思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2018/4/29『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第108回 ガラスの昆虫展:北一ヴェネツィア美術館
 行き先を探す時、何となくスルーする場所やイベントというのはある。
 108回もやっていて、やっぱりそういうものはある。だが、109回目には、企画の圧力で行く羽目になることもある。
 他力の導き、みたいなもんか。
 根本の所は自分で決めてるだけだから、時間差自力かも知れない。

 北一ヴェネツィア美術館である。

 小樽で土産物のガラスを売りさばいている北一ガラスの美術館……という響きがどうも「うーーん」という感じ。
 お分かりになるだろうか。
 これは例えるならば「東京ガスのショールーム」とか、「トヨタのショールーム」とか、「東京着物の季節の反物展示即売会」みたいな、美術館とは言うものの、ただのショールームに毛が生えたようなもので、展示品には値札が付いてる、とそういう印象しかない。
 それにわざわざ、小樽駅から離れたところにわざわざ歩いて行ったものか、という事で、二の足を踏んでいた。

 そして。
 雨の翌日、何となくハンバーガーな気分だったので、えいやっと出発した(伏線)。

 JRに乗ったが、妙に混んでいる。
 平日なんだがなぁ。
 しかも、手稲でもそんなに乗客が減らない。
 なんだろ、これ。
 理由は分からないまま、南小樽で降りた。人が辿り着ける事物の原因など、全体の一パーセントにも満たないのだ(伏線回収の放棄)。

 んー、駅の周辺に既視感のようなものがない。
 南小樽で降りるのはひょっとして初めてか?
 どうだろう、一度ぐらいはあったろうか?
 小樽築港は幾度か降りたけど。
 さてさて。
 方向は……大体こっち。
 やや小樽駅寄りに歩いて……あ、下り坂の先に、何だか明治だか大正だかという感じの、豪奢な洋風建築が見える。
 近寄ると。
 お。
 なんか凄い人通りにいきなりなった。
 土産物屋と、洋風建築と……これはオルゴール堂?
 観光客で賑やかだな。
 中国語っぽい会話もやたら多い。
 オルゴール堂、聞いた事はあったがこの辺にあるものだったか。
 小樽は南小樽の方が賑わっているとは訊いた事があったが、なるほど、これは分かりやすく観光客相手で成り立っている土産物街って感じだ。

 まずはオルゴール堂か。
 なんか蒸気笛のオルゴールらしきものが建物の前で鳴っているが、別に美しい音色とかではない。
 さて、オルゴール堂の中は。
 うわ、広いし天井も高い。
 単なる土産物屋には違いないのだが、広々感が凄い。電飾と合わせて星空気分……は言い過ぎだが、かなり良い風景。教会か何かだったのだろうか。
 並んだテーブルにはオルゴールがずらりと並ぶ。
 箱のオルゴールだけでなく、土台にオルゴールをくっつける人形みたいなものも多く、オルゴール屋というより置物屋っぽくはある。
 ふうん、こんなものとは知らなかった。

 外に出て土産物屋通りを歩く。
 北一ガラスの店舗が多いな。
 伊勢の赤福みたいなもんかも知れない。
 ガラス食べたら血まみれだろうけど。
 お?
 こっちは、スヌーピー茶屋だって。
 ピーナッツのグッズ屋兼食べ物屋。スタンドでまんじゅうみたいなものも売っている。
 こちとらピーナッツにかけては割と好きな方だ。どれぐらい好きかというと、こっちに引っ越して来る時、本は厳選して段ボール一箱だか二箱だかに絞り込んだのだが、その狭き門にピーナッツの一巻が含まれたぐらいだ。っていうと、本当にファンみたいだが、別に全巻揃えていたりとかはしないんだからねッ! 買い始めた当時はお金のない子供だった上に、絶版のツル・コミック版は古本屋でたまに見つかるぐらいだったからなんだけどねッ!
 ちなみに、引っ越しタイミングで持って来た他の本は、姫ちゃんのリボンとかゲッターロボとかデビルマンとかあずまんが大王とか、ラブクラフト全集のうちの二冊(それしか持ってない)とか。
 茶屋とはいうが、ほとんどは土産物、というか、ピーナッツグッズの数々が並ぶ。
 ぬいぐるみに、スヌーピーの兄弟もいるな。スヌーピーの兄弟と言えば、ニートでNTRで植物フェチでおなじみのスパイク兄さんが筆頭だが、グッズではかなり影が薄い。他のグッズもだが、意外とベルとの組み合わせが多いようだ。男女で組ませたかったからか?
 シュルツのキャラは、頬の肉の描写がなくすっきりしていて表情も無表情がデフォルトで、表情がやかましいイメージの強いディズニーの対極にある。そのうるさくない感じが省略の美を感じさせて好ましい。実際の作中では結構賑やかに動き回るとか、表情も色々変わるとか、ルーシーが暴力的だとか、パティがかわいいだとか、色々あるのは確かだが、その上での話である。
 ふうむ、色々グッズがある。手ぬぐいやらのれんやらもある。財布とか名刺入れもあるなー。革製品系で、とことんシックで、よーくみるとワンポイント、ピーナッツを表すものが載っているとかだったら買うところだった。こういうファングッズ系は、主張する系とこっそり持つ系があって、社会人になった後はやっぱりこっそり系が欲しいんだけどもねぇ。マグカップみたいなのは主張しててもそれほど気にならんけどさ。
 グッズはないとして、食べ物何か買うか? んー、それほど欲しくならないな。何しろまずは北一にしよう。

 もう少し進む。
 狭い道の両脇に土産物屋や食べ物屋が並ぶ。
 温泉街の土産物屋街みたいに、木刀やプラスチックの刀が売られている系の安っぽさはあまりない。
 ガラス工芸屋、とか、昆布屋、とか、きちんと名産を扱っているところが多い。
 「お父さん預かり所」とか書いてある店もあるな。最近の流行か何かだろうか。妻子のショッピングについて行けないお父さんの暇つぶしに良さそうな店って事だろうけど、お茶ぐらいは出してくれるのかしらん。
 程なく。
 北一ヴェネツィア美術館に到着した。
 この並びに普通にあるんだな。
 柱を前に出した、ヨーロッパ風。バロック? それほど豪華ではない?

 入ってみると。
 真ん中に水が張られてゴンドラがあって、周囲はこれはガラス製品が色々売られている。
 美術館は二階から上か。
 今はガラスの昆虫展をやっているとか。
 よし、入ろう。
 入場料700円。
 企業の宣伝用施設にしてはしっかり金を取るなぁ。
 2階へ上がると、ここにもまたゴンドラだ。
 ダブルゴンドラだな。肘打ち最強(ゴンドラ違う)。貴族コスプレで写真を撮れるスペースもある。
 2、3階が展示室。
 真ん中が大きい吹き抜けフロアで、小さい部屋に囲まれている構造になっている。
 貴族趣味の調度品や食器、鏡なんかが展示されている。
 特に鏡は熱心に蒐集した様子。
 かつての鏡は、姿見だけではなく、調度品として使われていた云々。
 ふむ意外と見慣れていない感じがするな。
 しかし、人だらけだった通りと比べて、ここは全然人がいないな。有料区画の強みか。
 なんか良い感じの展示だな。
 単純に豪華感が伝わり易いのだろうか。
 ああ、分かりやすい言い方をすると、「世界有数の犯罪率の低い国で、下らん言いがかり付けてんじゃない。お前なんか下へ仮面でも付けろ」で有名な、ラムじゃない方のアグネスの家の中と大体同じ感じ。

 それから、ガラスの昆虫展とやらを覗いてみようじゃないか。
 ガラスで虫を作るったって、要は虫型のブローチとかそういう――のじゃないね。
 凄いね。
 なんか虫だよ。リアルだよ。
 まるで昆虫標本だよ。
 背中はガラスっぽさがあったりするけど、脚と触覚がつっと引き延ばしたガラスで、もの凄くリアル。
 うわ、カミキリムシだし、蜂だし、クワガタだし。蝶は少し羽が分厚すぎるけど、かなりの再現度だ。脚なんか細すぎてすぐに折れそうだけど、グラスファイバーの要領なのか、引き延ばしたガラスは弾力を持つのだそうな。
 それでこちらの展示は……うおう! 蜂の巣と、そこかしこにいる蜂たち! これはすごい、本当に蜂がたかっている感半端ない。
 いや、これは凄い、もの凄い。
 ふぅ。思いがけず堪能したな。
 後は5階にも展示があるというので、エレベーターで上がる。
 ああ、飾られてる。
 モザイクアートでゴッホ作品か。これはまあ、こういうのもあるね、というぐらいだな。ペンキじゃなくてタイルで銭湯の壁絵を作ったみたいな感じ。
 よし見終えた。
 こっち側は喫茶店スペースか。
「いらっしゃいませー、おいしいコーヒーはいかがですか」
 客寄せで割としっかり声をかけるおねいさんが一人。
 やや遅いが昼食時、何か食べようとは思っていたので、物は試し、入ってみる事にした。隙間から。入り口がよく分からなかった。

 割とゴージャスな感じだが、人間工学とか考えが足りないような座りにくい椅子だ。
 イタリア絡みのメニューが多いが、カフェなので飲み物が主。
 食事っぽいものは……ピザかな。
 飲み物に、イタリアビールというのがあった。イタリアはワインのイメージはあるが、ビールもあるのか。頼んでみよう。
 待つ事暫し。
 イタリアビール来た。
 小瓶だな。
 外食時の撮影はあんまりやりにくいご時世なので、記憶頼りだが、銘柄はモレッティだった気がする。
 さて、飲むべし。
 注ぎ置きはせずに、一口分泡半分ぐらいになるように注いでからすぐに飲み干すというのが、昔新聞の何だかで載っていた飲み方で、理にかなっているので瓶ビールの時はいつもやっている。
 これをグラスになみなみと注がれたのを持て余しながらダラダラ継ぎ足されながら、なんてのが飲み会なんかに発生する光景であるが、こういう注ぎ足し型の酌をする者は、ビールの神様であるガンブリヌス辺りに七代祟られるべきだと思う。それはもう、日本酒を鼻から飲むとか、ウイスキーを肌に塗ってスースーするのを楽しむとか、ワインを恋人じゃない人にふりかけるとか、そういうのと大体同じレベルの事だ(なんだそれ)。
 ふむ。
 細かい味は分からないが、あっさり目なような?
 お、ピザも来た。
 当然にパリパリ系の生地。具はなんだろこれ、トマトの角切りと、緑の角切りはピーマンほど色が濃くないし、パプリカのようなトマトのような? うん、劇的ではないがうまい。近くに地元では有名なパン屋の「どんぐり」があるので、ピザを食べる機会はそんなに少なくはないのだが、パリパリ系はないので特別感がある。
 うむ、ごちそうさま。
 さて会計。
「イタリアビールどうでした? ちょっと薄くありませんでした?」
「ええ、そもそも、イタリアにビールがあるんだな、と知ったとこですが」
 フレンドリーだな、おねいさん。

 その後、ダラダラと小樽駅まで歩いて、次の列車まで良い感じに時間が空いていたので、バーガーキングでアボカドサルサワッパーのセットを食べて帰った(伏線回収)。
 何日か前にマクドナルドのグランクラブハウスで物足りない思いをしたので、概ね満足。ポテトは多かった。しかし、グランクラブハウスって、「サンド」とか「バーガー」とか付けてくれないと、頼みづらいんだけど。マクドナルドのセンスなんだろうか。


<出費>
交通費:1,080円 (琴似―540―南小樽 小樽―540―琴似 JR北海道)
入場料: 700円(北一ヴェネツィア美術館)
食費 :1,280円(イタリアビール:700、ピザ:680、セット割引:100 カフェ・ヴェネツィアーノ)
食費 : 990円(アボカドサルサワッパーセット:990 バーガーキング)
計  :4,050円


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