思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2017/6/29 『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第98回 祝津にしん群来祭り:小樽市祝津

 今月も今月でイベントごとはないかなぁ、と思っていたら、本郷新美術館の特別展と、白老牛肉祭りと、祝津にしん群来祭りが目に付いた。
 白老……って、どこだっけ。苫小牧と室蘭の間か。結構時間かかる上に、多分そんなに面白いものではないだろう。
 他にネタがなければ行っても良いが、今回はパスだな。
 として本郷新は、もう少し別の日でも行けるけど、祝津の方は6月3日、4日だけの開催だから、まあ、こっちに行ってみるとしよう。

 10時開始らしいので、9時過ぎぐらいに小樽に着くようにJRに乗る。
 松本清張の『十万分の一の偶然』など読みつつ進む。
 雨予報だが、まだ特に振る様子はない。逆に日が強すぎず良いといえば良い。
 快速がないせいで、50分ぐらいかかったが、無事に小樽に到着した。
 さて、バスは、と。
 会場は小樽水族館の近くのようなので、水族館行きに乗れば良いが。
 ……9:50発。
 あれ、こんなに本数少なかったっけ。
 まあ仕方がない。
 少し、ぶらぶらして時間を潰そう。

 小樽駅の正面の通りからまっすぐ海へと進むと、小樽運河のある通りと交差する。
 ここは良い感じに古い町並みを残しているが、小樽が全部こういう風景だと思ってはいけない。たまには石造りの建物が混じるが、概ねモダンな現代建築で占められているのだ。日本の観光地のよくあるパターンである。
 三角市場も少し覗いてみる。
 カニ売ってるところが多いな。
 前に来た時はあんまり意識してなかったけど、結構食堂が多いな。どこも海鮮系で結構な良い値段取るが。
 こういうとこで食べる手もあるけど、今日は祭りの会場で何か食べようかなぁ……でも、結局食べない気もするなぁ。祭りの会場って、立ち食いになりがちで、それでいて地元密着型だと「箸と紙皿」になったりするから、なんか、面倒さが出てしまう。立ち食いは片手で食べられるぐらいでないとなんともかんとも。
 ぼちぼちバスの時刻になったので、駅前の乗り場から乗り込んむ。ターミナルかと思いがちだが、割と通過が多くて始発少ないんだよな、小樽駅前は。
 バスに乗り込むと、小学生の集団が同時に乗り込んで来た。博物館に行きたいらしい。ああ、通り道だやね。このバスじゃなくても多分、割と近くまで行くのあったような気もするけど。
 バスは街中をのんびり走る。
 さほどの時間も経たず、博物館前に到着して、小学生達が降りて行った。
 その後は、海沿いの道を進む。
 トンネルを二つくぐって、旧青山別邸のところに入り込んで、それから小樽博物館へ到着ー。お、交通整理している人がいる。
 つか、人がいる、という事自体が結構珍しい。
 平日なんかに行くと特にガラガラだからな、ここは。
 民宿や料理屋が三軒、開店している。

 会場は……水族館前の駐車場をイメージしていたが違った。
 鰊御殿寄りで、海に近い方だ。
 歩いていると、音だけの花火が打ち上がった。
 開会セレモニー開始の合図だ。
 10時10分か。
 10時開始だと思ったけど、少し遅れ気味? いや、予定通り?

 お、会場見えた。紅白幕にステージがあって、市長が挨拶している。
 椅子が並んで聞いている人は、おそらくほとんどが関係者で、それ以外の人はまばらだ。
 なんでそんなかと言えば。
 ステージと露天のスペースが完全に分かれているから。
 ……なんだその会場設計。
 ステージを遠目に見つつ、露天の方へ行く。
 入り口すぐのところに行列出来てるところがあるな。
 確か鰊だかを無料で配るので、整理券を配るとか何とかあった気がする。それ自体を目的に来た訳ではないし、並ぶのは億劫なのでそこはスルー。
 会場は、運動会型のテントが10前後ぐるりと露天スペースを囲む形で配置され、中に飲食用のテーブルが置かれていたり、奥の方では鰊をその場で食べられる用に、個人用炭火を貸し出し? していて、既に何人もが鰊を焼いている。こういうのししゃも祭りでも見かけたな。興味もなくはないが、独りだとちょっと……いや、完全に独りなら良いけど、向かい三軒両隣家族連れとかでワイワイされると、居心地が悪そうだ。
 後は、ウニ、ホタテ、シャコなんかを焼いていたりもした。ウニが600円、シャコが500円、ホタテは200円で出していたけど、これは安い部類だろうな。観光地・土産物価格でやるなら、ホタテで500円ぐらい取るだろうし、ウニなんか1200円ぐらい取るだろう。
 会場を後にして、灯台方向にある鰊御殿へ向かう。
 会場が丁度見下ろせる形になる。アナウンスはよく届いて、鰊の稚魚の放流が始まる事を告げていた。
 鰊御殿は一度来た事があるが、今日はお祭りサービスで無料開放中だ。
 どれどれ、中に入ると。
 うん、前と変わらない、鰊漁と加工にまつわる展示の色々。
 二階に……ああ、隠し部屋あった。
 鰊御殿の周囲から少し歩いて、崖の近くまで行き海を眺める。
 切り立った崖に囲まれた入り江、岩場で砕ける波、飛ぶカモメ。大変画になる。
 しかし、この崖から落ちたらひとたまりもないのだろうが、何となく怪我までのイメージしかない。子供なんかは、そのイメージのまま行動してしまうから、うっかり死んだりするんだろうな。
 今日は曇っているせいで、海があんまり青く見えないな。前に見た時は、一部分だけだけど、沖縄を思わせるマリンブルーがしっかり見えたのだけれど。

 一通り見た後、少し早いけど昼食がてら店に入る事にする。
 どうやっても会場では食べにくいので。
 懐具合も多少改善しているので!
 さて。
 水族館に来た事がある人なら、大体目にしていると思うのだが、ここの食堂は店先で、昔話的に串を打った鰊を炭火焼きにしている。
 自分も何度か見かけたが、そういうのってこう、観光客相手にふっかけた値段で商売してそうだなぁ、とか思いがちだが。
 割とネットで評判の良い店があったので、流れ次第ではそこに入ってみようかなぁとか思っていたのだ。
 驚くべき計画性!
 選んだのは民宿の青塚食堂。
 引き戸を開け、中に入る。
 木のテーブルが並び、海の家とかそういう感じ? いや、それよりはちゃんとしたイメージか。
「いらっしゃいませ、お一人ですか? ご予約ではありませんね?」
「うむ、予約じゃなくて、一人である」
 案内された席に着くと、番茶と紙の手拭きが出る。
 予約席も多いようで、予約を示す紙がいくつかのテーブルに貼られている。
 メニューがないな。店内に貼り紙はあるが、見づらい。
「メニューお持ちしました」
 ああ、来た来た。ある種の店は、メニューの冊数が少ないよなー。
「今の旬はバフンウニとムラサキウニですよ」
 ウニも良いけど、今回は鰊系の祭りに来ているからな。前なら酒の一杯も、となるのだが、せっかく匂いが分かる状態を敢えて崩すのは愚かなので、定食方向で考えよう。
 とすると、鰊定食……八角定食もあるのか。っていうか、八角って、スーパーで見かけただけだったけど、焼き魚にするものだったのか。どう食べるのかイメージが湧かなかった。
 鰊定食の上位ヴァージョンの鰊定食スペシャルというのがあるな。値段は2000円そこそこ。安いって程でもないけれど、場所柄考えれば丁度良いぐらいだろう。

 注文をした後、少し落ち着いてメニューを見直す。
 ウニは時価か。
 まあ、他のものの値段と比べたらさほど無茶な値段ではなかろうけど。
 他にキンキもあるな。次があったら頼みたい気はする。でもまあ、店先で鰊を見せられちゃ、やっぱり食べてみないと嘘だわな。
「お待たせしました」
 早い。
 店先で焼いている鰊の丁度のヤツをローテーションさせている感じか。生の魚の焼き魚は時間がかかるから、これは良いやり方だな。
 定食の内訳は、まずは焼いた鰊。特大を謳っているだけあり、三〇センチとかそんな、かなり大ぶり。それからタコとホタテの刺身、この辺がスペシャルの部分。そしてホタテの稚貝の味噌汁。松前漬け、イカの塩辛、キュウリの漬け物。ご飯のお替わりについては特に情報はなかった。
「鰊には醤油をかけてお召し上がり下さい。まあ、お好みですが」
 ?
 やや謎な注釈だな。
 まあいいや、いただきます。
 鰊の身をば。
 お。
 ふっくらして脂が乗っていて、これはかなりうまい。
 うまいが、塩焼きじゃないんだな、そのまま焼いたものだ。なるほど、それで直接醤油をかけろって言ってたのか。
 醤油をかけると……。
 む!
 これは顕著に味が良くなるな。
 単に醤油が味に加算されたというのと違う、乗算的な旨さの上昇だ。
 うむ、皮はしっかり焼き目が付いてパリッとしていて、身は分厚くうまい。
 小骨が多いのが鰊の特徴であり欠点であるが、毛のような細さの小骨なんてのは、要は骨ではないと考えれば良いだけだ。
 腸んとこは……あ、卵ある。
 ふむふむ。
 うん、かなりうまいぞ、これ。
 刺身の方は、これも上等、上等。二種類だけで量が大量という訳でもないが、これ以上はむしろ野暮になる。良い感じ。塩辛他もちゃんとしている。
 うまい。
 うまいが、量が多いな。
 時間が早いせいもあるが、鰊のボリュームがかなりのものだ。
 それに加えて、塩焼きになっていないせいで、あんまりご飯のおかずとして食べる感じじゃないな。主食っぽい。
 ほれそうすれば、背骨一本残るだけだ。
 残ったご飯は、松前漬け、塩辛、漬け物で食べて、と。
 〆に少し残ってた味噌汁を、あ、ホタテの身が二つばかり残ってた。豪勢な〆だな。
 うむ。
 喰った。
 これで2000円はまあ適正価格だな、満足。

 その後、やや重ための腹を抱え、特にどこに寄る事もなく、札幌に帰った。


<出費>
交通費:1,520円(琴似―540―小樽―220―小樽水族館 往復
食費:約2,000円(鰊定食スペシャル)
計:3,520円


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