思い立ったが随筆


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2022/4/30『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第156回 なめーる、eメール、フェルメール:フェルメールと17世紀オランダ絵画展 北海道立近代美術館

 新型コロナが折り返してまた増えている中、3度目のワクチンを打った。
 副反応が強く出ると言われていたが、なるほどその通りで、前回38℃前半だったものが、39.2℃だかの熱が出て、頭痛と倦怠感で1日ゴロゴロするしかない状態だった。食事もあまり進まず、前回念のためで買っておいたウィダーじゃなくなったヤツとかを食べきった感じ。

 翌週、ぼちぼち感染リスクも重症化リスクも回避出来てるんじゃないかなぁと思う矢先、フェルメールが北海道立近代美術館に来ている事に気付いた。
 しかも、その日は夜間開館日で19時30分までやっているとの事。
 あ、なら良い感じに行けそうだな。

 勝手知ったる近美、地下鉄で西18丁目駅下車。
 17時前に到着。
 美術館前は、行列が出来ているような事はない。
 フェルメールなのでかなり人が来るかと思ったがそういう感じではないな。
 ロビーに入る。
 行列に備えてチケット売り場前に順路が作られているが、並んでいる人は誰もいなかった。客はぼちぼちいる感じ。
 よし、無料ロッカーに荷物を預けて、チケットを買って中へ。1800円。企画展だと標準的な値段だな。

 中に入る。
 フェルメールと言ったが、「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」だそうな。
 つまり、フェルメールの作品はそんなにない。
 オランダ絵画か。江戸時代初期だとすると、日本にも入って来た文化だろうな。
 ふむふむ、いわゆる油絵で写実な方のヤツだな。サイズが小さいのも、こういう精密寄りの作品の印象だな。
 ドレスのテラテラ感が凄い。写実主義というのか、凄く写実だ。
 これがただ実物を切り出したのではなく、好き勝手良い感じにアレンジが入るのが絵の良いところ。
 闇とのコントラストがレンブラントだっけか。そういう絵もあったが、レンブラントのはないらしい。
 取り立てて知識はないので、つらつら見るがそれほど強い記憶に残ったものはない。トロンプ・ルイユっぽい絵というのがあったが、騙される程ではなかった。

 さて、奥のところで、今回の目玉の、修復されたフェルメールが展示されていた。
 かなり凝ったレイアウトにしてあり、手前のスペースがいかにして修復されたかというパネル展示と動画があり、その次の区画に絵が飾られている。つまり、本来は行列で進みながら特別区画に入って見て出る動き。
 つまりパンダがバズってる時の上野動物園みたいなもんだ。幼少時に見たのは、カンカン、ランランだったな。これだけで年齢がかなり特定される事象。遠くてイマイチよく分からんかった。

 よし、見よう。
 絵のモチーフは手紙を読む女(このモチーフはかなり多いそうな)の背景の壁にキューピッドが現れたもの。
 キューピッドは恋のメタファーなので、この手紙は恋文一択。むしろ直喩とも言えるか。
 手前の部屋で知識が入っているからなかなか楽しい。
 ……してみると、ある種の美術好きは、頭に博物館の説明書きが自己作成される状態な訳か。それなら確かに具体的に面白いのだろう。

 しっかり塗り消していたものをよくもまあこんなにはっきり掘り出せたものだ。
 成分を分析すると、他の部分は劣化してその色になっているところ、塗り直しは劣化した色を作って塗っているので、根本的に別物と分かった。で、劣化に必要な期間を加味すると、フェルメールの死後になるので、フェルメール自身の修正ではない。油絵の場合、下絵に関係無いものがあって作者自身が塗りつぶして使うパターンがあるが、それの可能性をきちんと取り除いているのも良い。
 分析過程が探偵小説のようで、素人にも分かりやすくて楽しい。
 修復で他の部分のコントラストもくっきりしたな。劣化したニスを剥がして塗り直し?
 知識としては知っていたものの、実際に目にすると絵画の修復というのは面白いものだ。

 修復前後の絵を見比べてみると、作者の主張という意味では当然キューピッド有りの絵なのだろうが、塗りつぶされている方が趣深い感じはあるな。日本人の侘び寂びの感覚かな。ミロのヴィーナス現象の類かも知れない。

 その後もう少し展示作があっておしまい。全部絵画だったな。
 ミュージアムショップは、フェルメールの青のイメージでやや青い土産物が多めだった。

<出費>
交通費:520円(琴似―260―西18丁目) 入場料:1,800円 計:2,320円

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