思い立ったが随筆


 日々思う由無事を書き連ねています。



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2020/3/31『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第131回 だしだしー:札幌市中央区の街角 だし道楽

 ジョジョの奇妙な冒険に、割と印象深い台詞がある。
 ディオがダニーを間接的に焼き殺した時の、使用人の言葉で「なんてこった、私が火を点けてしまった」(うろおぼえ)、というくだり。
 焼却炉の中で苦しんでいる何かを気遣うよりも先に、まずは自分の責任が問われる可能性に怯える、いかにも一般人的なリアリティのある反応だ。
 考えてみると、荒木飛呂彦作品には、そういう小技の利いた脇役がちらほらといるような気がする。同じジョジョ1部で言うならば、「そこにシビれ(略)」の子供、色々やらかしたいと思いながらも、力がなかったり何たりで出来ないが故に、悪役に追従する脇役の弱さが現れている。また、バオーで踏切で女を見捨てて逃げた男も、酷いヤツではあるものの、いざとなった時にその他大勢の連中がやりそうな行動だ。
 これが故に、彼の作品世界における、一般水準が決まり、そこを逸脱するヒーローの行動が輝いて来る。
 スト様が女を人質に取ったシーンなんかは、分かりやすい描写だ。どこのヒーロー漫画の主人公を持って来たって、人質を取られたら無関係だろうが何だろうが助ける。誰だってそーする。だが、それが当たり前の世界では、描写する意味がない。一般人のレベルが表現されるからこそ、ジョセフの行動がヒロイックに見えて来る。
 そして、悪役の存在も際立たせる事になる。
 一般人の弱さ故に善ではない部分、誰でも心の弱さがあり、悪役にも三分の理が。
 ではない。
 極稀にいる、善のタガがない悪のエリート、そういう、理解可能な弱さとは遙かに違う、異質な物として設定する。
 その為の「当たり前の悪」と、「許されない邪悪」の線引きにもなっているのではなかろうか。
 悪役もまた人間、という風潮をぐっとねじ伏せて、きちんと倒して良い悪にして、勝利の後の爽快感を高め、痛快娯楽活劇化させる。この辺りは少年漫画としての矜持とも言える部分である。
 悲惨な過去と悲しみを持つ悪役を描き、その結果、主人公がそいつを殺す理由が何だか分からなくなり、正義の反対は別の正義だ的な言葉遊びに逃げ、あまつさえリメイクの追加章でパーティーに参加させるようなことになって、一体どこに爽快感が出るのか。「じゃあおめーが悪だ」でたたきのめして大団円、これはむしろ圧倒的な覚悟が伴った描写であり、緻密に悪を魅せて行ったが故に成り立つ、大輪の花火のようなもんではなかろうか。
 尚、札幌には、荒木飛呂彦作品をコンセプトにしたバー『パール・ジャム』があり、また行っときたいなぁと思っているけれど、機会が微妙にない。

 コロナウイルス騒動で、あちこちの場所が休業になったり、予防の為に外出を避けたりで、出かけにくい状態だった。
 こういう時の為に取っておいた時計台――も、休業。
 どうするかな。
 行き先に実に何もなさそうな手稲鉱山にでもするか……などと考えていたところ。
 見つけた。
 だし道楽。
 これは一度も買った事がない。
 行った事がない、やった事がない、がコンセプトなので、利用した事がない自販機ネタでも悪くはなかろう。
 今更ではあるが一応解説すると、だし道楽とは、自動販売機販売のだしで、必要性は全然ないのに自動販売機で売っているという辺りが多分ウリの、当たってるんだか滑ってるんだか分からない商品である。端的に言えば、焼きアゴとかが入っためんつゆだと思えば良い。
 700円か。創味のつゆぐらい高いな。
 千円札を入れて……入らないな。ああ、下の方か。上に矢印書いたんで引っ張られた。
 よし買った。
 よくみりんやら何やらにあるペットボトル状の器に、焼きアゴが丸ごと入っているスタイル。冷えているが、要冷蔵ではない。
 さて、どうやって消費するか。
 うすめてうどんの汁、そのままで玉子かけごはん。
 玉子かけご飯なぁ。
 イオンに入り、玉子を見繕う。
 ああ、この紙箱に入った奴、6個入りで400円、高いな。
 まあ買ってみるか。

 家に帰って夕食の支度をする。
 炊きたてのごはんにしとくが。
 んー。
 どこまで行っても、めんつゆみたいなもんだし、高い玉子は余計な味は足さずにまずは食べるべきだよな。
 茶色の殻で、割ってみると黄身が盛り上がるという、まあ例のアレ。
 黄身を破る程度に混ぜてから、ごはんにかけて、醤油をざっとかけまわし、ざくざくと少し混ぜてから食べる。
 うむ、まあ玉子掛けご飯だな。
 じゃあ二個目は、だし道楽で。
 ふむ。
 甘いな。
 玉子かけご飯ではないな。
 その後、麺に使おうかと思ったが、あんまりタイミングがないまま今に至る。
 開封後は早めに食べねばだけど、なんか有効な使い方があるかな。
 ネットでレシピでも調べるかな。
 
<出費>
交通費:520円(琴似―260―大通:札幌市営地下鉄)
だし道楽:700円 平飼い玉子:400円 計:1620円


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