射してきたな。
 お盆を過ぎたせいでそれ程暑くはないけれど、距離が分からないと――あ、案内出てた。残り900メートル。
 よしよし、先が見えた。
 案内兼用の「スピード落とせ」の看板もある。
 でも、「熊出没注意」の赤い貼り紙が目に付く場所で、熊の写真を使った看板を置くのはセンスが良くないと思う。黄昏時なんか、びっくりして事故を起こすドライバーもいそうだ。
 どこら辺まで歩いたかなー。
 進んで行くと、後ろから送迎のバスが。
 運行はしてたのか。
 停まってくれた。
 残り大した距離じゃないかも知れないけれど、親切は受けるもの。乗り込む事にする。
 2、300メートル進んだところで、ノースサファリサッポロに到着した。
 した。

 なんか。
 バラック様の建物が並んでいるのだが。
 入り口兼チケット売り場に行く。
「大人一人」
「1500円です」
 割引って調べてなかったけど、あったのかなぁ。
 入り口のところで「ほくせんカード」の新規入会で安くなるようなチラシを配っていたけど、それだけかな。そもそもほくせんカードってなんじゃい?
 中に入ると、「怪我をする可能性もあるので覚悟して入れ」という旨の注意書きと、ライオンの口の入り口が。脇に迂回路の印も出ているが、取り合えず入る。低い天井の急な階段を上がって、数歩進んでまた下がる。子供向けっぽいサイズで狭いゲートで、特に意味はない。
 順路を進むと、「一人づつ入れ」というような注意書きのある、閂付きの扉があった。入ると、もう一枚扉がある。その先は。

 おお、ワラビーとペリカンの柵無し展示だ。

 ああ、こういうコンセプトなのか。触れる動物園。
 ほうほう、ワラビーだ。
 ちっちゃいのもいる。可愛いと言えば可愛いが、尻尾がちょっとモフ感がなくて、ヌメ感があるなぁ。地面にぽろぽろ糞が転がっているので、注意が必要だ。
 しかし、ドアの普請もくたびれかけていて、微妙な手作り感がある。動物逃げたりしないのか。いや、たまに逃げてるんじゃあないか。家庭用の柵が少し外れている部分もある。これを表現する適切な言葉があった筈、あった筈ええと……ボロい、そう、ボロイのだ。ちょっと心配なレベルで。
 リクガメにダチョウにハナグマに、ああ、シマウマもいる。
 シマウマは凶暴なせいか、アクリル板に餌用の穴しか開いてないという一番厳重な隔離をされてるな。ちなみに餌は、ニンジンのスティックを集金箱に100円入れて勝手にあげるという田舎の農家方式。
 こっちはアヒル。こいつは柵どころか展示用のスペースもない。
 ウサギもいる。
 ナマケモノも触れられる距離。
 ライオンもいるんだな。これは流石に金網の向こうだ。有料で餌やり体験が出来るようで、お客さんが餌をあげていた。小さい肉の切れ端を火ばさみであげるのだが、なかなかうまくあげられずに、ライオンもじれったそうに柵から手を出していた。別のライオン檻では、ライオン釣りと称して、上から肉を垂らしてあげるタイプの体験もやっていた。
 こっちは、カピバラの湯? 中に入ると、カピバラが二匹、のそのそと歩いている。おお、顔長いな。触ってみると、毛はゴワゴワでちょっと残念だが、このサイズの生き物はそらそうだな。でもぼんやりした顔立ちは良いなぁ。

 一度外に出て、別区画のデンジャラスゾーンに向かう。
 完全に外の未舗装道路で、なんか余所の人の畑や、ペンションだか宿だかの脇を通ったりしながら、デンジャラスゾーンに辿り着いた。係員のチケットのチェックも微妙なまま中に入る。
 ここはピラニアやら何やらと接近できるようだが、ニシキヘビの名前があったのでパス。
 外の狐とか梟とか、仲良しの犬と虎とかを展示しているスペースと、特別展の世界の昆虫展だけ見た。世界の昆虫展は、ヘラクレスオオカブトとかいた。個体差かも知れないけれど、印象ほど大きくない。普通のカブトムシも小さめ。自分が大きくなったんかなぁ。昆虫に触れる時期なんて、小学校から後はなかった訳だしなぁ。

 さて、一応一通り観た。
 これだけ動物に近い施設は珍しい。
 けど、アトラクションの形というか、何と言うか。
 なんか、こう、見世物比率が高いというか……ぼろぼろなだてう?
 よせとは言わないが、無理はするな、上手くやれ。
 あくまで主観だが、毛並みとかあんまり宜しくない動物も見受けられる。触れられる展示ってのは、ストレスかかってそうだが、職員の死角は多い。当方、動物愛護の強い決意があるわけでも何でもないが、魅力ある展示であるだけに、無茶はしないで欲しいものだ。

 帰りのシャトルバスに乗り、路線バスのバス停へ戻る。
 戻る――あれ? そっち行くの? ああ、もう一つスペースがあるのね。
 ノースサファリアドベンチャーなる区画で、バギーやセグウェイに乗れたり、水陸両用車に乗れたりするらしい。他に、昭和の遊びコーナーではフラフープや竹馬で遊べたり、釘を打ったりノコギリを使ったりとかもできる。
 有料のサービスが多いので、特に手を付けない。
 しかし、このオフロード仕様のセグウェイは、随分ゴツく見えるな。森の中を走るようだけど、結構走破性良いのかな。なんか、平らなところしか行けない印象だったんだけど。

 さて、ぼちぼち帰ろう。
 バス停は豊滝の方が近くなったな。
 バスが何台か停まってるから、ここが転回場兼バス停だな。水分補給がてらデカビタっぽいのを自販機で買って飲んで……あれ、ゴミ箱なかった。待合の建物の傍らにゴミ箱……これは缶のゴミ箱じゃないのか。
 ん?
 なんか、この建物よく見ると待合って感じじゃないな。
 そもそも、バス停の標識がないぞ?
 ひょっとしてバスはあるけど、バス停じゃない?
 道を辿ってみると、少し離れた場所に豊滝のバス停があった。
 こっちに設置したら良いのに。間違える人結構いそうだけど。

 その後、数分してから真駒内行きのバスに乗り、地下鉄で札幌駅に少し寄ってから帰った。


<出費>
交通費:1,420円(地下鉄 琴似―520―真駒内:ドニチカ じょうてつバス 真駒内―450―豊滝小学校前 豊滝―450―真駒内)
入場料:1,500円(ノースサファリサッポロ)
計:1,540円


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