思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2018/7/31『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第111回 管だらけが嫌ならホースだらけの終末:ノーザンホースパーク

 前回のタイトルの元ネタを自分でも忘れかけるという事件。
 割とある。
 キーワードは細川、第二キーワードはたかし。もりひろではない。

 新千歳空港は本州と北海道を繋ぐ空の玄関口と言って良い。
 玄関口は、ただお迎えするだけではなく、お送りする場所でもある。
 実際のところ、空港で過ごす時間は、到着した時よりも出発する前の方が長いのではなかろうか。
 あのチェックインのシステム並びに。

 出発の遅れの為に!

 新千歳空港で飛行機の遅れに遭遇した時、どうすれば良いだろうか。
 空港温泉で風呂に入る?
 映画を観る?
 キティ(鬼帝)さんと戯れる?
 ドラえもんグッズを買いあさる?
 初音ミク限定グッズを買いあさる?
 ソフトクリームを食べる?
 それはそう、そういう時に間が保つように空港は出来ている、出来ているが!
 せっかくだから外へ出たい、そう思った時、周囲の何もなさに愕然とするのが空港というもの。歩いて出るにも尺がでかいから敷地の外に出るのも厄介。
 だがしかし、あるのだ。
 新千歳空港から自動車20分の距離にそれは。

 ノーザンホースパークが!

 幾度か行き先を調べている時に目には付いたがスルーしていた行き場所の一つ。
 何となく体験型アトラクションが多そうな感じが面倒っぽいので。
 展示物系が充実しているのがのんびりできて良いんだよな。
 で、今回、何となく調べるうちに、新千歳空港からシャトルバスが出ている事が分かった。
 随分妙なところから出るが、たまには空港を覗きたい気分もあるので丁度良い。
 行く事にしよう。

 当日。
 勝手知ったる新千歳空港、JR函館線快速エアポート一本で到着ー。
 土日祝日に当たらないので、散歩切符系は使えない。バスの方が多分何十円か安いけど、快適さに雲泥の差があるのでJR。
 直角に曲がるからな、バスは。
 さて、まずはシャトルバスの乗り場を見つけるか。
 こっちのこっちのこっちの……バス乗り場をずぅっと抜けて一番隅っこだ。新千歳空港の国内線ターミナルは浅いU字になっているが、その右側の端っこというのが正しい。
 なるほど、私的なバスとかの待ち合わせスペースになっている訳か。
 特に表示も何もない、バス乗り場、船で言うと桟橋みたいなのが十台分ぐらい並んでいる。
 ゴルフバッグを持った集団とかいるが、これはこの辺のカントリークラブに行くのかな。前にクラーク先生別れの地を見に行った時、途中にゴルフ場がいくつかあったが、ああいう場所だろうか。

 少しうろうろしながら待つ事暫し。

 無料シャトルバスがやって来た。
 ノーザンホースパークのデザインになっているので分かりやすい。マイクロバスではなく、でかい観光バス系。
 乗車口の傍らにまわった運転手さんからパンフをもらい乗車する。
 平日の昼間、自分以外には二団体程度しかいない(注:取材時は7月上旬)。
 車内アナウンスの後、バスは走り始めた。

 辺境と言って良い空港周辺、人家がまるでない。
 いわゆる北海道的大平原の風景が広がる。
 そして程なく牧場地帯に来た。
 だだっ広い放牧地と、遠くに見える牧舎、入り口の「関係者以外立ち入り禁止」の文字。本物感あるな。
 角を一つ曲がってもう少しして、ゲートの前に辿り着いた。
 ゲートの職員の人が乗り込んで来て、入場料800円を徴収してまわる。
 なるほど、そういうシステムか。

 パーク内に入り到着。

 自転車みたいなのに乗っている人がちらほら見える。
 向こうの囲いには馬がいるな。あっちにも。ふむ、ホースパーク。
 そっちの建物は、ポニーショーの最中か。観覧無料なので、観よう。
 ショーはもう中盤ぐらいだろうか。
 飼育員のおねえさんと、ポニーが一頭、芸の最中だった。
 算数をやったり、輪くぐりをやったり、お客さんを呼んでキスをさせたり。
 犬やら何やらと同じぐらいの知能はありそうだから、出来てもそんなに不思議感や驚きはないな。イルカや牧羊犬みたいなダイナミックさはなく、魚類のようなグロテスクさもなく、割と地味な気がする。
 ショーが終わり、さて、どうするか。
 そろそろ昼時、でも少し早い。
 混雑している時間に行くのも嫌なので、さっさと食事にしようか。
 食べ物を扱っているのは、ソフトクリームのスタンドと……バーベキューバイキング?
 なんだそれ。
 焼く物が取り放題って感じか(後から調べると要するに焼肉食べ放題系だった)。
 食べ放題ってのは、三文安というか、「おいしい食事」の限られたコストを色々組み替えて「食べきれない食事」にしている感じがして、あまり値段相応のものが食べられる予感がないんだよな。その本質は宴会のように、人と騒ぐ為の舞台装置っぽくもある。最初にバイキングという呼称を付けた帝国ホテルの人も、バイキングのイメージは恐らく集団でテーブル一杯の料理を食らい尽くすイメージを持っていそうだ。少なくとも、一人の大食らいのバイキングを想定した訳でもなかろう。

 他には……あっちの建物もレストランか。
 入って左手にはカフェがあって、ケーキやパンが売られている。奥がガーデンレストランと称して、庭園部分に面した壁がガラス張りになっている。オープンにしない辺り、地域性かも知れない。
 ランチメニューが……ふむ、ローストビーフ的なヤツか。2000円ぐらい。ちょっと小洒落た感じのレストランなのだな。
 よし、入ってみるか。
 店員さんに案内されて、窓に近い席に着く。
 ファミレスよりグレードが一つ上の感じ、ホテルの安くない方のレストランには劣る。一番高いレストランは行った事がない(多分)。馬に趣味を持つ層は、それなりに裕福な人もいるだろうから、こんなんだろうか。
 メニューは、と。
 ふうむ。
 馬は食用で育てている訳ではないけれど、牧場っぽい感じだから、畜産物がおいしいのだろうか。手作りソーセージとかあるようだし……と、思ったら蕎麦とかあるな。方向性がよく分からん。
 北海道の蕎麦は新得蕎麦を見かけるが、何がどう違うのかよく分からない。蕎麦屋は敷居が高いので入る気にならない。
 でもまあやっぱり畜産物かなー。
 オリジナルソーセージの盛り合わせがある。
 ビールはノンアルコールで良いかな。
 でもそれだけだと食事って感じじゃないから何か穀類を。
 ……あんまりないな。
 「ごはんと味噌汁か、パンとスープがセットで付きます」みたいなのはないので、そう、ガーリックブレッドを頼んでみよう。
 頼んだ後、周囲を眺めつつ、『鬼平犯科帳』の二巻を読む。池波正太郎というと、さいとうたかをが漫画化しているが、ちょっと感動的なぐらいキャラデザインが小説のイメージに合っている。剣客商売の弥七を見た時は本当にそう思った。鬼平のキャラの場合、兎忠なんかは絵にしたらこうするしかないというウザさ。ああ、葵小僧の鼻はちょっと分かりにくかった。

 そうこうするうちに、料理が来た。
 ふむ、熱い鉄皿にソーセージが3本。普通のとチーズ入りとトウモロコシ入り。粒マスタードとポテト付き。
 ガーリックブレッドは、油の色をしているな。
 それから、ノンアルコールビール。
 まずは一杯。

 ソーセージをナイフで切る。
 囓って肉汁が云々というのがよさそうだが、かなり太いソーセージなので、これでそれをやらかしたらえらいやけどをしそうだし、お行儀も問題があるのでやらない。
 と、切っても肉汁がこぼれるというのはないんだな。
 ふむ、ふむ、ソーセージだ、というか、ナイフで切って食べると、挽肉の塊みたいだな。
 皮が固めなのは手作りっぽい。
 トウモロコシ入りというのはどんな物かと思ったが、毒にも薬にもなってない感じだな。あまり味に差がない。
 ガーリックブレッドと一緒に食べる。
 細いバケットみたいなパンを縦に二つにしたようなもので、ガーリックで香り付けしたオリーブオイルか何かを染ませているのかな。固めのパンだが横にいくつも切れ目が入っているので、ちぎって食べるのには向く。
 想像を一歩も出ないものだがそれなりにおいしい。
 ソーセージが油まみれではない分、ガーリックブレッドで正解だな。
 よし食べた。
 会計が2,500円。良い値段する。
 ソーセージが1,400円なのが響いている感じ。
 ちなみに北海道の貨幣価値では、2,500円はなごやか亭でそこそこ気にせず「お寿司も食べ放題」やれる金額だ。

 さて、食べ終わった後は、馬を見よう。
 囲いが一つ二つ、遠くには厩舎がある。
 囲いに近寄る。フェンスに水箱がくっつけてあるので、馬がかなり近くまで顔を出してくれる。
 近さが割と面白い。
 好きな人は可愛いとかキレイとかあるのだろうが、やっぱり馬は馬な感じ。
 至近距離の馬というのは、それほどなじみがない訳ではないからなぁ。
 札幌なんかは以前観光馬車がよく闊歩していたし。
 今度は厩舎を覗く。
 うん、馬だ。
 そっちでは、子供対象かな、ポニーの乗馬体験をしている。
 乗馬と言っても、係員の人が手綱を引っ張っているのに座って小さいトラックを一周歩くもの。
 こういうの幼少時どっかでやった事あったな。あれは何処だったろうか。

 さて馬は見た。
 帰るか。
 シャトルバスが一時間に一本しかないので、動ける時に動かないと。
 程なくバスが来たので乗って新千歳空港まで行ってから帰った。
 結局滞在時間1時間ぐらいだった。
 バスのみで移動したからやや急ぎ足だったけれど、タクシーを使うのなら、本当に空港の暇つぶしに行けるレベルではなかろうか。Googleマップで確認したら、13キロしかないし。

<出費>
交通費:2,420円(琴似―1,210―新千歳空港 往復 JR函館線 シャトルバス無料)
入場料: 800円(ノーザンホースパーク)
食費 :2,500円(ソーセージ盛り1,500、ガーリックブレッド400、ノンアルコールビール600)
計  :5,720円


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