思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



 月記帳 バックナンバー

2006  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2007  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2008  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2009  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2010  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2011  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2012  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2013  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2014  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2015  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2016  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2017  1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月
2018  1月  2月  3月  4月  5月
2018/6/26『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第110回 北のウォー(略)長い〜ヒゲの辰野金吾が作った日銀支店が(略):日本銀行旧小樽支店金融資料館

 北には壁があったという。
 旧ロシア、そしてソビエトとなった脅威を防ぐ為の遠大にして長大なる城壁であった事は想像に難くない。
 だが今や、その壁は見る影もない。戦後の復興期、占領という強制ではあったものの、世界を受容した日本が、壁よりもむしろ手を広げ受け入れ模倣し我が物とし、彼を我にする事で発展した、象徴的事象であろう。
 ――違う?
 ウォール街?
 やっぱり防壁語源じゃん。

 相変わらずの小樽である。
 そもそも家も職場も札幌という環境だと、札幌にいても休日感が薄くなるのだ。
 その点、地理的な特性も、建造物の様子も、道行く人も札幌と異なりながら、列車で40分程度の距離にある小樽は自然、足が向きやすくなる。
 或いは、単に港町に非日常感を覚える質なのかも知れない。幼少期「休日のお出かけ」となると、横浜駅周辺、山下公園というのはよくある事だったし。

 とはいえ、小樽の広さも限られていて、後どれだけ観ていない場所が残っているのか。イベント狙いしかないのでは、と、思いつつ検索していたところ、「金融資料館」の名が目に留まった。
 ほう、日銀のお金の資料館。
 北のウォール街と呼ばれていた小樽の中心となった旧日銀支店を使った資料館、一億円の重さも体験できると、と。

 ……ん。

 ……ん?

 ……既視感が。

 東京でも行ってたな。
 ええと、なんだっけ?
「東京 お金 博物館」
 とかのワードで調べるが、記憶に合致しないものが出て来る。
 「貨幣博物館」は、場所が違う。「お札と切手の博物館」は、何か記憶にある響きだが、外観とか所在地が違ったような。
 でもまあ、名前は当たりが付けられたから、ファイル検索でとりあえずローカルの過去の記事を確認すると――。
 あ、やっぱり2008年7月分で「お札と切手の博物館」に行っている。
 でも場所は市ヶ谷で、ネット検索で見つけた方だと王子駅の近くだ。
 ひょっとして、市ヶ谷だと思ったけれど、狐に化かされていただけだった?

 眉に唾を付ける代わりに、ウィキペディアで調べてみる。
 2010年に事業仕分けで休館になった後、2011年に移転してる。
 なるほど、そういう事か。
 で、貨幣博物館はまた別のものとしてある訳か。

 小さな疑問は解消したので行く事にしよう。
 さて、どういうルートを取るか。
 せっかく休みなので、朝からやっているスーパー銭湯でさっと湯に浸かってから、コメダ辺りでモーニングなど食べた後に、小樽へ繰り出す、というのが良いかも知れない。
 北のたまゆらの桑園店が7時ぐらいからやっているみたいだ。

 出発。
 北のたまゆらはJR桑園駅に大変近いが、JRで行くにはあまり具合が良くないので、愛車ぽす太で行く事にする。何となれば、桑園駅は快速が通過してしまうので、本数が少なく、場合によっては自転車で行った方が早くなるからだ。
 さて方向はこっち側。
 桑園の中央市場を抜ける通りは、店が立ち並びカニやらウニやらが売られている。平日だが、結構観光客らしき人たちが来ているな。
 程なく北のたまゆら到着。
 ロッカーに靴を置いて、チケットを買う――あれ、中止表示になってる。
「今日は休みだよ」
 あ、そうなの。
 確かに作業をしている人はいるけど、部分的な営繕かと思った。休業の表示が出してなかったしなぁ。

 出鼻をくじかれた格好だな。
 同じスーパー銭湯系で、「花ゆづき」の方は10時開始の筈だったよなぁ。
 ん、「営業中」の幟は立っているが……でもやっぱりまだの時間だよな。
 なんだ、この業態は「準備中」とかの表示を出したら駄目な法律でもあるのか。
 風呂は空振り、ここまで来てしまうと、折り返してコメダに行くのも何だか億劫だ。
 このままJR琴似駅まで行ってしまおう。
 小樽に行ってバーガーキングで朝食というのは、移動時間を考えると昼に寄り過ぎる。
 じゃあ、琴似駅高架下のパン屋「VIE DE FRANCE」に行こう。
 最近はここに行く事が多い。
 家で食事する事は通常健康的であるのだが、勤務が遅くなったり何たりすると、揚げ物メインの総菜+菓子類というような事になるので、夕食は外食で完結させ、甘い物類は家に持ち込まず店で食べる、みたいな事を試している。で、甘い物を食べたい時に行くのが「VIE DE FRANCE」やら「どんぐり」やら「ミスタードーナッツ」やらである。
 さて、今日は朝食なので――。
 生ハムクリームチーズ、ひょっこりたまご……あれ、ごま団子(意訳)がない。
 この時間は置いてないのか。
 あれが好きでいつも食べるのだけれど。
 どういう嗜好の変遷か分からないが、ごま団子がかなり好きになっている。
 サクサク感が良いのかも知れないし、ごまの風味が良いのかも知れないし、本質的にあんドーナッツである辺りが良いのかも知れない。
 さて、だとしたら甘味系は、リンゴとチーズのふんわりソフト、と。
 飲み物は、いつもは紅茶やらコーヒーやらだが、敢えてホットミルク。

 それなりに空いたイートインスペースで食べる。
 ふむ、生ハムクリームチーズ、まあ要するに小さいバケットみたいなパンのサンドイッチだが、妙にうまい。たまごの方は、いわゆる卵サンド寄りの感じ。マスタード感があるのかな。うちの母がこんなタイプのサンドイッチを作る。たまには自分で作っても良いんだが。作り方は分かる。あー、でも、その場合ピクルスが残りそうだな。瓶詰め一つを消費するのは結構大変そうだ。
 リンゴとチーズのふんわりソフトも悪くない。

 朝食済ませたところで、一路小樽へ。
 ――あ、快速は後30分ぐらい待つのか。
 各停に乗るのも億劫だし、文教堂で少し時間潰して待とう。
 今日はペースを乱される日だ。
 こういう想定通りに行かない日というのは、さっさとそういう日だと考えて割り切ってしまった方が精神衛生上よろしい。
 心理学的に考察するならば、「かみあわない日」というのは、最初の予定に縛られてしまうが故に、その後がスムーズに進んでいても、最初の予定通りである場合と比較してしまう。
 例えば、10時に出ようとしたがトラブルで10時30分に出た、その後、11時の電車を直前で逃して、11時30分のものに乗った、という場合。
 元々の想定であるならば、10時45分の電車に乗る予定であった、という事が頭に残っている場合、45分遅れたという事になるが、10時30分に出たという事実を起点にするならば、11時15分より前の電車に乗る事は想定していない訳で、実際に余計に取られた時間は15分に過ぎない。
 そこの辺りの認知の偏りを強制的に直すのが「そういう日」として諦める事であると思う。

 列車に揺られ鬼平犯科帳の2巻など読む。
 BOOKOFFで100円になっていたのを買ったが、この版は活字が小さくて読みにくい。
 メガネをかければ良いのだろうが、何となく億劫だ。
 池波正太郎は剣客商売を少し読んでみたら面白かったので少しづつ読み広げようと考えているところ。
 剣客商売は大治郎と三冬が一区切りついたところで一区切り。
 仕掛人はやや乗りにくい部分があって、とりあえず一巻読んだとこで保留。金で殺しを請け負う者をヒーローにするのはやはり難しい。「殺し屋だけど、悪い奴を殺す依頼しか受けません。たまに依頼主に騙されて良いヤツも殺すけど、そういう依頼主にはちゃんと復讐するからメンゴメンゴ!」という感じ。悪人が自分たちの理屈だけで免罪された気になっている感じ。ただ、これは巻を進める事でこなれる可能性はあるので、あくまで1巻を軽く読んだ程度の印象であって、議論する気は毛頭ない。
 鬼平はその辺り普通に特殊警察ものなので、余計な葛藤がなくてすっきりしている。ただ一点、昔の関係をネタに強請に来ようとしている女を、さっさと盗賊に殺させて「気の善い女だった」とか締めさせる辺りは雑。まあ話のメインではなく、添え物的要素だからあまり注力しても仕方がないと言えばそうなのだろうが、平蔵が自分で蒔いた種でもあるし自力で解決すべきところだろうと思う。

 小樽到着ー。
 勝手知ったる小樽駅。
 港町情緒は相も変わらず。
 ええと、駅前から右へ進んで、NTTの角を左折。
 坂を下った辺りに、昔の洋風建築の建物が並ぶ中の一つに、金融資料館発見。向かいに美術館と文学館もあるようだが、これはまたの機会だな。
 日銀の「日」マークの付いた戸を開けて中に入る。
 吹き抜けに白壁。
 警備員の人が、来館者簿みたいなものへの記入を求めて来る。
 入場無料なのが良いところだな。
 展示の説明の、ああ、建物の事もあるな。
 壁の構造がこっちから見られる?
 ああ、レンガに漆喰が塗られているのか。
 そういう煉瓦造りってのもあるんだなぁ。というより、その辺の知識ってありそうでないよなぁ。
 見た目でよく材質が分からないものって意外と多くて、塗装技術に騙される。
 小さい頃は、ピアノの材質が木だとは想像もしなかったし。
 こっちからパネル展示か。
 貨幣と日銀の歴史だな。
 藩札から紙幣が出て、日本銀行券への統一、銀兌換券から、金本位制への移行、金の購入のため小樽でも砂金取引があった。各銀行は日銀とのやり取りの必要性があるが、交通網が整備されないうちは時間をかけて日銀支店に貨幣の受け渡しに行っていた、云々。
 貨幣というのは、破損しない限りある程度需給で循環は完結しているのかと思ったが、日銀を通す事が意外と多いのだなぁ。
 金を抱えて何日がかり日銀との間を行き来するというのは、創作物でもなかなか目にしない描写だと思う。いわゆるルパン三世とかで出て来る現金輸送車はずっと後の時代のものだし。
 紙幣の展示もある。
 自分が認識あるのは、板垣100円以降だな。
 500円札は2ヴァージョンあったのか。
 それから今の札。
 1000円札に野口英世が載っている事をなんとはなしに忘れる。ぼんやりしている時に聞かれたら色々間違える気がするな。
 小さい頃は記憶力もさる事ながら、紙幣が切り替わる事を体験していないから、間違える要素は少ないのだが。

 それから、体験コーナー的な展示。
 切り離し前のお札。何故サンプルが2000円札なのか。
 ホログラフや隠し文字、すかしなんかが確認出来る展示もある。実際に自分でサンプルのお札を動かして拡大映像が見られるのは分かりやすくていいな。
 こっちは紙幣を裁断した後のクズ。
 ふむふむ。シュレッダーダストより小さいが、もっと細かいのもあるかも知れないから比較対象にならない。
 後は大金庫の中も入れるのだな。
 こっちは臨時の通用口で、こっちがメインの扉。通用口は、通常は通気口がわりにされていたとか。そんな裏口みたいなのあったのか。
 奥の方に紙幣が積まれていて、こっちに顔出しパネルと、一億円を持ってみようコーナー。
 うん、前に持った時と同じ感じだ。

 一通り見終わり、博物館を後にした。

 さて昼飯はどうしたものやら。
 バーガーキング以外の選択肢はないものか――おや。
 通りの向こうに露天が並んでいる。
 さっき別の道に提灯がさがっていたし、そうか、今日はお祭りなのか。
 どこのお祭りだろう。
 かなり店が出てるな。
 こう進んで坂の先に鳥居が。ああ、小樽駅の割と近くの方に戻った。こんなところにあったのか。
 露天でものを買う気にはならないので、やっぱり戻って来たところで、バーガーキングに行こう。
 セットで何か……あ、キングボックスがあるな、これにしよう。
「ハンバーガーは何にしますか?」
「ワッパーで」
 しまった、バーガーキングだったので、ついワッパーにしてしまった。
 箱に一揃いプラス飲み物。
 ワッパー、ポテト、ナゲット、それからアップルパイ?
 まずはワッパー。
 でかいハンバーガー。
 モスバーガーを最近幾度か食べていたけれど、バーガーキングの方が野菜感が少なくジャンク感が強い。マクドナルドと比べるとしっかり感がある。
 ナゲットは、うん。チキンナゲットだ。ポテトも特別特徴があるものではない。
 一通り食べ終えてからアップルパイ。
 リンゴ感強い。
 パイ部分は粉っぽいな。
 さて喰った。
 よし。
 腹一杯。
 野菜が不足している感凄い。

 ぼちぼち列車の出発時刻だ、帰ろう。

<出費>
交通費:1,080円(琴似―540―小樽 往復 JR函館線)
食費 :960円(生ハム&クリームチーズ320、ひょっこりたまご150、リンゴとチーズのふんわりソフト200、ホットミルク290:VIE DE FRANCE)
食費 :990円(キングボックス ワッパー、コーラ:バーガーキング)
計  :3,030円


思い立ったが随筆 トップへ トップへ