思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2018/3/27『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第107回 竹脇無我的熟語感:棟方志功展 北海道近代美術館
 Steamで半額セールやっていたので、PC版『ニーア・オートマタ』をプレイ。
 ネタバレしやすい内容だが、まあそれなりに発売から時間が経っているから良いか。
 総合するならば、快適なダッシュ、まあまあ魅力的なキャラクタ、一本道で意外性は少なめだが先は気になるストーリー、イージーならサクサク快適な戦闘、狭苦しく自由度の乏しい書き割りで作られた箱庭、ディストピアで狭い世界観(多分セカイ系というヤツに当たる)、と、一長一短あるが、三、四千円ぐらいなら良いのではという作品。
 まあまあ面白かったが、勘違いしやすい外見をしていて、妙に期待をすると肩すかしを喰う。

 一見、マルチエンディングを標榜しており、オープンワールド風だが、エンディングの大半はただメインストーリーの進行フラグを折る事で生じる強制的なゲームオーバー、更に一週目、二週目、三週目を別々なエンドと呼んでいて、つまり、根本的には一本道と変わらない。
 世界は一見シームレスではあるが、メインストーリーを進めない事には、探索可能な箇所はほとんどない。つまり、「オープンワールド」という語句に対して期待する、「自分の好きなようにどこにでも移動」「本筋そっちのけの寄り道」というようなものはないに等しい。建物はあるが、ほとんどが中身のないただの書き割り。
 縦、横、全方位シューティング等の要素も売りにしているが、これも「ハッキング」の表現で使われる弾幕シューティングを除けば、全てがイベント戦闘であって、例えば、「防備を固めた区画について、地下通路からスニーキングする事も出来るし、戦闘機を調達して強行突入や偵察が行える」みたいな使われ方はしない。
 通常、三次元視点だが、場所によって視点がサイドビューやトップビュー固定になる部分があり、その切り替わり時に違和感が生じる。これは確か、FF7で使われていた手法に似ている。
 つまり何を言いたいかというと、これはオープンワールドっぽい皮が張られているが、その中身は自由度の低めの一本道系RPGであるという事。もっと言うならば、経験値などのいわゆるRPG的要素は持っているが、その本質はストーリーを追いかける事を主眼にしたADVだという事。
 あ、ダッシュ移動が使いやすく速いのは○。これがなかったらこのゲームの評価は半分ぐらいに下がっているかも知れない。ワープ移動が使えるようになるのが非常に遅いし。

 で、そのストーリー部分だが、「アンドロイドである主人公達は、死んでもバックアップされたデータから再開できる」というメタフィクション的描写があったので、その他の部分もそれに凝ってるのかなと思ったが、そんな事はなかったぜ。サブクエストのクリア状況が周回後に引き継がれてたりしたし。
 内容については、サイドA、サイドBそして、みたいなもので興味は持続した。
 ただ、「○○という事を信じていましたが、実は作り事でした、という事に気付いたと思ったら、それも計画の内でした」系だった。このどんでん返し系は、2回使ってはいけない。何となれば、2回目があると、3回目が当然にあると考えられるべきであるから、その方向にオチが付かないのだ。
 芝浜を例にすると
・金を拾ったと思ったが夢だった(導入)
・金を拾ったのが夢というのは、妻が夫を気遣って言った嘘だった(1回目のどんでん返し)
 これは収まるが、

・金を拾ったと思ったが夢だった(導入)
・金を拾ったのが夢というのは、妻が夫を気遣って言った嘘だった(1回目のどんでん返し)
・その後酒を飲んで起きたら、本当は財布を拾っていたという事が夢になっていた(2回目のどんでん返し)
 1回目と2回目の手法が同一である為、堂々巡りしているだけで、2回目が事実である事の信憑性が皆無になってしまうのだ。

 アクション部分は、セーブ機能開示前にうっかりゲームオーバーになってやり直しになったので、イージーモード一択にしておいたので、ぬるい感じにはなったが、先に述べたようにストーリーを追うゲームなので、まあ適切かと。
 このバランスにおいては、酷評されがちなハッキングがサクサク進んで、「アクセスのきっかけさえ掴めれば、敵を暴走させて倒せる」という情報系主人公の強さが分かって面白かった。

 キャラクタについては、目を隠しているという特徴的な姿に、アンドロイドという設定、更に「感情を出す事は禁じられている」とかの台詞から、非人間的にクールな存在をイメージしていたが、そんな事は全くなかったぜ(二度目)。こういうのは、そういうクール系お人形系をギリギリまで描写し続けた上で、最後の最後に感情らしきものを見せる事でその落差で引きつけるのが作法なのだが、まあ、「掴み」を重視したのか。或いは、本当はアンドロイドとも言い難い感じのものであるという伏線の表現か?
 最初の主人公である「2B」(名前)が、可愛らしい容姿とクール系だけど微妙に隙の多い声や行動、景気の良い下着(じゃないから恥ずかしくはないらしい)の見せっぷりから人気がある様子で、これはまあさもありなん。

 琴似駅前の文教堂書店に、棟方志功展のポスターが貼られていた。
 棟方志功。
 音に覚えはある。
 絵にも覚えはある。
 ああ、この絵を描いた画家だったか。
 日本のゴッホねぇ……。
 日本の○○は、大体本家を超えられないものの象徴的表現なのだから、そういうのは本人の意をくんで内緒にしとけば良いのに。
 絵柄は別に好みではないが、観てはおこう。

 名前は知っているけれど、それがどういう人なのか分からない、ってのは時折あるなぁ。
 熟語っぽい響きだと、なおさら頭に残る割に誰だか分からない。
 有名どころで言うならば竹脇無我だ。具志堅用高とかも大概そんな系列だ。
 その点、ウィキペディアとかが自由に使えるようになった現在は、見つけやすくて良い。
 思い出すに至る過程が云々言う向きもあろうが、知識はないよりもある方が良いのは自明であるからして。
 尚、こういう時に「知らない方が良いこともある」云々言いたがる人がいるが、大づかみな話なので下らない揚げ足は取らない事。
 金はないよりあった方が良い、病気よりも健康の方が良い、一人(空を駆けられる)より二人(海を守れる)が良い二人より三人(大地を走られる)が良い、そういうレベルの話である。

 会社の用事が少しだけあった日、半日出勤にする程の時間でもないので、全部休みにして、観に行く事にした。
 雑な休み方だが、有給休暇があまるぐらいあるので、問題はない。
 さて、と。
 勝手知ったる北海道近代美術館。
 前日からの雪で真っ白だ。
 ぼちぼちとけたりする時期ではあるのだけれどなぁ。

 ロビーに入って、特別展が、こっちか。いつも通りだな。
 入場料1300円ー。
 絵は、最初の方にゴッホに感銘を受けて油絵を始めて、その後、仏画へ移行して、版画の作品を残していく、と。
 でっかいのもあるな。等身大の屏風版画?
 それでこの観音様みたいな版画だな。
 いや、こっちか?
 ん? こっちかな?
 ……って、この頃の絵の女、みんな同じ顔をしてて、どれが代表作か分からん。
 ひょっとして、あだち充の元ネタ!?
 こういう絵を観る時は、自分の部屋に一つ飾るならどうするか、みたいな見方をすると面白味が出るというが、少なくともこの人物画は置きたくないな。風景画ならまあ。
 まあ、そもそも自分の部屋に、絵なんか飾ってはいないのだが。
 敢えて言うならば、豹の絵がある。トナミ運輸の段ボール箱の(それは絵を飾ってるとは言わない)。

 よし、みた。
 さて、昼飯がまだだがどうするか。
 と、二階のレストランを使ってみようと考えているのだが。
 どれ。
 階段を上がり、レストランへ。
 入り口前にメニューが置かれているので確認してみると、
「棟方志功スペシャルランチ」なるものが目についた。
 頼んでみるか。
 店内に入り、席につく。
 カウンターで買うセルフサービス形式かと思ったが、そうではないんだな。
 客数と職員のバランスが取れてなさそう。職員多すぎ。
 注文をした後、落ち着いて店内を眺める。
 壁に絵が一つ二つ飾られて、中庭向きに壁一面がガラスになっている。木々に雪が降る中、カラスが一羽、二羽。
 まるで窓ではなくて一つの絵画のよう……と言って欲しい感じの設計だ。
「お待たせしました」
 おお、来た。
 ワンプレートに、牛肉の煮込み、山菜ご飯、サラダ、キノコの味噌汁。コーヒーは後から。
 まずサラダを。
 ドレッシングの多めにかかったサラダ。レタスとトマト少しと……まあサラダ。
 味噌汁はキノコの入った、カップ入り。
 ご飯は……薄味? 芯はないがかなり固めで、ぽろぽろしている。
 牛肉は小指ほどの大きさのものが3つ、4つ。脂身って訳でもないのに、パサパサした感じもなく、柔らかく仕上がっている。自分でもこういう風に作りたいと思うが難しいな。
 さて、ごちそうさま。
 かなりゆっくり食べたが全然物足りないな。
 なるほど、これがかの有名な「主婦とかが昼にちょっと奮発して食べるランチ」の類か。

 常設展も少し気にはなったが、またの機会にして帰った。


<出費>
交通費:500円 (琴似―250―西18丁目 往復 札幌市営地下鉄 交通費相当)
食費 :1,200円(棟方志功展スペシャルランチ)
入場料:1,300円(棟方志功展 北海道近代美術館)
計  :3,000円


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