思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2016/7/31 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第87回 しゃこー:さっぽろチカホ 縄文夏祭り

 札幌市の観光の目玉と言えば、さっぽろ雪祭りであるが、夏の過ごしやすさもまた、旅行者を呼び寄せる。
 札幌駅から大通駅をつなぐ地下歩行空間も賑わいを見せる。
 だが初めて来た旅行者は、通らない方が良い。
 赤レンガ庁舎を、ばっちり見落とすからである。

 地下歩行空間で、縄文夏祭りが行われるとか。
 土偶の展示と、考古学系の講演があるとの事。タダで。タダで。
 博物館があれば概ねノルマ達成の当企画に、考古学展示はぴったりである。
 もう一件良さそうなものもあるな。こっちも流れで行くかなー。
 じゃ――これから行こう。

 札幌駅は概ね自転車移動圏内だが、駐輪の加減やら時間やらあるので、今日は地下鉄を使う事にする。
 大通り駅に到着、からの、地下歩行空間。ほとんど直結である。
 11時過ぎ。講演の時間までまだ間がある。
 地下歩行空間は、要するにおっきな地下道である。
 あくまで地下道であるので、地下街のようにびっしり店はないが、フリースペースとしてイベントが行われる事が多い。そして、ビルにも直結しているので、そのままレストランの店先が露出していたりもする。
 んー、なんか良さそうな店があれば食事したいけど……ん?
 ここに松尾ジンギスカンあったっけ?
 なかった気がするけれど、新しく出来たのか。
 んじゃ、ちょっと入ってみるか。

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
「いかにも」
 コンロ付きのテーブルが並ぶ店内へ通される。
 松尾ジンギスカンは、臭みのあるマトンを、濃い味のタレに漬け込んで匂いも何も分からなくしてしまうという、イギリス人的な発想で一世を風靡した札幌のジンギスカンの代名詞とも言える店である。
 団体旅行とかでここに連れて来られても、「もう少し別な店が……」と思う場所である。要は羊の焼き肉の食べ飲み放題で、これを喜ぶのは学生ぐらいだろう。「食べ放題」の美点は種類をたくさん食べられる事であって、選択の余地の少ないジンギスカンの更に絞られた食べ放題メニューとなっては言わずもがなである。
 が、一人で入って一食分食べるのであれば、新たな発見がありそうだ。  さて、何を頼もう?
 ランチメニューの何かにするのは決まっているが、肉を山ほど食べたいワケでもないが……ん、丼物か。焼き肉の焼く動作や熱々感にはそれほど執着ないから丁度良い。これを頼もう。
「特上ラムジンギスカン丼セットをお願いします」
「お肉の量はどうなさいますか?」
「200グラムの中で。ご飯は大盛り」
「コーヒーはいつお持ちしますか?」
「食後で」
 ファーストフード店と違うからちゃんと接客ある感じだな。
 待つ事暫し。
 少しかかるな。
 メニューを眺めながら待つ。
 ランチメニューには、他に焼き肉系と、カレーがある。しかし「まつじんカレー」って、その略称は微妙に物騒な響きと近いな。「マトン」で「カレー」で「○つじん」じゃ、ジョン・ストレイカーは風前の灯火だ。
「お待たせしました」
 おお、来た来た。
 肉でご飯が覆われた丼に、温泉卵、漬け物、サラダ、味噌汁、白い器に入ったの。
 ん、この白いのはデザートか? それともドレッシングか何かか?
 ……ああ、甘い。デザートか。牛乳寒? ヨーグルト……ではない? 後で分かったが、杏仁豆腐だった。
 んでは、食べるべし。
 ふむ、ラム肉は2、3ミリの厚さがあるが柔らか。つけだれの味は濃すぎず良い感じ。
 次に温泉卵を落として食べて、と。
 うん、うん。
 細かな味だの何だのは分からないが、なかなか良い。肉量も少なすぎず。
 うむ、ごちそうさま。
 それなりに満腹。
 見計らって持って来られたコーヒーを飲んで松尾ジンギスカンを出た。

 さて、もう12時だな。
 ああ、あれだ。松尾ジンギスカンの店先から分かる距離だ。
 お、土偶が色々ケースに入れて飾られて、その隣の講演スペースにパイプ椅子が並んで、既にかなり席は埋まっている。
 年寄りが多い気がする。
 市民講座の一つって事になっているらしいので、老後の趣味にしている人が多いのかも知れない。
 講師の人が講演を始めた。
 内容は、縄文時代の穽(落とし穴)猟についてだそうな。
 マニアの領域の話っぽいな。
 落とし穴を使った猟と言えば、追い落とすものと考えられがちだが、この講師の人の仮説では仕掛け罠として使ったのではないか、との事。
 ドラえもんの学習漫画で、ナウマン象を落とし穴猟で狩るシーンが描かれていたが(実際には、その発想の発端となった出来事にのび太の先祖が絡んでいたというような内容)確かに追い落としのイメージだ。
 しかし仕掛け罠としてそれほど優秀なんだろうか、落とし穴は。
 一度使ったら二度使えないような気もするし、その割には作成コストが高そうだし、なんて思うけども。
 落とし穴は結構北海道にもあって……というような話をしていた。
 仮説段階なので、新事実の発見、という事ではないが、それなりに興味のわく題材であった。
 じゃ、土偶を見よう。
 レプリカの土偶は、いろいろな物があるが、やっぱりこの遮光器土偶がものすごく立派だ。大きさもだし、形もだし。
 ふむふむ。
 遮光器とは、板に線状の穴を開けて光を和らげる眼鏡のようなもの。
 ……そうだったの?
 そうなのか。
 そういう道具があった事も知らんかった。
 北国とかで雪の光から目を守る為に使ったりした様子だ。
 なるほど、シャッコーも、目が遮光器土偶から来ていてシャッコーなんだなぁ。

 さてこの後は、と。
 中島公園の文学館で、ミッフィー展をやっているらしいので、これも見てみよう。
 ミッフィーはなんだかんだで触れる事の少なかった作品だな。
 女の子の物、みたいなイメージもあったのかも知れない。
 地下鉄で中島公園からだと少し遠いので、幌平橋から折り返す。
 ここは前にも来ているから特に迷わないな。
 北海道文学館へ到着。「ミッフィーのたのしいお花畑」の看板が出ている。

 中に入ってみると、この前のムーミン展と大体同じ感じでロビーに土産物屋やモニタが用意されている。
 受付で特別展のチケットを買って、中へ。
 ミッフィーだけでなく、ミッフィーの絵本に出てくる花に焦点を当てた企画展と。
 ふむ。
 ミッフィーは……ほほう、決まった6色しか使ってないのか。だからたまに、人間の顔がおかしな色になるのか(おかしくはない様子)。
 へえ、そういう縛りプレイなんだ(プレイ言うな)。
 単純化する事で伝わりやすくする、分かる気はするな。
 絵本の作成風景なんかもあったが、一枚の絵として書いているワケではないんだな。切り貼りとかでやっていて、何というか、デザインという方が近いようだ。初期は一枚絵だったのかも知れないけれど。
 一通り見終わったが、ミッフィーはやっぱりなじみが薄いな。
 これと同じ感覚は、ピーナッツの漫画を読んだ事がない人、みたいな感じかも知れない。スヌーピーやチャーリーブラウンの姿は知っているけれど、それだけという。
 ふむ、それは大分損をしていそうだ。


<出費>
交通費:520円(ドニチカキップ)
入場料:700円(ミッフィーの楽しいお花畑:北海道文学館)
飲食:1,350円(特上ラムジンギスカン丼 セット:松尾ジンギスカン)
計:2,570円


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