思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2016/2/28 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第82回 ていねっていいね! 小樽にしては!:札幌市手稲記念館

 ここだけの話だが、小樽領として有名な手稲は、実は札幌市に併合されているのだ。
 厚木駅が海老名市にあるのと同じぐらい意外な話であるが、この双方の地理についてのニュアンスが同程度に分かる人間はあんまりいないであろう。

 退職者の尻拭いやら何やら、忙しい最中、今月の行く場所を探していた。
 あんまり遠くないところが良い。
 お金もかからない方が良い。冬場は交通費分の出費があるから予算計画(大体、月1回しか金をおろさない。耐久消費財に使うカードは除く)が狂うのだ。バスがなくなって、会社から帰るのにタクシーとかを使う事もあったし。移動の問題さえなければ、雪もどうという事はないのだが。
 博物館系が間が持つのだが、と思いながらGoogleMapをぐりぐりやっていると、地下鉄宮の沢駅の近くにマーカーが付いた。
 札幌市手稲記念館。手稲が札幌市に併合された事を記念した館だとか。
 入場無料で、営業日が飛び飛びだが、丁度良い具合にやっている日だ。
 よし、行ってみよう。

 いつもは地下鉄に乗るのだが、大した距離ではないし、バスの方が近くにまで行きそうだ。
 停車する路線がかなり多い停留所なので、待ち時間も少なかろう。
 そんな目算で家を出て、停留所、西区役所前へ行った。
 この西区役所前という停留所、同じ名前のものが複数あるので、路線図をよく見ないといけない。JRバスと北海道中央バスが混在しているのも危険だ。今回の行き先は、長距離バスも通る大変メジャーな路線なので、乗り間違えはしにくいが、慣れないとやっぱり見失うのだろう。西区役所そんなに近くないし
 ああ、この停留所、地方に出向していた時に使ってたんだよな。
 昼の二時過ぎぐらいが最終で、やれやれ、またコンビニもスーパーもない村に行くのか、と、毎週憂鬱だった。

 数分しないうちに、バスがやって来た。
 JRバスの方だったな。
 よしよし。
 乗車口にあるICカードリーダーに、札幌ローカルICカードのSAPICAを読み込ませる。
 札幌市内のバス、地下鉄、市電で使え、1割のポイントが付くので重宝しているが、このポイントのせいでKitaca一枚にならない恨みもある。
 Kitacaだったら、上記に加えてJRで使えるし、更にはタクシー、イオン、コンビニでも使えるので、かなり簡単になるのだが。どうにかならんのだろうか。JRとタクシーにSAPICA乗り入れするなら、SAPICAだけでいけるのに。
 バスが出発する。
 平日の昼間の琴似は、それなりに人が乗ってるなぁ。
 勝手知ったる北五条手稲通りをバスが走る。
 自転車が使える時期はら、自転車以外の何も使わないのだけど。
 10分かそこらで、西町北20丁目停留所に到着した。
 このブロックの斜向かいに地下鉄宮の沢駅のブロックがあり、まっすぐ行くと白い恋人パークがある、そういう交差点である。
 さて、いつもは行かない南方向へと歩く。
 ちょっとした坂になっているな。
 あ、ラーメン屋だ。
 500円とか書いてあるけど、学生向けか。
 食事を食べ損ねているから、帰りに……食べないか。何となく。味分からなくなりやすいしな。
 2、300メートルぐらい歩いたところで、広い敷地の建物が見えて来た。
 左へ回り込んで。
 お、看板出てる。
「札幌市手稲記念館」
 ビンゴ。ゴブベリ。
 職員の人が建物の前の雪かきをしている。そんなに積もってないけど、仕事に余裕がありそうだな。
 入り口の引き戸を開けようとすると、今し方の職員さんが声をかけて来た。
「展示室の見学の方ですか?」
「はい」
 そういう聞かれ方をする通り、展示室以外に貸しスペースもやっているのだ。中に入ると、カラオケの音が聞こえている。
 職員さんが、展示室の明かりを点けてくれた。
 利用する人が来るまで明かりが点いていないというのが、ミュージアム系では初めてだな。
 ローカル感が強い。
「こちらにご記入下さい」
 職員さんが指し示す見学者簿には、一日一人か二人というペースで見学者情報が並んでいた。
 ローカル感が実に強い。
 札幌なのに。100万都市なのに。

 順路に従って歩く。
 動物の剥製に、様々な文献、農機具、消防用のポンプ車両まで。
 実に有り触れている。
 既視感がものすごいな。
 どうしてこういうところは、必ず唐箕と千歯扱きを飾るんだろう。
 お、西洋鎌がある。輸入品で使ってたか。うむふむ。
 肖像写真がいくつも飾られているが、寄付者なのか何か功績がある人なのかよく分からないな。
 ふむふむ。
 手書きの年表もある。手書きの温かみを狙ったとかじゃなくて、作成年が1970年代なだけ。紙の変色具合が時の流れを感じる。酸性紙だとそんなに長持ちしないんだっけ。
 剥製も色々あるな。
 剥製業者に、死んだペットを持ち込むヤツがいるようだが、大抵出来上がったら「こんなじゃない」と文句を言うらしい。
 動いている時とはそりゃ違うわな。毛並みも悪くなるだろうし。
 剥製と言うと、鉄郎の母親だが、人間みたいに毛のない皮膚の剥製は難しそうだなぁ。流石は未来技術か。
 松本零士お得意のブレブレ設定で、機械人間と生身の人間の関係性がよく分からなくなっているのが、あの一巻辺りは顕著だよな。ライフル一丁で全滅させられる機械伯爵を見て、機械の身体に憧れるもんだろうか。それともアレだろうか、永遠の寿命があるならば、いつかは機械人間を全滅させられる、みたいな、ベジータ理論だろうか。或いは、小さい頃から機械の身体になれば楽が出来るという考えが出来ていて、路線変更が難しかったのだろうか。

 一通り見終えて、受付に戻っていた職員の人に一声かけてから、札幌市手稲記念館を出た。
 雪かきはすっかり終わっていた。

 その後、地下鉄で琴似に戻った。
 乗り継ぎ割引が適用になっていた。
 そうか、そういうのもあるのか。
 じゃあ今まで、宮の沢へ地下鉄で行って帰ってやってたのは、結構な無駄だったんだな。


<出費>
交通費:210円(西区役所前――西町北20丁目)
交通費:120円(宮の沢――琴似 乗り継ぎ割引)
計:330円


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