思い立ったが随筆


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2023/10/29『思えば遠くへ来た……のかなぁ』第174回 絶対なかす:茨戸川緑地

 北海道の公共機関は先細りつつあり、大都市の中心部以外では自家用車移動が標準とされている。
 人口の減った地域で、大量輸送が前提の交通機関を維持するのと比べれば、自家用車を走らせる方が環境負荷も小さそうだ。しかし、個人に視点を合わせれば、随分と効率の悪い話である。
 その効率の悪さを個人に押しつけた結果が現在であるが、景気低迷し一億総中流もいつの頃、という時代になって、果たしてどこまで続けられるだろうか。

 そんな都市作りの結果として、計画都市の札幌にも、自家用車以外では辿り着けない場所がぼちぼちある。
 地図からでも行くのが厄介そうに見えるのがここ。
 三日月湖状の茨戸川に切り取られた中州、生振(おやふる)である。
 もう地図を見るのが1番なのだが、長大な三日月湖と、それをショートカットした石狩川に囲まれた地域である。
 かつて、雪解けや豪雨など、事あるごとに氾濫した地帯であった事から、1931年に捷水路が作られ、直線になった本流を石狩川、迂回する部分を茨戸川、真勲別川と名付けたものである。
 工事中は作業員相手の市街も出来ていたが終了後は消失し、その後は水田として利用された。それから減反政策を経て、人の少ない大きな畑地が並ぶ地域となっている。
 一部を道道がかすめるが、茨戸川にかかる橋は少なく、陸の孤島といったイメージの土地だ。
 鉄道も通っていなければ、バス路線もない。自転車で行ってみるという線はあったが、ヘルメットをかぶらないと職質されると思うので、もう乗りたくない。あれって結局そういうののためのルールだよな。
 そんな訳で、気にはなっていた場所だった。

 そんな折、両親と兄が北海道旅行に来る事になった。
 レンタカー移動で行けそうな札幌の見どころ、というような話の流れで、生振を勧めてみた。
 正直、地図を見て面白がるというのはそこそこ特殊性癖の類かと思ったが、よく考えたら家族だったので、特に異論はなかった。

 当日。
 琴似ホテル前で待ち合わせ、出発した。
 ここはこっちに移住する前、部屋探しで泊まった気がする。
 琴似本通りを北上し、そのまままっすぐ麻生まで進み、道なりで創世川通りを更に北上したところで、茨戸川を渡る。均等の幅の三日月湖だ。
 よく考えると、琴似からほぼ真っ直ぐのルートだな、これ。札幌駅からも一直線だ。
 突き当たりを右折した後は、いかにも北海道の畑といった風景が広がり、会社がぽつぽつと混じる。
 そうか、こういう感じか。
 地面から見る分には、中州という地形は分からんよな。
 その後、もう1つ茨戸川を渡り、細い枝道に入った。
 管理棟と駐車場があり、ここからが茨戸川緑地である。

 茨戸川緑地は、茨戸川の切れ端と石狩川に挟まれた公園で、中州の生態系が多く残され、パッと見ると原野のようだ。
 長時間滞在する予定ではないため、そのまま車道に乗り入れて進む事になった。
 木々に囲まれ、どこかで行き止まりになりそうな狭い道をそろそろ進むと、ようやく先に土手が見えてきた。
 降りて少し周辺を歩く。
 地図で見たとおり、川と川に挟まれた場所で、土手に上がって見ると、どちらを見ても川という独特な風景になる。
 地図がないと、どちらに行けば抜け出せるか分からなくなりそうだ。
 なるほど、こんな風な場所だったか。
 地図と実際の風景が合わさるのはなかなか興味深い。
 一通り見終わった後、車体の腹を摺りそうな草深い道を踏み越え、再び道道に戻っていった。

 その後、余市と小樽を見て帰った。
 希有な場所が見られた事に感謝しよう。

<出費>
交通費:0円
入場料:0円(茨戸川緑地)
計:0円


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