思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2017/1/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第93回 観覧シャー!(かつまた):ノルベサ観覧車「NORIA」

「札幌着いたよー」
「よっしゃ、すすきので待ち合わせしようぜ!」
「土地勘ないんだけど、なんか目印あるー?」
「じゃあ、観覧車で」
「観覧車?」

「――なんで来なかったんだよ!」
「お前の方こそ! 何で来なかったんだよ、梅田駅まで行くの大変だったんだぞ!」
「おいおい、札幌で観覧車って言ったら、HEP FIVEじゃなくて、ノルベサだろ!」

 で、おなじみのノルベサである。
 「ノルベサで待ち合わせ」とか言ったら、番地を知らなくても大体上を見ながら適当に進めば良いという、札幌市民にはおなじみのランドマークである。
 端的に言えば、観覧車の乗っかっている商業ビルである。
 当然「乗るべぇサ!」という北海道訛りをカタカナにして、外国語っぽく……いや、北海道方言のそれ以外の何でもないな。コンサドーレとかは最初感心したが、これはまんまだ。
 札幌市民の常識であるノルベサと観覧車だが、その認知度に反比例するかのように、実際に乗った事のある人口は少ない。ノルベサの中で利用するのは下の方のうおや一丁か、屋上のビヤガーデンぐらいなのである。
 そこで、今回はこの「回避スキル:地元民スルー」の発動しているノルベサの観覧車「NORIA」に単身潜入を試みるものである!

 当日。
 翌日会社は休みだけど、月末最後の休みを費やすのはちょっと億劫だし、なんか行き先に手間のないところ、出来れば帰り道にちょこっと行ける程度のところはないかなぁと思ううち、ノルベサの観覧車の事を思い出した。
 ふむ、悪くない。
 今日は本社に来ているので、路面電車一本ですすきのまで行ける。
 じゃあ、さっさと終わらせて空中散歩と洒落込もうじゃあないか!
 じゃないか。
 じゃないか。

 ――微妙に引っ張られ、帰りがなんだかんだで19時。
 「ちょっと所長聞いて下さいよ」「大変! ○○さんがお部屋にいないの!」系の、あんまり生産的ではない時間の取られ方をした気もするが、まあそれはそれで仕事の範囲、しょうがない。
 小走りに市電の駅へ向かう。
 よっしゃ、到着。
 おっ、丁度電車来てる。
 乗り込め乗り込め。
 ああ、相変わらず狭い車両だ。狭いというか、薄いんだよな。
 鈍い、狭いの二重苦だが、「すすきの寄ってから帰ろう」「大通り寄ってから帰ろう」みたいな時には、基本運賃が安い上に乗り継ぎ割引が効くのでありがたい。これをバスでやると少し割高だし、地下鉄だと乗り継ぎ割引がないからもっと割高だ。
 よし、すすきの駅にとうちゃーく。
 ノルベサは、どこだったっけなー。
 地面結構凍結してるな。
 今日は気温がプラスだったせいで、半端に雪が融けてアイスバーンになっている。
 転ぶ人、滑る人かなり見かける。
 足下を気にしながら、空を眺める。どっち方向だったっけな……少し歩いたところで――発見しました、観覧車!
 ライトアップされ、それ自体も光っていて、ネオンサインのでっかいのという趣だ。こういうランプがしっかり点く観覧車というとみなとみらいを思い出すが、あれが最初だったんかな、それとも他に先駆者があったのだろうか。みなとみらいのは、単なる光というだけでなく、時計の針の役割も果たしていたのが愉快だった。
 よーし、ノルベサの入り口に到着。
 中に入り、エスカレーターで上を目指す!
 2階! まんがの森! 3階! フィギュア屋! 4回! ネカフェ! 5階! ゲーセン! 6階! ボウリング場!
 あんまり意識してなかったけど、割と自分向きのラインナップだな。ちなみにボウリングはなりふり構わないとそれなりの点が出る事がある(助走なしからの投球。見た目は悪い)。
 まんがの森ぐらい覗きたいけど、20時終了なのだろうからまたの機会にしよう。
 7階にようやく到着した。
 ガラス張りの壁から、観覧車と乗り場が見える
 「観覧車はこちら」の表示がいくつも出ている。案内に従って進む。火鍋屋の前を通りぐるりと回り込んで、ほい、観覧車「NORIA」乗り場に到着ー。
 チケットの自動販売機と、もぎりの人の距離が妙に近いな。
 自動販売機でチケット購入する。
 1人で600円。ゴンドラ1台に4人まで乗れるが、値段が1200、1800、2000という、法則性の微妙な価格設定になっている。2周の場合は1人あたり800円のようだ。
 営業中の観覧車は回り続けている。ゴンドラは相乗り想定していないので、1人乗ろうが4人乗ろうがグループでひと箱占拠する。観覧車を動かすエネルギーのコストは、恐らくかなり小さいと考えられる(インド辺りだと、2人の人力で10人程度を乗せた観覧者を動かせている)。これら考慮すると、ゴンドラ単位の価格設定にするのが妥当と言えば妥当なのだが、そうはなっていない。
 ――とすると、1人で乗るのが一番コストパフォーマンスが良いのだろうか?

 チケットを渡すと、係員の人がガラス戸が開け、プラットフォーム(というかどうかは知らないが)へ誘導、その先の係員の人がやって来る観覧者の扉の開閉をしてくれる。
 よし、乗り込んだ。
 対面4人掛けのゴンドラ内は、多分、4人入ったらかなり窮屈だろう。何かの音楽がかかっている。暖かい感じはないが、すきま風はないし、外歩きの格好とは言え何も寒くはないのでしっかり暖房は入っている様子だ。
 ゆっくりと観覧車が上がっていく。音楽のせいか、性能か、作動する機械音は特に気にならない。
 お、テレビ塔だ。夜景だからあんまり「いつもの景色が云々」という感じはしないが、なかなか綺麗で見晴らしは良い。お、ニッカのおっさん看板が見える。
 観覧車のスペックは、ゴンドラ32台、バリアフリー対応、直径45.5メートル、高さは78メートルに達する。一周がおおよそ10分程度となるようだ。

問題1:ゴンドラの移動速度は秒速何メートルか?
問題2:ゴンドラの重さを100キログラムとした時、何キロの遠心力が働いているか
問題3:事故が発生して、ゴンドラが外れた場合、何メートル先に落下するか。尚、この際空気抵抗や他の建物は存在しないものとする

 答えは考えたら分かりそうだけど考えない。
 お、ぼちぼちてっぺんに近づいて来た。
 円山動物園にあった観覧車は、何となく怖い感じがしたものだが、こっちはそれほどでもないな。安定性とかそういうものが違うのかも知れない。乗る位置でゴンドラ全体の傾きが変わるのは同じなのだが。
 反対側に座ってみるか――ふむ、藻岩山方面に向くが、夜だからよく分からないな。
 そっか、別に立っても良いんだな。うん、見渡しやすくて良い感じだ。
 テレビ塔が一番目立つなぁ。
 雪がまた降り出したか。
 ライトアップされてるから、雪の粒がよく見える。ビル風なのか何なのか、上から下ではなくて空へ吹き上がるような流れが見える。
 ほどなく、一周は終了した。
 ふむ。
 まあまあ悪くない。
 お手頃価格で割合に非日常な感じが味わえる。
 高いところなら良いという事なら、JRタワー(160m)、幾何学的な町並みを見たいならテレビ塔(90m)に行けば良いのは確かだが、ここの場合はテレビ塔が見られる、飲食のついでに行きやすい、という辺りに利点がありそうだ。

 その後、まんがの森とかは閉店時間だったので、地下鉄大通り駅方面まで歩いてブックオフだけ覗いて帰った。


<出費>
交通費:170円(路面電車)※帰り道の寄り道なので余分なのはこれぐらい
料金:600円(観覧車「NORIA」1名)
計:770円


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